26 あなた達はどうする?
第6章は後3話でおしまいになります。
どうぞよろしくお願いします。
「……どういうことなの?」
ルイザがマシューを見る。
「サーザは侯爵夫人から10年前の真相と、今回のジュディスの隠されていた真実を聞いて、私に確認に来ました。
サーザの話と私の話を付き合わせてから、モーリスに話しを聞きに行ったんです。
それに、ジュディスとモーリスの婚約が決まったこと、侯爵夫人の話ではジュディスを死んだものとするための布石みたいだったけど、それもおかしい。
ジュディスは夏季休暇が終わっても学園に戻らず、退学になってる。サーザは夏にジュディスが家出したというし。
モーリスは10年前の時から……、その、ジュディスに性的な興味を持っていたようなことを言っていて……。
今回、モーリスと書類上だけでもジュディスと結婚し、ジュディスが不慮の事故で亡くなったとしてしまえば、隠れているジュディスは確実に生きにくくなる。隠れて、公的な配慮を受けにくくなるからね。
そうすれば困って、見つけやすくなるだろうと。
見つけたら、その……、モーリスの愛人として閉じ込めて……」
「なんてこと!!」
イリーナが立ち上がって叫んだ。それから、気づいたように言った。
「え? ジュディスは家出していないのに、いる振りをジュディスの御両親はしているの?
それで本人が不在のまま、婚約、結婚させて……。
婚家で死亡届を出す!?
それって犯罪よね!!」
「ああ……、でも、ジュディスがどこにいるか僕達にはわからないし、知らせたくても!!」
サーザの言葉にダグラスが言った。
「ロイヤー子爵にそのことは?」
ルイザがダグラスを見た。
「ジュディスの話を聞いて……、この恐ろしい計画を聞いて……。
ロイヤー子爵は、ジュディスの御両親は知ったとしても、ジュディスを差し出すような気がするわ。
もう家を飛び出した娘で。
家出したことを世間に知られるくらいなら、隠せるならば、カーライル侯爵家とモルテン伯爵家に従おうとするかもね」
マシューとサーザを見る。
「エルダ嬢はジュディスが家出をしてロイヤー子爵家にいないことを知らないようなの。
何か、彼女と腹を割って話せたら……。
マシュー、そうなんでしょ?
エルダはジュディスを守ろうとしてた。
あなたとは話ができて、侯爵夫人の前では親密な様子を見せないことができていたけど、サーザとジュディスは……」
「はい……、自分のできる範囲で彼女は……。
学園でジュディスと一緒の時も、侯爵夫人の目がジュディスに行かないように、わざと関わらないようにしていたようです」
「それなのに、サーザ、あなたは学園でジュディスを追いかけて、逃げられていたのに、婚約を申し込んで、ジュディスを追いつめた。
彼女が家出を決心するほどにね」
「だって!!
ジュディスと僕は特別なんだ!
初めて出会った時から、僕は彼女が好きで、彼女も僕を好きでいてくれた!
なんで……、こんなことに……」
サーザの悲痛な声が響いた。
「……もう、ジュディスのことはあきらめなさい。
彼女はもう過去に決別して、前を向いて生きてる」
ルイザが静かな声で言った。
「ジュディスはどこに!?
話をしたいんだ!
10年前、僕がバカだった!
今でも、愛しているんだ!」
ダグラスが言った。
「もうジュディスの隣にはロバートがいる。
2人は婚約している」
イリーナがびっくりした顔をした。
「えっ!? ロバート!!
本当に!
あの真面目で、見ていると歯痒くなるくらい自分を出さないロバートが!?」
ダグラスが苦笑した。
「イリーナ……、それにルイザも我が弟には厳しいな!」
「……ジュディスが婚約?
モーリスとではなく、ロバート・マクダウェルと?」
マシューの声にサーザが怯えたような表情をした。
ルイザがサーザに一瞬だけ痛ましそうな目を向けたが、すぐに冷静な表情を取り戻す。
「マシュー、サーザ。
私はジュディスを助けたい。
彼女は働いて、自立してちゃんとした生活をしているわ。
今は仮の名前を使って生活しているけれど、自分の本当の名前を名乗るための準備もしている。
ロバートとはその時に知り合って、お互いに大切に思うようになって、結婚の約束をして……。
私とダグラスに知らせてくれたの。
私はジュディスとロバートを守って応援するわ。
あなた達はどうする?」
読んで下さり、ありがとうございます。
後2話で次の第7章へ行きます!
過去にあったこと、今起こりつつあることがジュディスの協力者達の共通の認識になりつつあり、反撃していくことになります。




