18 ハンカチ
どうぞよろしくお願いします。
オフィーリアはパトーキ伯爵夫人の訪問を受け、笑顔で対応しつつ、少しげんなりしていた。
エルダも一緒なので、なんとか耐えられている。
こういう時、エルダがいてくれるのは助かる。
パトーキ伯爵夫人はサーザがアンナに対して冷たいようだと言いつけに来たのだ。
そんなことを言われてても、オフィーリアはオフィーリア。サーザはサーザだ。
母が意見したとしても、素直に聞く年齢でもない。
当事者同士で頑張るしかない。
それに……、パトーキ伯爵家の思う通りにアンナとサーザの婚約が成ったのだ。
サーザの意見はともかく、婚約者になれたのだから、そちらに頑張ってもらいたいところである。
泣き言を言い続けている伯爵夫人にエルダが言った。
「先日、王妃殿下の刺繍の会に参加したのですが、婚約者へ送るハンカチやタイの刺繍の話が出ましたの。
最近は伝統的な物だけじゃなく、デザインから工夫された物もあるという話になって。
王妃殿下が最近の物を見たいと仰られて、次の刺繍の会にそれぞれ持参することになりましたの。
アンナがサーザに贈ったあのハンカチ、持って行ってもいいでしょうか?」
「あら!
素敵ね!
王妃殿下に認めてもらって、このような素晴らしい贈り物をアンナがサーザに贈っていると周囲の貴族夫人や令嬢に知って頂けたら、サーザもアンナに惚れ直すのじゃなくて?
不仲と言われてしまっている噂も払拭することができるでしょう!」
オフィーリアはにっこりと賛成する。
アンナがサーザに贈ったハンカチ。
とても見事だった。
デザインも凝っていて、特にドラゴンをシルエットだけでなく微妙な色遣いで立体的に見える工夫と、名前の縫い取りで2人の色の青と赤茶の配色を難しい色合わせながら、上品に上手く使っていた。
パトーキ伯爵夫人が一瞬、息を飲んだ。
オフィーリアはそれを賛同だと思い、さらに言葉を続けた。
「いろいろな婚約や贈り物のハンカチが集まるでしょう!
その中でも特に注目されること間違いなしですわ!」
オフィーリアは手芸の会の貴族夫人や令嬢、そして王妃までもが感嘆して褒めるところを思い浮かべた。
「あ……、そうですわね。
その……、刺繍の会には、私とアンナは参加していませんので……」
「あら、残念!
でも、我が家に贈られた物ですし!
エルダ、次回持って行って皆様に見て頂きましょう!
きっと話題になるわ!」
パトーキ伯爵夫人が少し白い顔で頷いた。
「はあ、それは……。
わかりました。
アンナに伝えますわ。
あら、もうこんな時間!
私、長居してしまって。
失礼致しますわ!」
慌しく帰っていくパトーキ伯爵夫人。
「どうなさったのかしら?」
「さあ?」
エルダは気の乗らない様子でそれだけ言うとオフィーリアを見た。
読んで下さり、ありがとうございます。
うふふ、ハンカチの方も動き出しましたよ~!




