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仲間に裏切られ最低ランクへ落とされた元勇者は謀略だけで生きていく   作者: 田丸 彬禰


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その日がやってくる

アーベルが戻ってくると、三人は何事もなく出迎える。

もしかしたら、いつも以上に愛想よく。

そんな三人に微妙な変化があることにアーベルは気づいたものの、まさか仲間が自分の能力を奪おうとしているとまでは考えず、こっそり高い酒でも飲んでいたのだろうなど気にすることはなかった。


「……洞窟の移動については組合の許可は貰ってきた。さすがに済まない気にはなった。いくら頑張ってもあの洞窟の潜る冒険者には明るい未来ないのだから」


そう言って笑うと、カッシーニは大きく首を横に振る。


「いやいや、こちらはきちんと料金を払ったのだ。文句を言われる筋合いはない。それで……」


「どちらの洞窟になった?」

「コラシだ」

「まあ、そうだろうな」

「その分少しだけ料金を値引きしてくれた」


コラシ。

三つの洞窟にはそれぞれ名がつけられていた。

これまでアーベルたちが探索していた洞窟はスコディー、残りふたつにはコラシ、ヴァシスという名が与えられ、魔物の数の多さからコラシは最難関の洞窟とされていた。

ただし、それはあくまで組合の基準であり、実際に洞窟を探索する冒険者たちの評価は別にある。

コラシは魔物の数が多いが逆に稼ぐには良い。

逆に残るふたつは、ヴァシスは経路が複雑、スコディーは数こそ少ないが強い魔物が揃う上級者向き。


つまり、願ったり叶ったりというところである。


「いつから潜る?」

「足りなくなった治癒剤を補充しなければならないだろうから、三日後というところか」

「わかった」


移動に便利な転移魔法は魔物たちの専売特許であるため、冒険者たちは洞窟に挑む前に多くの物を買い揃える必要がある。


水。

食糧。

さらに、予備の武器や治癒剤や回復剤がその代表となる。


むろん、洞窟内にも組合が経営する店はあり、そこで物資を調達することも可能ではあるだが、当然洞窟の外で購入するよりもかなり高い。

出来るかぎり持参していく。

これが冒険者たちの常識となっている。

その中でも治癒剤や回復剤は外界で購入がマストとなっているのだが、実は常に不足気味で必要分をすぐには揃えられないことが多い。

下手をすれば、十日以上必要な場合もある。

ただし、何事も表と裏があり、金さえ払えば、優先的に必要数を揃えることができる。

アーベルが口にした三日後は、その闇商人から購入を前提にしているものである。


そして、出発の日がやってくる。


洞窟に入り、組合から購入した洞窟内の地図、と言っても、詳細に描かれているのは入口付近だけであり、その後は、最も使用される幹線と組合経営の店の位置が示されているだけだという非常にシンプルかつ不親切なものである。

言ってしまえば、「ないよりマシ」または、「初心者用」といったところで、結局自分たちでマッピングしていくことになる。


洞窟に入って五日目。

この洞窟の特徴などを把握してきたところで、いよいよ本番ということになる。

いつもなら、ここでセルシウスを先行させるところなのだが、もう少し奥まで行動を共にすべきというカッシーニの提案に、ダレストとセルシウスも賛意を示し、もう三日全員で進むということに決まる。

それはさらに三日延期される。


そして、その日がやってくる。


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