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11 偽物

どうぞよろしくお願いします。

 クラリオーネとアマンダは去っていくアンナを見送ってからテーブルの上の封筒を見た。

 ふたりとも見つめるだけでなかなか手が出せない。


「怪し過ぎる……。

 でも、話としてはそこまでおかしくはないような?

 さすがに親に持って行くように言われたら……。

 ん? パトーキ嬢なら親に頼まれてもジュディスの手紙を届けたりなんかしないか!?」


 アマンダが呟き、クラリオーネが困ったように言った。


「とりあえず見てみましょう……」


 アマンダが封筒を取り上げ、封をされていないことに気づいて首を傾げる。

 封筒を裏返してみるが宛名も差出人の名前もない。

 ただ、アンナが『ジュディスから』と言っただけだ。

 しかも、人に見られないようにこそこそしていた!?

 封筒から便箋を取り出し、広げたアマンダの手元をクラリオーネも覗き込む。


『クラリオーネ様 

 アマンダ様


 体調が良くなり、王都に出てきています。

 お会いしたいです。

 2月9日午後4時、アイルトン地区ドネル通りのカフェ『マージナル』でお待ちしています。

『ジュディスと待ち合わせ』と告げて下さい。

 個室でお待ちしています。


 ジュディス・ロイヤー』


「うーん、なんでタイピングされてるの?」


 アマンダが唸る。


「でも、最後の名前は直筆よ……って、似てるけど、違う気もする?」

「ええ、似てるけど、違うと思う。

 それにジュディスなら!

 私達宛の手紙にロイヤーまで書かないと思う。

 正式な手紙なら……だけど、これは正式じゃない。

 それなら、いつものようにくだけた言葉で書くわよね、きっと」


 アマンダが便箋をたたんで封筒に戻した。


「これは……、バルテス先生に相談してみよう!

 このカフェのことも調べてみる?

 ドネル通りはそこまで治安が悪くないけど、ごちゃごちゃしてるお店が多いイメージだわ」


 アマンダの言葉にクラリオーネが困った顔をする。


「でも、明日の放課後よ。

 時間が足りないわ!

 調べてもそれを聞くのが明日の放課後だもの。

 もう行く時間になっちゃうわ!

 行かないと!!

 授業!!」


 クラリオーネは定食のトレイを持ち立ち上がる。

 アマンダは封筒を制服のポケットに突っ込んで同じく立ち上がった。

 食器を下げに行く。

 もうタイラント嬢とイリーナ先輩の姿はなかった。


 放課後、アマンダとクラリオーネは帰りの支度を済ませてから、バルテス先生の教官室を訪れた。


「バルテス先生!

 2年のバローナとトゥールです!」


 ノックしながらクラリオーネが言うと「どうぞ」と返事があり、ドアを開けて入室する。


読んで下さり、ありがとうございます。

ジュディスの子どもの頃の署名を真似て書いているので(子どもの頃の手紙しかカーライル侯爵家にはなかった)、最近まで一緒にいたふたりは偽造では? と思いながら、でも……? って感じです。

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