15 慎重に
どうぞよろしくお願いします。
昼に現れた3人を見てナオミが驚いたように言った。
「あれ?
アルにロブは今日は弁当だろ?」
「昼も夜も『一皿』の料理が食べられるなんて幸せだよー」
「何、馬鹿なこと言っているんだい!
まあ……、パンだけをかじってとかよりは健康にはいいか!」
「弁当は唐揚げの予定だよ!!」
ダンが厨房から大きな声で教えた。
「ありがとう!
なら、俺は生姜焼きにする。ロブは?」
「俺もそれで!
ロバートはどうする?」
「俺は弁当じゃないから唐揚げで!」
「あー、ちょっとは空気読めよ!」
唐揚げ好きなアルが目を三角にしている。
「いいじゃないですか!
夜には唐揚げ食べられるんだから!」
「んなことでケンカしないんだよ!
いい大人がっ!」
ナオミの声が飛んできた。
ジニーとナオミが運んでくれた定食にアルが喜びの声を上げる。
「わっ!
唐揚げ!!
ありがとうございます!」
生姜焼きの横に唐揚げが1個添えてある。
「マスター!
ありがとうございます!」
ロブが大きな声で厨房に叫び、ダンが片手を上げて応えた。
食べ終えたが、ジニーと2人で話がしたいロバートは店の様子を窺っている。
ナオミがそんなロバートの様子に気づいた。
「ジニー!
ロバートと少し上に行って来たら?
何か話したそうだよ」
「えっ?」
ジニーがロバートを見て、頷いた。
「はい!
少し休憩頂きます」
ロバートのところに来たジニーが小さな声で言った。
「10分くらいなら!」
そして先に階段の方へ進み、振り返ってから上っていった。
ロバートも後ろからついて行く。
部屋に入り、少し小さな声で話すジニー。
「今日は弁当便があるから、いつものように図書館に行きますけど、ロイは夕食は?」
「ジュディ、図書館はやめておいた方がいい。
午前中、ヴァイス男爵とジュディの弟のシャルルくんが来たよ」
「シャルルが!?」
「メージさんと男爵が友人だそうで、メージさんの家に泊まるとか」
「えー、メージさん、意外と顔が広いな。
バルテス先生に、お爺様とも!?
じゃ、どこで勉強すれば……」
ロバートは鍵を取り出してジュディスに差し出す。
「これ、ロイの部屋の?」
「ああ、弁当便の後、俺の部屋で勉強して待っててくれないか?
すぐ帰る様にするから……」
とりあえず鍵は受け取ってくれたジュディス。
「……安全ランプ、持って行っていい?」
「ああ、いいよ」
「わかりました。
今日は弁当便を届けたら、ロイの部屋へ行って、待ってます。
夕食の物、買っておく?」
ロバートがジュディスの手をそっと握った。
「メージさんにヴァイス男爵の様子を聞いてみるから、それまでは様子を見よう」
「はい……」
「本当は会いたい?」
「うん……、でも私が家出していること、お爺様は知らないかもだし……」
「そうだね、慎重にいこう」
階段を下りて行くと、もうアルとロブが会計をしていて『一皿』を出ようとしていた。
「一緒に戻ります!」
ロバートが会計に加わり、ジニーに手を振ると三人で店の外へ出て行った。
ナオミがジニーをちらりと見る。
「何の話だったんだい?」
「今日、夜ご飯を一緒に食べようって。
その約束をしました」
ナオミが少し心配そうな顔をして「ロバートの部屋?」と聞いてきた。
「はい」
「ロバートのことだから、変なことはしてこないと思うけど、十分注意する様に!」
「はいっ!」
そう答えながらジニーは笑ってしまった。
ナオミの向こうで、厨房の中のダンがもっと心配そうな顔をしていたからだ。
「大丈夫ですよ!
夕食を何か作るつもりですし!
私はちゃんと夜、帰ってきますから!
パン屋の仕事もありますしね!」
読んで下さり、ありがとうございます。
ロバート、ジュディスにそのうち鍵を渡したいなとは思っていて、スペアをカバンに入れて持ち歩いてました。




