22 頼って下さい
どうぞよろしくお願いします。
手芸用品店を出たジニーは大学の方へ歩いていく。
久しぶりの図書館だ。
メージに会えたら、話をしてみよう。
ロバートが話をと言ってくれていたが、なかなか会えない様子だったし、ジニーであるジュディスも図書館に近寄れなかったからだ。
今日は図書館の自習室の方で黙々と勉強する。
3月初めにある卒業認定試験は全科目申し込んだ。
一度受けておけば、科目の内容や雰囲気がわかるし、それにオブリスに来てからも真面目に勉強を続けていたことの実績にもなる。
ちょうどお昼になる頃、ジニーは肩を叩かれた。
見るとメージだった。
「メージさん!?」
ジニーは小さく囁いて「お話があります」と慌てて続けた。
「私もですよ。こちらにどうぞ」
ジニーはカバンに勉強道具を入れて、メージの後をついて行った。
案内されたのは前に利用させてもらった客間だった。
「ジニーさんはランチ持参ですか?」
「はい、パン持ってます!」
「では、お茶でも」
客間に入る時にメージは控えていた職員に何か告げた。
2人でテーブルに落ち着き、パンのお弁当を取り出す。
少しすると職員がお茶とメージのところにお弁当のような包みを届けた。
職員が出て行くとメージは包みを開いた。
「私の妻がお弁当の話を聞いてから、時々作ってくれてね」
「素敵ですね!」
見せてもらうと硬めのパンにハムとチーズと野菜が挟んである。
ハーブオイルが少し掛けられているのか、いい香りがする。
「おいしそう!
硬めのパンのパリパリとチーズ、相性良さそうです。
ハーブのいい香りがしますね!」
「ああ、私はこれが好きでね」
メージがにっこり微笑んだ。
ジュディスは思い切って聞いてみた。
「メージさん、あの、祖父と弟のことでしょうか?」
「はい、ラルフは気づいていますよ」
「お爺様は……。
もしかして私が隠れているのを察して……?」
「そうですね。
私には孫娘のジュディスを探していることは話してくれましたよ。
娘のマリアンヌから詳しい話は聞いているようです。
それに、ロバートの婚約者のジニーという女性はどんな人だ? と聞かれました」
ジュディスは申し訳なさそうにメージを見た。
「いろいろご心配をおかけして……」
「いや、そんなことはありませんよ。
ジニーさんは夏にひとりでオブリスに現れて、食と住居を見つけて自立して生活しながら高等教育の卒業認定と大学進学のために励んでいると。
その中でロバートと出会い、お互いゆっくりと愛を育んで将来の約束をしましたよ、と」
「ありがとうございます。
祖父は勘が鋭い方なので、たぶん、気づいてますね。
でも、私が隠れているから待っててくれてる……」
「そうですね。まず昼食を食べましょう」
「はい!」
ジュディスはちょっと涙目になりかけていたが、微笑むと切り分けてあるパンをひとつ取り上げた。
食べながら3月の試験のことをぽつぽつと話していく。
全科目受験することを伝えると、メージが頷いた。
「そこでジュディス・ロイヤーの存在を明らかにするということになりますね。
すでに自立していることを示せる証拠になります」
「はい! 頑張ります!
まあ全部合格できるとは思っていませんが……」
「いやいやわかりませんよ。
合格して卒業資格が得られれば、1年の飛び級ということですね。
そうしたら……、9月の後期入学に間に合います」
「えっ!?
まだそこまで考えては……。
奨学金を得ないと進学できませんし……」
「飛び級なら可能性が高いですよ。
そうなると一気にジニーさんのままではいられなくなりますね。
こちらの準備を前倒しにすることも考えませんとね」
食べ終えたジュディスはお茶を飲んで、息をついてから真剣な表情をした。
「メージさん。
祖父と弟に会いたいと思います。
祖父は大丈夫と思うのですが、弟は慌てていろいろ叫びそうなので……。
どうか、個室というかそういう場所で会えるように、そして同席をお願いできないでしょうか?
ロバートも一緒に……。
ああ、お願いばかりで、本当に……」
メージが微笑んだ。
「ジュディスさんがそう言ってくれるのを待っていましたよ。
それでこそ、私がここにいるかいがあったというものです。
もっと頼って下さい」
読んで下さり、ありがとうございます。




