17 コート掛け
どうぞよろしくお願いします。
リビングに入ってくるなりロバートが話し掛ける。
「怖くなかった?」
「ふふっ、安全ランプ、部屋に入る前に点けたんです」
「やっぱり……、夕暮れ近かったもんな。
わっ!」
ロバートがジュディスに体当たりのように抱きつかれて声を上げた。
「どうしたの?」
「うん……、おかえりなさい……」
ジュディスは幸せそうな表情で、ロバートの肩に頭を預けて目をつぶった。
「ジュディ?」
「……ん!
ロイをたくさん補給できたので、もう大丈夫ですっ!」
きりっとした表情でロバートを見上げて「夕食の準備に取り掛かりますっ!」と離れようとした。
ロバートがその腕を掴んで、また抱き寄せた。
「俺の方の補給が終わってない」
ロバートの腕の中のジュディスが少し身体を固くしたのがわかった。
抵抗はしていない。でも、微かに身を固くして困っているかのような……。
ロバートは一度だけぎゅっと抱きしめると、ジュディスを解放した。
少し戸惑い気味にジュディスは離れて……。
息をついて「夕食にしましょう!」と微笑んだ。
パンは棚にあった物を先に食べることにして、ロバートがジュディスに買った物を聞いて、お金を払おうとした。
ジュディスはパンと果物のお金をもらい、笑った。
「ご馳走になります!」
「いや、こちらこそ!!」
笑い合って、一緒にサラダを皿に盛り付けたり、パンを温めたり、スープを温めたりと準備して、一緒に夕食を食べ始める。
ヴァイス男爵やシャルルとした話。
銅が採取できるようになれば、これからの需要で高値で売れるだろう。
質のいい銅を得るためには……。
ロバートの話の内容が専門的になるとジュディスには難しいところもあったが、楽しそうに、時々考え込みながら話を続けるロバートを見ているのは……、とてもうれしくて、こんな時間が、ロバートと2人で過ごす時間がとても愛おしいと思った。
食べ終えた皿を片付け、帰る支度をしてから気づいた。
「あ……勉強……」
ロバートも苦笑した。
「ごめん、勉強に来たのにな」
「まあ、ひとりの時に少しできましたけど。
特にわからないところもなかったし。
あったら、すぐに聞きに行きます!」
ふたりでコートを着て、玄関から出る時にジュディスが言った。
「前にハンガー、増やしたのに、またひとつにしたんですね」
ルイザとダグラスが来た時には玄関のハンガーが増えてたので、ないわけじゃない。
「ああ、ジュデイのコートの上に俺のコート掛けるの、嫌?」
「……わざと?」
「うーん、ちょっと、わざとかな?」
ロバートはコートを着たジュディスを見て笑う。
「俺のコートが抱きしめていたジュディのコートを着ているジュデイだ。
いつも俺が抱きしめてることにならない?」
ジュディスが赤くなる。
「……私も、それ思ってました」
読んで下さり、ありがとうございます。
わざとですよ!
最初にロバートがコートを二重掛けにした時から、むずむずしておりました。




