12 家出の理由
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「ジュディス・ロイヤー……、ロイヤー子爵家の!?」
ダグラスが驚いたように声を上げた。
「ダグラス、続きを聞いて」とルイザの声に黙るダグラス。
メージが話を続ける。
「彼女は大学に進学したいと。
でも、学園は退学になるだろう。
お金を貯めてどこか地方の王立学院に入り直そうと考えていたそうだ。
私は卒業認定試験を受けたらいいとアドバイスした。
そして、彼女は働きながら勉学に励んでいる」
「ありがとう、メージ。
次は私が話そう」
バルテスが軽く手を上げてジュディスを見て微笑んだ。
「彼女はとても優秀で勤勉な生徒でした。
1年生の時から、ルイザ、君とも仲良くなり、私に大学へ進学したいと話してくれ、私もそのつもりで指導していました。
子爵家では進学を認めてくれないかもということもあり、奨学金を得られれば、可能性があると優秀な成績を取り続けていました。
2年生になり、入学してきた1年生の男子生徒サーザ・カーライルに追いかけられることがあり、逃げ回っていました。
心配して話を聞いたこともありましたが、子どもの頃のトラブルのことではないかと。
夏季休暇に入り、ジュディスもほっとしたのではと思っていましたが、夏季休暇が終わる頃、ロイヤー子爵家よりジュディスが体調を崩したため休学したいと届け出がありました。
そして、この1月。とうとう退学ということになりました。
その理由は体調のこともありましたが、婚約が決まったとのことでした」
「え? 婚約!?
私はここにいるのに?
体調のための休学に、退学……。
婚約って何!?
サーザとの婚約は白紙になってるはず!!」
ジュディスが驚いて叫んだ。
「ジュディス……。
私が聞いた退学の理由はモンテル伯爵家のモーリスと婚約し、そちらの準備に専念するというものだった」
「え……、なんで!?
何が起きてるの? ロバートっ、私……」
震えるジュディスをロバートが抱きしめた。ロバートも初めて聞く話に驚いていたがダグラスにゆっくりと話し掛けた。
「ダグラス兄さん、聞いてくれ。
学園の夏季休暇が始まってから、ジュディスはジニーと名乗りオブリスで生活を始めた。
本当にひとりで住み込みの仕事を探し、自立して生活しているんだ。
俺は9月に大学に戻ってきて、出会った。
ジュディス・ロイヤー子爵令嬢だと、すぐにわかったが、彼女は自分はジニーだと。
何かわけがあるのだろうと、俺は彼女を見守ることにした。
そして、彼女が終業式の日に子爵家で大学進学への反対と望まないサーザ・カーライル侯爵令息との婚約を押し付けられ、家出をしてオブリスへ逃げて来たことを知った。
彼女の力になりたいと思った」
ダグラスが困惑している。
「ん? 待て!
モーリス・モルテンの前に、サーザ・カーライルと?」
ジュディスが頷いた。
「はい、終業式から家に帰ると、サーザ・カーライル侯爵家令息から婚約の申し込みが来ていると。
私が大学進学を考えていると伝えると父に拒否され、カーライル侯爵家に挨拶に行くぞと。
私は幼い時から、いろいろ我慢していたことが多くて……。
その時……、思ってしまったんです。
死んだ方がマシだと。でも、死んだ気になるなら、何でもできるはずだと。
家を飛び出して、列車に飛び乗り、どうしても行ってみたかった、憧れのオブリスまで来たんです」
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