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【悪ノリ】

何て事はない間違い電話。

さほど気にせずに永瀬に会いに行く洋介。

もう少しで物語は走り出す。

僕は愛車のHONDAモンキーにまたがりエンジンをかけた。


高校時代、必死にバイトでお金を貯めて、やっとの思いで買った愛車だ。

車体20万円、カスタムに約40万円。

高校生にしてはやり過ぎた

感のあるバイク。

乗り続けてもう7年になる。

でも、高校卒業とともにそれ以上のカスタムはしなくなった。

何にでものめり込むのが浅野の長所でもあり、短所でもある。


B型は熱し易く冷めやすい。。。



深夜ということもあり、少し肌寒い。


永瀬の家の前に到着、ポケットから右手携帯を取り出し永瀬にコールする。


2〜3分後、永瀬が姿を現した。


「お疲れぇ〜」と永瀬に気の抜けた声をかけると、永瀬も気の抜けた声で返して来た。

「お疲れ〜」


特に用事も無く会いに来たが、そんな事お互い気にしない。

気のしれた仲とはまさにこんな感じなんだろう。


最近のお互いの仕事の事など、特に何か盛り上がる訳でもなく時間が過ぎて行く。


そんな時に決まって、永瀬は僕に投げるネタがある。


「そー言えば、最近ゆいちゃんとはどーなん?」

ゆいとは僕の彼女の名前だ。


「長澤 ゆい」僕の人生初の彼女。

大学2回生の頃から付き合いだし、今年で4年目の交際。

僕のは京都でゆいは滋賀住まい。

大学時代はほぼ毎日一緒にいたが、社会人になってからはなかなか会えない。

ゆいは卒業後、就職が決まらず現在フリーター。

見た目はギャル風だが、僕と一緒で人生 初の彼氏が僕との事。

本当の所は今だ謎である。

初めてのHは永瀬に教えてもらったファッションホテル。


そんな恋物語永瀬には付き合った当時から何から何まで、全て報・連・相済みだ(笑)


「ゆいとは週一位で会ってる位かな?」


「上手くいってるんやな。良かった良かった。」

あまり永瀬の気持ちは入ってない。


「そやな〜?そっちは最近どうなのよ?」

永瀬には彼女が今いないことは重々承知で聞いてみる。


「何もないよ。。。って、知ってるやん(笑)」


そんな他愛も無い話をエンドレスにして、必ず僕が口にする台詞がこれだ。


「何かおもろいことないかなぁ〜?」


すると永瀬が口を開いて

「どっか飲みにでも行くか?…あんま金ないけど(笑)」

(あんま金ないけど(笑)もお約束)


「二人で?ん〜?・・・」

何か面白いボケでもないかと考えてみたが、さほど浮かばない。


そんな時、さっきの出来事を思い出し、声が半音上がりながら

「そーそーそー!!!」


突然、僕の声のトーンが変わった事に永瀬が

「ナニナニナニ!?」と驚いてる。


「そー言えば、さっきちょっと面白い電話があってん!」

ちょっとニヤニヤしながら話す僕を見て、永瀬が言う。


「闇金からの追い込みの電話でもあったんか?」

勿論、そんな所からも、金融機関からもお金を借りた事なんてない。

母親からしか借りた事はない。何にしても偉そうぶれる事ではないが。。。


「なんでやねん!?そんな所から借りる位やったら、泰英に借りるわ!」


「なんで俺やねん(笑)。そんなんえーし、どんな電話があってんな?」

意外と永瀬も食い付いた。話の続きを聞きたがっている。


「実はな・・・」


帰宅後の一連の電話のやり取りを永瀬に話してみた。

すると永瀬は顔色変えずに。

「ただの間違い電話やん。そんな事もあるで。」


僕は内心「えぇ〜、リアクションそんなけぇ〜!?」となりながら、表情は内心のまんまリアクションを取っていた。


永瀬が言う。

「いやいや、洋介は求め過ぎやって(笑)、逆に変なおっさんからの電話じゃなかったから良かったやん。位やろ!?」


確かにそれはそうだが、何かせっかく初めて間違い電話がかかってきたというエピソードがそんな簡単に終わっても寂しい。


そんな時、永瀬と二人の時だけに現れる僕の悪ノリが姿を現した。


「・・・ちょっと電話してみる?」

そう言うと永瀬が(え?)という表情で

「誰に?え?そのさっきの間違い電話の相手に?え?何しに?え?え?」

絵に描いたようなリアクションの永瀬。


「二人でいても暇人やし(笑)」

勿論とドヤ顔の僕の顔を見返しながら永瀬が言う。


「マジで言ってんの!?それ絶対相手が女やったからやろ?」

ちょっと笑いながら言ってくる永瀬の顔は嫌な感じではなかった。


「おもろそうちがう?ちょっとノリも良かったし、京都って言ってたから飲みに誘ってみようや!」

既に僕の顔は少年のようである。


「え!何かめっちゃ目輝いてるし!?マジで〜。。。」

永瀬はちょっと呆れ始めてる。


「もし、予想外の相手やったら会わへんかったら良いやん♪」

生き生きとしながら永瀬に投げると永瀬は肩を落としながら。


「はぁ〜↓ゆいちゃんにバレたらどーすんの?」

永瀬から正統派な返答が返ってくる。


「ん。。。それは↑あれやん。火遊びやし、バレ…バレへんかったら、問題はさほどないかと。思われる。と思われる。。。」


僕はゆいと付き合い出してから浮気なんてした事がなかった。

勿論、ゆいの事は大好きだ。

でも、その反面ほかの女の子とも遊んだ事が全くなかった。

だから、浮気とかではなく女の子と遊ぶ事が凄く新鮮に聞こえるし、憧れる。


贅沢な考え方。。。


永瀬はそんな僕の心情を察してくれたかのように

「もー、しょーなしやで。あんま金ないしな。」

永瀬は僕と違い、女の子に慣れている。。。と言うより、女性にぶっちゃけ困ってない。(なんかムカつく)


まさに凸凹コンビ。


諦めた雰囲気の永瀬を尻目に左手携帯を取り出して、ちょっと僕の手は何故か震えているが、気にせずリダイヤルを押す。


プルルルル・・・プルルルル・・・ガチャッ。

案外、すんなりと福島と名乗るさっきの女性が電話に出た。

「もしもーし、誰ですか?」


福島はまた誰かわかっていない状況だった。


「あ。さっき間違い電話で喋ったもんですけども・・・」

そう伝えると、何故か福島は声のトーンが上がった。


「え?なになにどしたの?さっき間違い電話で問題は解決したやんね?」

不思議そうに聞いてくる。


横で永瀬が心配そうにこっちを見ている。


「いや、実は。。。今、ツレと二人ででいて、今から飲みにでも行こうかって話になってて。」

僕は内心ドキドキしながら福島に話しながら、永瀬にドキドキがバレないように表情を保っていた。


「え?なに!?今から?それって、私が誘われてるの!?ウソでしょー!」


福島は僕の事をそんなに警戒している感じもなく、逆に焦ってる感じだ。


「無理やったら全然いいよ!!何かそんなんも面白いかな〜?って話しになって。」

決して、自分だけの意見ではない事をしらっと伝える僕。


福島からは意外な返事が返ってきた。

「そっちは何人?2人?ホンマに2人?行って実は大人数で変な事とかされるん違うの!?」


もっともな心配な点を言ってはいるが、ちょっと脈ありな福島の声色。

「そんなんは絶対ないし。おもんなかったら、帰ったらいいやん。何処やったら来やすいの?」


僕の何かのスイッチが入ってしまっていた。

気付いたらイケイケで福島を誘っていた。


「ん〜。木屋町とかやったら行きやすいかな?でも、私1人は流石にキツイなぁ〜。。。」

福島はそう言うとちょっと折り返すから待っててと電話を一方的に切った。


「どやった?」と、横でちょこんと座っている永瀬が僕に聞いてきた。

「ちょっと待っててって。。。やっぱこれ無理かな?掛け直しないかもね。」

そらな〜という表情で2人で顔を見合わせた。


すると、左手携帯が音を立てて震え出した。


僕と永瀬は声を合わせて「来たぁ〜!!」と声を出して騒いだ。


「はい!」と勢い良く出てしまった僕の事は気にもとめずに福島が話し出した。


「オッケー!こっちも私1人は無理やから、1人は女友達連れて行くね。」

僕はドキドキしながら、時間とお店を決めて電話を切った。

勿論、電話の切り際にドタキャンは無しで!と念を押して。


横で永瀬がこんな事もあるんやなぁ〜と少し僕に敬意を払った顔をしている。


「俺、明日仕事やからそんな遅くまで無理やからな。」

永瀬がそう言ってから、僕は「予想外の人達やったら帰ろな。」と失礼極まりない発言。


「もし何やったら、メッチャ飲ませてな♪何か出来るかもよ(笑)」と言いながら、僕にはそんな度胸は全く持ち合わせていない。


「おー怖っ、洋介怖っ(笑)」

永瀬も僕の事をわかっているから冷やかしてくる。


僕は少し冷静にり、永瀬に言った。

「でも、ホンマになんで会社用の携帯に間違い電話があったんやろ?」


「単なる間違い電話ではないって?そんな心配せんでもえぇんちがうの?」

永瀬はさほど気にもしていない。


僕は自分で蒔いた種にも関わらず、少し話の進み具合にビビり始めていた。


そんな時にふとした事が頭をよぎった。



ーそれは数週間程前の仕事中の出来事ー


いつも通り仕事の営業電話を手当たり次第にしていた時に左手携帯がブルブルと震えていた。


メールではなく、珍しく電話が鳴っていた。


「はい!」と電話に出ると相手は女性であった。

話を聞いているとどこかの営業電話。

(何処で情報が漏れたのかな?)と焦る事もなく今仕事中なのでと丁寧に切った後に一つ気付いた事があった。


それは相手の会社名。


どっかで聞いた事があった。


ライバル会社の社名だ。


僕の会社は全国規模の業界イチニを争う中小企業。


売っている物は着物である。

そのライバル会社は何故ライバルかと言うと、社長が元々僕の会社の社長の部下だった人が独立して立ち上げた会社で、業界でイチニを争う中小企業だからだ。


もともと、こっちの会社の社長と向こう社長は違うの会社の上司部下関係で、お互い独立をして成功している者同士。


そんなライバル会社からの電話だから、何か不思議な感覚。


その後は特になにかあったわけでもなかった。



そんな出来事が何故か思い浮かんだ。

勿論、相手は福島とは違う声色だった。

一緒なら確実に気付く。


もしかしたらと思い、永瀬にその事も話したが、

永瀬には「それは考え過ぎやって!」と笑って一掃されて終わった。


念には念をという事で軽く2人で打ち合わせをして、僕は一旦愛車のモンキーを自宅に置きに帰り、永瀬と最終電車で夜の街へと繰り出した。

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