6 家族
ここで1章が終わります。
少し駆け足で投稿してみました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
部屋に引っ込んだジュディスは頭を抱えた。
「これはまずい、だめだ、どうしよう。
このまま会ったら、しかも向こうは侯爵、こちらから断れっこない。
しかも、父も母も私の話なんて聞かずに……、あの時と同じね……」
ジュディスは自分で自分の身体を抱いて震えた。
「何が責任よ!!」
怒りの言葉が口から飛び出た。
「そう、私がこんなに苦しんでいるのも、あいつのせい!
サーザ……。サーザ・カーライル侯爵令息!
あんたの思い通りにはならないんだからっ!」
次の日、ロイヤー子爵家の朝食にジュディスは現れなかった。
夫人は眉を顰めて「起こしましょうか?」と夫にたずねた。
「いい、へそを曲げているんだろう。
昨日は食事を届けたようだが……、もうそんなことはよせ!
いいかげん、かわいそうな私でいれば何でも思い通りになると、そんな性根を叩き直してくれる!」
「お父様、お顔が怖いよ」
シャルルが笑う。
「あら、シャルル。お父様はお姉様のために怖い顔をなさっているのよ。
あなたもそろそろ、自分はこの家のために何ができるかを考えなくてはね」
「はい、お母様」
11歳になるシャルルは真面目な顔で頷く。
夫人はやはり気になるようで、近くのメイドに声を掛けた。
「ジュディスの様子を見てきて頂戴」
メイドが礼をして食堂を出て行く。
「あなた、飴と鞭ですわ。
いきなり話を進めないで、まずオフィーリア様と私とジュディスで話をしてみたいと思います」
「でも、正式な申し込みを頂いているのだ。
まずはジュディスを連れて、ご挨拶だろう!」
「あの子が頑固なのはあなた譲りですわ。
おわかりでしょう!」
「う、うーむ」
「あの時もそうでした。
もう帰りたいと言い出して。
せっかく侯爵家が身内のように御招待してくれたのに。
宥めても叱っても、ひとりでも帰ると。
あなたは、『勝手にしろ!』とおっしゃって、7歳のあの子は本当にひとりで帰ってしまったじゃないですか」
「でも、お前も帰りたくなかったのだろう!?」
「……それは、はい」
遠くの方で足音やドアの開け閉めの音が聞こえてきた。
メイドと執事が慌てたように食堂に駆け込んでくる。
「ジュディス様が!
いらっしゃいません!!」
「この屋敷からすでに出られたようです!
昨夜の夕食が手つかずで……」
子爵夫妻は顔を見合わた。
「いない?」
「出ていった?」
「お姉様、いなくなったの!?
家出って奴!?」
シャルルの驚きながらも少し楽しそうな声が食堂に高く響いた。
どうもありがとうございました。
第2章は家出したジュディスを追って行きたいと思います。




