28 カーライル侯爵家
ここで第6章が終わります。
どうぞよろしくお願いします。
サーザはカーライル侯爵家に帰った。
帰るなりオフィーリアに言われる。
「サーザ!
アンナから贈られた婚約のハンカチ。
今度、刺繍の会で披露することになったの」
「何、それ?」
そういえばそんなハンカチを贈られた。
オフィーリアとエルダが見て『素晴らしいわ』『よくできてる』なんて言っていた記憶が蘇る。
あのまま、箱に入れたまま……。
「ああ、今、持ってきます」
自分の部屋に急ぎ、机の引き出しからハンカチの箱を取り出す。
一度開けて見てみようか……と思ったが、やめて、そのまま居間へ行き、オフィーリアに渡す。
「母上、これです」
「ありがとう、サーザ。
あなた今日は何をしてこの時間に?」
「マシューと会ってました」
視界の隅でエルダがこちらを少し気にしたのがわかった。
「あら、そうね。
マシューは義理の兄になるわけだし。
仲良くするのはお互いの家にもいいことだわ」
サーザは肩をすくめた。
パトーキ伯爵家は、カーライル侯爵家とモンテル伯爵家の恐ろしいジュディスに対する計画を知らされていないのだろう。
知ったら、どうするのだろう。
マシューはサーザと共にジュディスを助けるつもりで動いてくれている。
もし、ジュディスが死んだことになったら、モーリスなどに渡さずサーザの所に引き取るなんて話にならないだろうか……。
エルダがサーザの様子を見て、声を掛けてきた。
「サーザ? どうしたの?」
「エルダ……、刺繍の会って王城の?」
「ええ、2月に入ってすぐよ。
その……、マシューは元気?」
「はい、元気です。
大学へ進学予定で。
明日の2月1日が合格発表で詳しいことがわかるとか」
「そう……」
エルダは少しだけ寂しそうな目をしたが、すぐに顔を伏せ、ハンカチを検分しているオフィーリアに声を掛けた。
「お母様、私、夕食まで自室で過ごしますわ」
「わかったわ」
オフィーリアの言葉に居間を出るエルダ。
サーザもその後を追い、エルダについて、エルダの部屋に入った。
「どうしたの、サーザ?」
「……これを預かってきた」
封筒を差し出す。
「何? マシュー?」
封筒を受け取り差出人の名を見て、表情を硬くするエルダ。
「ルイザ・カンドール?」
「ああ、エルダと話がしたいんだって」
「……どういうこと?」
エルダが半目でサーザを見てくる。
「今日、マシューと一緒にルイザ・カンドール、ダグラス・マクダウェル、それからイリーナ・フランカと会って話をした。
その……10年前のことから、今のジュディスのいるところ……まで」
「……ジュディスのいるところ?
ヴァイス男爵領でしょ?」
サーザは首を振った。
「違うらしい。
ジュディスは夏季休暇が始まってすぐ家出してる。
それから帰ってきていない」
「じゃあ、モーリスと婚約が決まったのは、ジュディスがOKしたからじゃないのね?」
「ジュディスはまだ見つかっていないよ」
エルダが顔を顰めた。
「お母様は何を考えているの?」
「エルダは知っているんだろ?
ジュディスを死んだことにするって計画」
「……それは初耳だわ。
死んだこと? いないのに?」
「ああ、お母様が僕に言ったんだ。
それで、僕はマシューに相談した」
「……あ、それで、イリーナ・フランカね!
で、何故、私に手紙を?」
「マシューはエルダがジュディスを助けるために動いていたって言うんだ。
でも、結局、母上には歯向かえないから、最終的に従っていたけど、本当の気持ちは違うって」
エルダが動きを止めてじっとしている。
「僕が知らないこと、知ったこと。
マシューが知ってること、ルイザ嬢が知っていること。
話し合ったら、いろいろなことが見えてきて……。
エルダの話も聞きたいってなったんだ」
エルダがやっと動き出して、机に行くとペーパーナイフを手に取った。封を開け、目を通す。
「なるほど……。
わかったわ。
お茶会のお誘い、お受けしますわ。
家から返事をすると母に邪魔される。
サーザに口頭で返事を頼んでいい?
この日時にマクダウェル公爵家に伺いますと」
読んで下さり、ありがとうございます。
ここで6章は終わり、ただジニーがジュディスであることを証明するだけではすまない……、どう反撃していくかを考えていくことになります!
どうぞよろしくお願いします。




