魔物を罠に嵌める勇者たち
「それで、その方法は?」
「まず、今回はあくまで転移魔法の弱点を見つけるために俺の前に魔族が転移魔法でやってくることこそが目的。やってきた奴らを戦うことではない」
「となれば、数は多くない方がいい」
「というより、こちらが転移魔法の弱点を掴んだことを知られないことこそが肝要なのだから、確実に倒させる数が必須」
「だが、むこうに、勇者を倒せると思わせねば、誘いに乗って来ないだろう」
アーベルの言葉を聞き終えるとカッシーニがそう問う。
それに対し、アーベルは笑みとともに頷く。
「そういうこと」
「リュコスなら二十体が転移できる広さは欲しい。だが、三十体以上は厳しい」
「つまり、その広さの場所ということか。だが、やってくるのがリュコスとは限らないだろう。場合によっては、アグリオス、またはそれ以上が来るということも……」
そこまで言ったところでカッシーニが止まる。
「それも罠か」
「そういうこと。さすが元仲間だけのことはある」
カッシーニが気づいたアーベルの罠。
それは広ければ相応の数を送り込めるが、狭ければ送り込める数が少なくなる。そうなれば、当然個々のレベルが高い者がやってくる。
集団行動が出来るリュコスなら三十体を送り込めるが、各個体にある程度の距離が必要なアグリオスであれば数体が限界という条件であれば選択は前者。
もちろん数体でもボスクラスであれば、条件は勇者を倒すことはできるがそれだけの者は数に限りがある。
そういうことで諸々の条件を考え合わせると、選択は三十体のリュコス。
そうやって、相手の思考を誘引しこちらが望む魔物を送り込ませるように仕向けるということだ。
「その場所についてはセルシウスに見つけさせる。二日待て」
「わかった」
「あとは奴らに聞かせる内容だが、それはアーベルに一任していいな」
「もちろん」
「狩りは俺たち六人でいいな」
「そうでなければ困る」
「そうだな」
「だが、まずは外界に戻ろう。激しい戦いをおこなって魔物を狩り尽くした者たちを装い」
「ああ」




