3 安心する
どうぞよろしくお願いします。
2階へ上がる。
そこに最初に案内されたジニーの部屋がある。
2階の通り側の小さな部屋。
夜になり廊下は少し暗くなっていたが、ダンとナオミの住居と倉庫も兼ねているので、階段と廊下に小さなランプが掛けられていてそこまで暗くはない。
ほっとして、でも、ある程度覚悟して部屋のドアを開けた。
思ったより明るい。
「あ、窓か!
通り沿いだから、店の明かりが入るんだ!」
部屋に入ると、出窓の下の方から明かりが入ってきている。
向かい側の大きな本屋もまだ営業していて、通り自体が明るいのだ。
「良かった……」
そう呟きながら部屋の中に入り、ドアを閉める。
旅行鞄を開けて、寮で使っていた携帯用の安全ランプとライターを取り出して、火をつけた。
部屋の中に明かりが満ちる。
さっきは荷物を置き、髪を結い上げるように言われ、慌しく1階に戻り、すぐに夕食の客が来る時間帯に突入したからだ。
じっくりと部屋の中を見回す。
寮の自室より狭い部屋だ。
ドアを入って左側にベッドがあり、正面に進んだ方に通りに面した大きめの出窓があり、前に机と椅子がある。窓にはカーテンが寄せられている。手に取ってみると淡い緑の薄い物だった。
とりあえず向かいの本屋からの視線は隠せるし、朝になれば陽も入るぐらいの薄さが逆にうれしかった。でも、薄いから、着替える時は窓のないベッド側に寄った方がいいだろうな。
それと右側に小さなクローゼットが造り付けられてる。
ドアの横にも小さな台があり、その壁には鏡が取り付けられている。さっき、この台の上にブラシを置いて髪を結い上げたので、洗面などの道具を置く場所なのだろう。
旅行鞄から、明日着るブラウスとスカートと寝間着と部屋用の上着を取り出した。
カーテンを閉めてから、服を脱いで寝間着に着替え、上着を羽織る。着ていた服をハンガーに掛け、まだハンガーがあるのでブラウスとスカートも掛けた。下のスペースにぎりぎり旅行鞄を入れることができた。
洗面所とトイレの場所は聞いていたので、そちらで顔を洗い歯を磨いてたりしてから、部屋に戻り、カーテンを開けて窓を開けてみる。声が大きくなる。
たくさんの人が一斉にそれぞれのペースで話している。
それがとても楽しそうで。
窓を閉め、カーテンを閉めて、机を確認する。鍵付きの引き出しがあった。
まあ、簡単な鍵だけれど。
机の天板と出窓の間にちょうど本が置けるくらいの壁があり、そこに本を並べることができそう。
気づくとうずうずしてしまい、また旅行鞄を引っ張りだして、持ち歩いていたお気に入りの本と教科書を並べそうになり……。
「あ、教科書はだめか……」
教科書だけは旅行鞄に戻す。
お金は旅行鞄と鍵付きの引き出しに半分ずつ保管しておくことにして。
当面使いそうなお金を財布に入れ、肩掛けカバンに入れておく。
引き出しの鍵はちょっと悩んで、旅行鞄から裁縫セットを取り出し、その中に隠した。
鍵のついていない引き出しに裁縫セットを入れておく。
机の上には肩掛けカバンと帽子とランプの光量を最低限に絞り、置いておく。
ベッドの布団は最初に部屋に来た時に確認してある。
少し古い物だったけど、ちゃんと干して手入れしてあるとナオミが言い、新しいシーツをくれて、ナオミと掛けながら問題ないことは確認済みだ。枕と毛布。
今は夏だから、まだ毛布で十分だろう。
「明日、洗面用具とかタオルとか買い足したいな……」
呟いてから、大事なことを思い出してくすっと笑った。
<お給料とか時間とか、全然まだちゃんと話してなかった……>
ベッドに横になる。
窓が微かに明るく、さらにランプがあり、ベッドに横になると、下のお店の落ち着いているけれど、おしゃべりをしている気配。時々起こる笑い声。
<なんだか安心する……>
いつの間にかジュディス、いや、ジニーは寝てしまっていた。
読んで下さり、ありがとうございます。
普通ならうるさい環境なんですが、今のジュディスにはぴったりでした!
ここからはジニーを名乗り、頑張ります!




