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3話

私は思わず声を出してしまった。

なぜなら、私が思った以上にしっかりとした建物になっていたからだ。

そもそも私は建物の構造なんてわかっていないから、詳しく設定なんてできないと思っていた。でも、目の前にはかなり頑丈そうなレンガ造りの宿屋があった。

中に入ると店主と思われるオーバーオール姿のおじさんがいた、赤い帽子を被っていて何か既視感がする。


「おう、お客さんかい?」

「はい、一晩おいくらでしょうか?」


叶野がいなかったら多分満足に会話もできなかっただろうなー、と思いつつ、ここまで案内してくれた店主の娘の少女のほうに目をやる。

するとちょうど少女もこっちを見ていたらしく目が合った。すぐに私は他のところに目線を移す。

だめだ、人と目が合うとそっぽ向いちゃう症が…、治したいとは思っているがどうしても治らない


「さく…、えっと、部屋決まったから行くわよ」


叶野に引っ張られて部屋に向かう。何か言いかけたように見えたがほとんど聞こえなかった。

部屋に着いてすぐに叶野が話し出す。


「はい、まず、この世界で生活するなら名前を決めましょう」


今更な話だと思い、私はこう返す。


「作者じゃ駄目なのか?」

「大丈夫かもしれないけど、小説の中に作者がいるなんて思われたら面倒でしょ?」


確かに、なんか色々と面倒なことになりそうだ。


「う…確かに…、じゃあ作さんって呼んでよ」

「フルネームで聞かれたときは?」

「え…っと…」

「適当に決めときなさいね」


叶野には口ではかなわない、自分で作ったキャラなのにな…


「現実での名前を使うのはなんかあれだしなー…」

「何なら苗字一緒にしちゃう?」


叶野の突然の提案に私はちょっと大きめの声で突っ込んだ


「っ!おいおいまだ未成年だろ」

「夫婦じゃないわよ!兄妹って発想は出来ないわけ?」

「うっ」


痛恨のミス、私は精神的なダメージを負った。


「ま、まぁさ、この小説を終わらせるにはどうするかについて話そう」

「話題切り替えるのねー」

「うっうるさい、これ以上私の心を傷つけるのはやめろ!」

「はいはい、小説を終わらせたいのね」

「そうだよ、エンディングなんて途中までで飽きて読むのをやめちゃう私にはわからないもの」

「一番大きな目標を達成すれば終わるんじゃない?」

「目標って?」

「作さんが元の世界に戻ること?」

「なるほど…ってだめじゃん!1周してんよ!」


ループしてしまっている。それじゃあ私がこの世界にいる限り、この世界は終われないということになるじゃないか…。


「他にもエンディングにつながることはたくさんあると思うよ」


叶野が慰めの言葉をかけてくれる


「たとえば?」

「作さんが死ぬとか?」

「やめて!」


いや、小説の中で死ぬだけならいいのか・・・?いやだめだろ


「じゃあ、悪者を作ってから倒すとか」

「それだ!最初からその終わり方を教えてくれればよかったんだよ!」

「すぐ調子乗るんだから…、この終わり方は大変なんだよ?」

「え?紙に書くだけじゃだめなの?」

「悪者にも心はあるの、ちゃんとした動機付けとかそうゆうところから設定できるの?ただのチンピラを倒したってエンディングになんかならないんだから。そもそも悪者がいたら周りの人が困るわけでわざわざ作さんの勝手で作るのはよくないでしょ?」


叶野に早口でまくしたてられて私は黙る


「そうそう、もう一つお勧めのエンディングがあるのよ」

「ほうほう、どんな?」

「結婚してエンディング」

「うっ」


そんなこんなで結局、小説の方向性は決まらずじまいなのでした。

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