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仲間に裏切られ最低ランクへ落とされた元勇者は謀略だけで生きていく   作者: 田丸 彬禰


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始まりの町ゴクレニウス

冒険者組合本部が置かれているのは、三つの洞窟からほぼ同じ距離にある町ゴクレニウスである。

というより、このゴクレニウスはそのためにつくられた町であり、冒険者の登録から訓練、それにメンバーの募集、さらに武具の本格的な修理や調達。

ほぼすべてが完結できる。

そのため、三つの洞窟に挑もうとする冒険者を希望する者が最初に立ち寄る場所がここゴクレニウスとなる。

ここが「始まりの町」と呼ばれるのもそのような理由となる。


アーベルは組合本部に自身が管理する金や私物などを預けていたのだが、他の三人と違い、アーベルは、良く言えば、節約家、つまりケチであったので、付き合い程度の酒しか飲まず、博打もなし。

さすがに女もゼロというわけではなかったが、それでも三人ほど派手な遊び方をしていなかった。

そのため、冒険者稼業とは思えないくらいに貯め込んでいた。

そして、その預けていた金によって野宿は免れた。


だが、再び洞窟に潜るには多くの準備をせねばならず、当然多くの資金を吐き出さねばならなかった。


まず、現在の力に合った剣を新調しなければならない。

むろん、預けてあった私物には武具もあったのだが、すべての剣が現在のアーベルには使いこなせるものではなかったのだ。

さらに、ほんの少し前までは鼻で笑っていた魔法を水晶玉に封じ込められた魔道具魔法水晶も購入せざるを得ないのだが、そもそもこの魔法水晶は価格が非常に高いうえ、封じ込められた魔法の強さによって価格が違う。

だが、アーベルが対峙する予定の魔物であれば、やはり最高級の魔法水晶は必要になる。

それが、火、水、風、雷の四種。


購入しなければならないものはまだある。


治癒剤。

治癒魔法が込められた魔法薬で、かすり傷や水当たり程度の軽症のものを治すものから骨折や大量出血から回復できるものまで値段により様々。

毒消し。

これも多くの種類がある。


もちろん最大効果のものを持っておけばすべてに対応できるのだが、当然値段も相応になるため、かすり傷に最高級品を使用するような使い方ができるのは、「黄金の盾」のようなほんの僅かな冒険者チームだけである。


備品調達とともにおこなわなければならないのは、もちろん新しい仲間の募集である。

もちろん、自分の名前を出せば、勇者の名に引き寄せられてやってくる者は大勢いるだろう。

だが、そのような者は現状を知ればすぐに離れていく。

そうかと言って、情報を与えずに募集しても、素人冒険者しかやってこない。

もちろん自分が剣を振るえ、魔法もそれなりに使えるというのなら荷物持ち代わりに使えるのだが、ハッキリ言って今は剣での戦いにおいても、魔法戦においても仲間が主になって戦ってもらわねばならない。

そうなると、ある程度の剣技を持つ剣士がふたり、それから魔術師も最低ひとりは欲しい。

さらに、先行して状況確認とマッピングの出来る者もいる。


治癒魔法を習得している者が加わってくれれば、治癒剤や毒消しを持ち歩く必要がなくなるのだが、治癒魔法を習得した者は冒険者たちが外界と呼ばれる洞窟の外の世界においても不足気味。

当然冒険者チームに魔術師を回すだけの余裕がないのが現状であり、それを改善するために冒険者組合からの要請でゴクレニウスの魔術師協会がようやく育成を始めたところなのだ。


「……クロエは魔術師協会所属だったのなら、治癒魔法を習得済だったかもしれないな。まあ、今さら遅いが」


「もちろん、カッシーニやダレストのように気が合う駆け出し冒険者同士で集まって徐々にレベルアップしていくことが一番いいのだが、俺にはそれだけの時間的余裕はない」


「多少癖があり裏切る可能性があってもそれなりも腕を持った者を選ぶしかない」


「まあ、すでに出来上がった有能な冒険者チームが俺を迎え入れてくれるというものが一番いいのだが、今の俺の能力では拾ってくれるところなどないだろう」


「冒険者にとって本当に必要なものが何かということをわかっている奴などほとんどいないからな」


「剣技はゼロから始めても、鍛錬を積めばそれなりに戻るのはそう時間はかからない。魔法も魔法水晶と治癒剤などで代替ができなくはない。本当に代わりの利かない才とは……」


「状況を見極め、勝ちに持っていく力」


「それを俺は持っている」


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