反撃開始
アーベルが生きているのであれば、どこかで決着はつけねばならない。
だが、そうであっても今すぐというのは具合が悪い。
まずはアーベルの現状についての情報を手に入れることから始めるべき。
特に、第二洞窟で魔物狩りに成功したアーベルの手足となって働いたというふたりの剣士の情報は重要だ。
三人の話はそうまとまった。
だが、現実は彼らの意志を無視する。
「……『黄金の盾』の諸君に話がある」
呼びつけた三人にそう告げたのは第三洞窟の冒険者たちを管轄する組合のトップ、アルハイサムだった。
「実は組合としても、今回の件は放置できない事案だと考えている」
「まず、居座っている魔物を排除しスパティウムを奪還する。本来であれば、アベルフェルダにその指揮を任せるところなのだが、重傷のアベルフェルダに頼むわけにはいかない」
「そうかと言って、『輝く酒樽』、『ギガンテス』、『闇を照らす光』、『千の刃と万の光』など名だたる第三洞窟を挑む名だたるパーティは皆最深部で間に合わない」
「そういうことで、『黄金の盾』の諸君にその中心となっていただきたい」
「むろん、この作戦に参加した者たちには組合から特別報酬が支払われるが、その中心になってもらう君たち三人にはさらにボーナスを支払う」
「勇者アーベルが抜けていると言っても『黄金の盾』は『黄金の盾』。十分な力があると思っての依頼なのだが、どうかな」
そうは言っているが、組合は自分たちの力を高いものだとは思っていない。
『黄金の盾』の戦果はほぼすべてアーベルによるものであるのだから、その評価は間違っていない。
だが、それは昔の自分たちの話。
アーベルの力を受け継いだ今の自分たちであれば、十分にやれる。
そして、評価を一気に塗り替えることができる。
そういうことであれば……。
「まあ、それは報酬次第だ。相手は最低でもアグリオス五体にリュコス三十体。増援されていればさらに多い」
「ざっと見たところ、この場にいる冒険者チームの半数は駆け出し。使えそうなチームは五つもいない。つまり、大部分は俺たちが倒さなければならない。やられる可能性だってある。それを考えたら……」
「討伐料は通常の十倍は支払ってもらわねば割に合わない」
「むろん、それはスパティウム奪還後でいい。それと……」
「数が数だけに魔法を使って戦うことになるが、そうなると証拠の右耳は持ち帰れないことはあり得る話だ。そこで、数についてはこちらの申告を採用してもらいたい」
金に汚そうに見えるが、命を張って戦う者としては当然の主張。
そして、金払いについての渋さには定評がある組合はこれくらい言わねば出すべきものも出さないという不信感がある。
「どうだ?」
「もちろん構わない」
「それから、指摘された戦力不足の件だが、組合本部が援軍を手配するそうだ。とりあえず二日後やってくるそうだ」
「それは頼もしいかぎり」




