訪ねてきた客
第二洞窟コラシに挑む冒険者たちの多くが外界に戻ってきたときの根城としているコルディリネ。
ちなみに、コラシの冒険者たちの拠点となるべき町はコルディリネ以外にもレヴディとキリニのふたつがあるものの、両者とも宿と歓楽施設があり華やかではあるものの、組合の管理下にはないため、非常に治安が悪く、まともな冒険者はここを拠点にすることはない。
さらにコルディリネの北に組合が管理するタフォスという町もあるのだが、ここは終の棲家、つまり墓地群が主なその役割となっている。
アーベルは再び同行者募集をおこなう。
むろん前回と違い、アーベルとその仲間による第二洞窟コラシ、第三洞窟ヴァシスの活躍の話はここまで伝わっている。
アーベルが手にした報酬の話も。
そうなれば当然待遇もいいはず。
そう考えた者たちが次々と訪れる。
だが、その多くは有象無象。
門前払いとは言わないものの、その同類の扱いとなる。
「……なあ、アーベル」
「剣士は俺たちがいるだろう。魔術師と探査役に絞って募集すればよかったのではないのか?」
その大部分を占める剣士の試験をおこなっているアルキタスはぼやき気味にクレームの言葉を口にする。
「もしかしたらおまえたち以上の剣技を持つ者が現れるかもしれないだろうが」
「そんな奴いるのか?」
「それはいるだろう」
「それはわかる。だが、そいつがフリーということはないだろう」
「わからないだろう。そして、そうなればおまえたちは……」
「クビか?」
「いや。特別に荷物持ちとして雇ってやる」
もちろんそれは冗談であるのだが、真実も含まれている。
有能な剣士であるのなら、何人だろうが仲間に加えるという。
だが、残念ながら、アーベルの希望は叶わず、そのような者は現れる様子はなかった。
そして、さらに何日か過ぎたある日。
男が訪ねてきた。
見た目から剣士ではない。
だが、男からは冒険者特有のオーラは漂ってこない。
そうなると残りは魔術師と言いたいところなのだが、男にはそのような様子もない。
「要件は?」
「アーベル殿。同行願いたい」
「誰かも名乗らぬ者にノコノコ付いていくほど俺は人間が出来ていない。まず、自らの身分を明かし、それから、何のためにどこに行くかを話してもらおうか」
もちろんその時にはアルキタスとタウルスは剣を抜いていつでも男の首を落とす用意はできている。
だが、男はそれを見ても全く慌てる様子を見せない。
「私は魔術師協会から来たアゾフィーという者で、協会長のアナクシマンダーの命でやってきた。だが、残念だが会長がアーベル殿に会いたい理由については聞かされていない」
「ただし、そちらにとっても悪い話ではないそうだ」
「不満足ではあろうが、これで同行願いたい」
魔術師協会からの依頼。
その言葉でアーベルは凡そ察した。
クロエの護衛をしろということだろう。
相応の軍資金の提供と、もうひとり腕の立つ魔術師を加える。
これくらいの条件を飲めなければ蹴り飛ばせばいい。
「承知した」




