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仲間に裏切られ最低ランクへ落とされた元勇者は謀略だけで生きていく   作者: 田丸 彬禰


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松明

さて、これからアーベルたちが本格的に挑む洞窟内の探索であるが、初期に比べれば遥かに楽になったとはいえ、現在でもそれは困難なものであることには変わりはない。


その第一の理由は日の光がないことだ。


光がない。

すなわち、すべてが闇。

洞窟とは闇の世界なのだ。


もちろん、その対策となるものが松明のような道具となるわけなのだが、暗闇の中で松明を持って移動する。

それは自身の位置を敵に知らせることになる。


たとえば、全く光のない完全な暗闇でも昼間と同じくらいの視覚が得られるような便利な魔法なり、パーティ全員に闇の中でも昼間と同じ視覚が得られる能力があれば松明なしで洞窟内を進むことも可能だろう。

だが、残念ながらそのような魔法も能力も存在しない。

少なくても人間側には。


そうなると、常識を超えた視覚能力、または視覚以外の感覚を頼るしかないわけなのだが、実際のところ、夜目が利くといっても限界はあるわけであるため、嗅覚や聴覚で視覚以外の感覚で視覚を補うことができるのは魔物、その中でも本能のみで生きているような下等な種族のみ。

結局、人間、剣を振るうような魔物、双方とも松明を使用するしかない。

それが現状となる。


そして、同等の条件を与えられた、同等の知力がある者なら、ほぼ同等の結論を出す。

それは古今東西多くの例で証明されている。

もちろんここでも同じ。


そして、両者が辿り着いた結論。

それは、洞窟内の照明の設置。

もちろん照明といっても、某世界の文明の利器など存在しない以上、それは限られている。


この世界の照明。

それは松明。


むろん、木材を燃やすだけか、そこに燃料となる油を含ませるかの微妙な差はあるのだが。


そして、人間世界が抑えているエリアの場合、洞窟の主要幹線には等間隔で松明が設置され、さらに幹線から延びる支線への出入り口近くにも松明が設置されている。


だが、松明は物理的な装置である以上、永遠に燃えているわけではない。

さらに何らかの理由で火が消えることもある。

その対策として用意されたのが松明番である。

これは文字通り松明が消えぬよう見張りをしながら、燃材の補充をおこなう係である。


冒険者組合が管理する松明の番人たちは、組合から報酬が支払われるのだが、当然魔物の出没率の高い奥の松明番の方が入口に近い松明番よりも報酬がいい。

そして、駆け出し冒険者はほぼすべてこの松明番からその経歴をスタートさせる。


そう。

ベテラン冒険者たちには守銭奴、金の亡者などとか散々な言われようをされる冒険者組合だが、駆け出したちの救済の意味もあるこのような事業をおこなっているのだ。

さらに言えば、今は文句を言っているベテランたちも駆け出しの頃はこの松明番の報酬で暮らしていた。

彼らにとっては多くの失敗とともに生きた松明番時代はなかったことにしたい大いなる恥、黒歴史といえるだろう。


それからもうひとつ。

最前線、すなわち、完全に掌握できていない係争地帯とそれに隣接しているエリアには松明は設置されていない。

これは過去、その松明を頼りに攻撃されたという苦い教訓に基づいているのだが、そうなればその一帯は暗闇となる。

それを補うために様々な方法が採られている。

その中で人間、魔物その双方で一番多く使用されているのは、油を詰めた土瓶に火をつけ相手方に放り投げるという極めて簡単な方法だ

単純だが、その分、力さえあれば特別な技術が不要。

そして、敵の混乱も誘える。

その方法が使用され始めてかなり経つが、いまだにそれが使用されていることこそ、この方法が極めて有効であることを示しているといえるだろう。


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