24 席を外さない
どうぞよろしくお願いします。
「覚悟?」
マシューが首を傾げた。
「……まあ、私も詳しいことはわからないけど。
マシューとカーライル令息を連れて行くと言ったら、すっごく『やってやる!』って顔してたから」
「……マクダウェル公爵令息が?」とマシュー。
「いえ、ルイザ先輩が」
マクダウェル公爵家の屋敷の客間。
マシューとサーザは少々居心地の悪そうな様子でソファに座っている。
「何か敵地というか、アウエーっていうか……」
マシューがサーザに囁く。
「どういうことだろう?」
サーザも心許なげに呟いた。
その時、ドアのノックの後、前に学園で会った卒業生のルイザ・カンドール伯爵令嬢とイリーナ、そしてダグラス・マクダウェル公爵令息が入ってきた。
ルイザが「イリーナ、ありがとう。少し込み入った話になるので席を外してくれない」と言った。
イリーナは不満そうな顔をする。
「ルイザ先輩、私もロイヤー嬢のことは好きでした。
彼女が困っているなら助けたいです」
「イリーナ、ありがとう。
でも、これから先はカーライル侯爵家、モンテル伯爵家、そしてパトーキ伯爵家を敵に回すことになる。
あまり首を突っ込まない方がいい……」
ルイザの言葉の途中からイリーナが言う。
「それなら私も知りたいわ!
なんでロイヤー嬢がカーライル令息から逃げていたのか。
しかも学園をやめて……、あのモンテル伯爵令息と婚約!?
おかしいことだらけだもの!
それに話を整理するために、今の学園のことを知っている人間がいた方がいいと思います!!」
「……イリーナ、あなた、パトーキ伯爵令息とはどのような……」
ルイザが思案気に言った。
「うーん、友人かな。
図書館で知り合いました。学園に入る前です。
マシューは王立学院への進学を考えていて、お互いにそれぞれの学校の情報を教え合おうと、定期的に図書館で勉強会を。
最初は妹さんのことが心配だったのでしょうね」
「……恋人とか婚約を考えている仲ではないと?」
ダグラスが言うとイリーナは驚いた顔をした。
「ないです! 全くない!
本当に友人です!」
マシューも頷く。
「はい、イリーナとは本当に純粋に友人ですっ!」
イリーナが眉を顰める。
「何か……、ちょっと腹立つわね。
この才色兼備なイリーナ様をつかまえて、純粋な友人……とはね」
「才色兼備って自分で言うか!?
呆れるよ!
私に勉強のことを聞いてばかりだったじゃないか!
特に数学!
何度泣きつかれたことか!」
「あ! そんなこと言うなら、エルダ嬢のこと、黙ってあげてたのに!」
「イリーナ!?」
マシューが焦った顔をし、ルイザが慌てて止める。
「イリーナ、やめなさい!
わかったわ。
イリーナは口が堅いし、ジュディスのことも知っている。
パトーキ令息、カーライル令息、一緒でもいいかしら?」
マシューもサーザも頷いた。
ルイザは形ばかりの微笑みを浮かべた。
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