驚くべき知らせ
「……それは間違いないのか?」
出口で待機している冒険者組合のひとりにその情報を聞かせられたカッシーニは呻く。
「アグリオスが突然現れたのだって驚きだったが、逃げた方向にリュコスの大群が待ち伏せしていただと……」
「あり得ないだろう。そんなこと……」
「だが、事実だ。なんとか罠を突破した当事者から聞いたのだから……」
「アテになるのか?そいつの話」
「証言はアベルフェルダのものだ。信用してもいいだろう」
「だが、アベルフェルダも大怪我をし、奴のチームもふたりを残し、全部やられたそうだ」
「それだけではない。逃げ切れなかった奴らは全員やられた。いや。こちらはやられた可能性が高いというべきか。あれから誰も帰ってきていないのだから」
「……それでリュコスは、人狼どもはどれくらいの数がいたのだ?」
「最低三十」
「アベルフェルダの部下たちがやられるのだ。それくらいはいただろうな」
「だが、あの場には二十チームくらいはいただろう」
「あんたたちを含めて数チームほどだな。戻ってきたのは」
「組合幹部もいよいよ魔物どもの反撃が始まったと危機感を募らせているようだ」
「だが、今回のような襲撃は初めてだろう」
「いや。第二洞窟ではすでに二回あったそうだ。そして、二回目は今回と同じように狩場を狙われた」
「もっとも、むこうは勇者アーベルが魔物ども片付けて一件落着となったそうだが」
その言葉とともに三人の表情は変わる。
「ちょっと待て。アーベルとはあの勇者アーベルか?」
「もちろん。そういえば、おまえたちはアーベルとパーティを組んでいたのだったな」
「ああ。だが、理由はわからぬが奴は洞窟の中で俺たちの前から姿を消した。心配していたのだが、とりあえず無事でなによりだ」
カッシーニたちがアーベルの生存を知ったのはこの時が初めてだった。
三人にとっては、魔物の襲撃などよりアーベルの生存のニュースの方が圧倒的な驚きと言える。
しかも、力を失ったはずのアーベルが魔物を討伐した。
全くもってあり得ぬ話である。
「ところで、アーベルはソロで活動しているのか?」
「いや。剣士がふたり同行している。どうやら、そいつらを仕込んでいるようなのだが、今回の魔物退治はそいつらがやったらしい」
「……なるほど」
「……アーベルが生きていた……予想外だな」
集団から離れたところで顔色を悪くしたカッシーニが呟くと、ふたりは頷く。
「だが、組合からの沙汰がないということはアーベルが俺たちを告発していないということだろう。もしかして……」
「さすがにそれはない」
俺たちの裏切りに気づいていない。
そう言いかけたダレストの言葉をセルシウスはきっぱりと否定した。
「水晶の欠片に気づかなくても自分の力が失われていて、俺たちがいなければ、察しのいいアーベルなら気づくことだろうよ」
「大方俺たちへの沙汰は自分の手でということだ」
「まあ、相応のことをやったのだ。奴がそう思うのも仕方がない。ただし、今の奴と俺たちでは力関係が逆転している。返り討ちにしてやればいいだろう」




