1 古都オブリス
ブックマーク、ありがとうございます。
とてもうれしいです! ジュディスと一緒に頑張ります!
第2章が始まりました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
ジュディスは古い歴史ある駅舎を仰ぎ見てほーっとため息をついた。
「来ちゃった……。憧れの古都オブリス……」
ジュディスはロイヤー子爵家でどんどん怒りを自覚しているうちに「家を出よう!」と思い至ったのだ。
自分のことを心配してくれているようで、最終的には自分達の都合を優先する両親。
そして、このままだと、サーザ・カーライル侯爵令息と婚約、結婚……。
パトーキ伯爵令嬢や、サーザの姉であるカーライル侯爵令嬢に何を言われるか、それもこのまま嫁になったら身内である。
ジュディスは身体を震わせた。
<恐ろし過ぎる……。死んだ方がマシだ!>
怒りに任せて学園から持ち帰った旅行鞄に、自分の手持ちのアクセサリーを突っ込み、制服は出して、普段着を入れた。そして、貯めてあった貯金箱の中身と、祖父母にもらって隠してあった紙幣のお小遣いを数えて頷く。
「うん、汽車賃と何とか2ヶ月は暮らせそう」
さて、どこに行くかである。
もう心に浮かんでいる場所がある。
進学したいと希望していた大学のある古都オブリスである。
いろいろ調べていた。
今なら午後の汽車、しかもこの曜日なら特別急行があるはず。まだ間に合う。それに乗り込みさえすれば、まだ陽のあるうちにオブリスに到着できる。
下宿やアパート、学生になれば寮もある。
学生向けのアルバイトもあるようだ。
ただ、今の状態のジュディスは学園を卒業していない。
つまり、学生でもなく、ただの女の子である。しかも家出した身であるので貴族ではなく平民である。
怯みそうになった。
でも、怒りが再燃した。
「そうよ!
死んだ方がマシなら、なんだってできる!!
それにオブリスに一度でいいから行ってみたい!!」
その時、ドアがノックされ「ジュディスお嬢様、昼の軽食をここに……」と声がした。
少し様子を見てドアを開けると、廊下にお盆が置いてあり、その上にチーズとハムと野菜を挟んだパンと切って盛られた果物、牛乳のコップが置いてあった。
ありがたく、果物と牛乳を頂き、パンはハンカチに包んで肩掛けカバンに入れた。
お盆はまた廊下へ出しておく。
ベッドにクッションなどを突っ込み、テーブルの上に『起こさないで』と書いた紙を置くなど発覚を遅くする工作をしてから、帽子と肩掛けカバンを身につけ、旅行鞄を手に取った。
「さようなら! ロイヤー子爵家!
永遠にさよなら! サーザ・カーライル侯爵令息!」
そう口に出すと、覚悟が決まった。
この時間なら、使用人が通る通路は人がいない。
みんな食堂にいるし、厨房などの仕事の使用人はこれから遅い昼食で奥の部屋に集まっている。
誰にも見つからずに、ロイヤー子爵家を飛び出したジュディスだった。
さて、勢いで汽車に飛び乗り、来たはいいが……。
そろそろ夕方である。今日の宿を早く見つけないといけない。
「とりあえず、街を歩こう!」
さすが古から大学の街だ。
落ち着いていて、店や空気感すら賢そうに思える。
<ああ、オブリスにいるのね! 私!>
胸がいっぱいになったジュディスは、ふと壁の貼り紙に目を留めた。
『急募!! 定食屋の店員
仕事内容:店の手伝い(配膳、食器洗い、掃除など)
時間は要相談。住み込み可。学生可。』
<そうよ!
住み込みなら、家賃がいらない!!>
ぐわっと貼り紙に近づいたジュディスだったが、深呼吸した。
<要検討よ! ほかにも募集があるかも!!>
街を歩き回り、何件かお店や工房の店員や売り子募集の貼り紙を見て……、ジュディスが戻って来たのは最初の定食屋だった。
このお店はその言い方は変だが、ジュディスには健康的に見えたのだ。
メニューが家庭的な、学園の寮の食堂を思わせるメニューで。店の造りも開放的な感じで明るい。
そして何より住み込み可。
そして、隣のパン屋では早朝のパンの売り子の募集もしている。
定食屋の働き方によってはそちらの仕事もできるかも!?
読んで下さり、ありがとうございます。




