12 本物と偽物
なんかちょうど1000字ぐらいに分けられなくて、いつもより長めになってます。
どうぞよろしくお願いします。
「呼び出してすまなかったね。
もしかして、ジュディスから何か連絡というか伝言はなかったかね?」
アマンダはバルテス先生の言葉に叫んだ。
「えっ! じゃあ、これ、本物なの!?」
「連絡があったんだね?」
アマンダがさっきの封筒を取り出し、差し出した。
「読んでも?」
頷くアマンダとクラリオーネ。
バルテスは便箋を取り出し、目を走らせた。
「なるほど……、ジュディスではないですね」
「えっ!
どっちなんですか!?」
アマンダがイライラしたように言った。
「実はそういう工作が行われるようだとルイザ・カンドールから連絡があったんだ」
「「ルイザ先輩!!」」
「これから私とマクダウェル公爵家に一緒に行ってもらえないだろうか?
この手紙の詳しいことがわかるよ」
アマンダは「はい!」と返事したが、クラリオーネは躊躇している。
「どうした?
バローナは難しいか?」
「……派閥的に。
バローナ家はその……」
「そうか、バローナ子爵家は教会派か」
バルテスが気づいたように言った。
クラリオーネが頷く。
「王家派の筆頭であるマクダウェル公爵家に行くのは……、もし父の耳に入ると面倒くさいことになりそうです……」
「じゃあ、クラリオーネじゃない! ということにすればいいんじゃないかしら!」
アマンダが面白そうに言った。
クラリオーネ、アマンダ、バルテスはトゥール男爵家の馬車でトゥール男爵家へ向かっていた。
クラリオーネとアマンダは王都に屋敷があるので週末は帰宅することもある。
今日はふたりとも家に帰ることにしていたのだ。
明日は3年生は休みで1~2年生の補講や追試、生徒会や部活動などの引き継ぎ確認などがある。
ふたりとも学園に来ることにはなっていたが、いつもより登校時間に余裕があり、授業はない。
そこで、バローナ子爵家迎えの馬車には『トゥール男爵家に行くので、夕方6時過ぎにそちらに迎えに来てもらいたい』として帰ってもらったのだ。
トゥール男爵家に到着すると、アマンダとクラリオーネは奥へ行き、バルテスは客間でトゥール男爵夫人とお茶をして待つということになった。トゥール男爵家は小さな領地を持ち、商会もやっていて堅実などちらかというと貴族でありながら商人でもある家である。そのため、王家派、教会派などの派閥争いには組さず、うまくバランスを保っている。
「娘は学園ではどうでしょうか?
その……、やはり男爵で貴族学園となりますと肩身の狭い思いをしていたりなんてことは……」
バルテスは微笑んで男爵夫人を力づけるように言った。
「学園ではそこまで家格にはうるさくありませんので。
逆に社会に出た時に、そのことを感じることがあるでしょうね。 アマンダさんはよくやっていますよ。
素直で、物怖じもせず、友人を大切にする、いい生徒です」
「物怖じもせず……。
本当に怖いもの知らずで……。
良いお友達はできているようなのですが、その、男性との縁が全然見えてきませんで……」
その時、私服に着替えたアマンダが現れた。
「お母様、私、バルテス先生とマクダウェル公爵家にに行って参ります。
クラリオーネはこのままお母様とお茶していたことに!」
制服姿のクラリオーネ……、ではない。
制服を着ている違う少女だ。
「モリー!?
なぜ、制服を!!」
男爵夫人が叫び、アマンダはニヤリと笑った。
「今はこっちがクラリオーネ。
そしてこっちがモリー」
侍女姿のクラリオーネがひょいとドアの影から現れた。
「まあ、なんてこと!?
バルテス先生!!」
トゥール男爵夫人がバルテスを見た。
バルテスは笑いながら言った。
「本当に、怖いもの知らずですね!
でも、実に面白い!!」
トゥール男爵家の馬車でアマンダ、バルテス、モリーのふりをしたクラリオーネがマクダウェル公爵家に到着し、ルイザ、ダグラス、イリーナ、マシューに迎えられた。
「おや?
マシュー・パトーキ!?
オブリスへは!」
バルテスが驚いたように言った。
「こんな状態で王都を離れるのは……。
それに両親はアンナを切ることを選んだようですが……。
私はせめて妹がこれ以上の罪を重ねないようにと……」
「大学の説明会は?」
「後日、友人に教えてもらうことにしてあります。
入学の書類は学院から送ってますし、家の用事で説明会の欠席は認められています。
ただ、それ以外の準備が一週間出遅れになりますが……。
親は王都の屋敷を閉めたので、私はマクダウェル公爵家に寄せて頂いています」
「パトーキ!?
アンナ嬢のお兄さん!」
アマンダがびっくりしたように叫び、イリーナが笑いながら言った。
「これで驚いてちゃ、身が持たないわよ。
サーザ・カーライルとエルダ・カーライルも仲間なんだから!」
「「ええっ? どういうことですか!?」」
アマンダと、侍女服姿のクラリオーネが声を揃えて叫び、バルテスも驚きの表情をした。
「では、明日の作戦を考えましょう!
アマンダさん、クラリオーネさん!
どのような接触、連絡があったか教えて下さる?」
ルイザがにっこり微笑んだ。
読んで下さり、ありがとうございます。




