4 ルイザ・カンドール伯爵令嬢
どうぞよろしくお願いします。
年越しの日、ルイザ・カンドール伯爵令嬢は婚約者ダグラス・マクダウェル公爵令息と過ごすために王都のマクダウェル公爵家にいた。
「1月のオブリスへの旅行、楽しみです!
ロバートはちゃんとひとりでやれてるのかしら!?」
ルイザの言葉にダグラスが笑った。
「手紙が来ているよ。
母と君に、プレゼントまで同封されてた」
「まあ!?
あのロバートが!?
雪でも降るんじゃないかしら!?」
「まあまあ、どうやらお付き合いをしている女性がいるようだ。
プレゼントはその女性に言われて用意したってとこらしい」
紙袋と封筒をルイザに差し出す。
ルイザは本当に驚きの表情で受け取り、まず紙袋の方を見た。
『ルイザ様』とロバートの手ではない字が上の方に小さく書かれていた。
どこかでその字を見た記憶にルイザは一瞬動きを止めた。
「どうかした?」
「いえ……」
紙袋を開けてみるとハンカチだった。
ルイザの瞳は紫色だ。可憐な菫の花の刺繍がされている。『ルイザ』の文字がダグラスの瞳の色である
上品なグレイで刺してあった。
「素敵……。
わざわざ注文したの!?」
広げてみると反対側の角にも紫のスミレとグレイの羽根の模様が配置されている。
マクダウェル公爵家の紋章の鷲をイメージさせる立派な羽根だ。
「素晴らしいですね!
芸術的ですらあります!」
「だろう。母もとても喜んでいて。
あ、刺繍が違うんだな。
母の方は母の好きなカメリアの刺繍がされていた」
「そちらも見てみたいですわ!」
「どうやら、この刺繍作家らしいんだ。ロバートの彼女は」
「オブリスにいる方なのかしら!
お会いするの楽しみだわ!!」
封筒の方の文字はロバートのものだ。
ダグラスがペーパーナイフを貸してくれ、開けてみる。
目についた便箋を引き出すと、中にまだ小さい便箋が折り畳まれているのが見えた。
とりあえず引き出した方の便箋を読み出したルイザ。
驚いた表情になったが、読み終わると便箋を丁寧に封筒に戻した。
「恋人のことが書いてあった?」
「ええ、ロバートにはもったいないくらい素敵な方みたいね!」
その夜、年越しの挨拶をしてから自分の客間へ戻り、部屋にひとりになったタイミングでルイザはハンカチと手紙を取り出し、両方の手紙をじっくりと読んだ。
「ジュディス……、心配してたのよ。
確か、体調を崩して領地に行ったとかの噂を聞いたのだけれど……。
なぜ、オブリスに?
でも、ロバートがジュディス・ロイヤーだと言うなら、確実にそうよね。
それにこのハンカチの刺繍。
私が紫の花だと蘭を貰うことが多いのだけれど、本当は菫が好きって話、覚えててくれたのね……。
これは学園に確かめに行った方が良さそうね。
新学期が始まったら、バルテス先生をお訪ねしてみましょう」
封筒に2通分の便箋を戻し、そっと持ち上げる。
「わかったわよ、ジュディス。
アマンダ嬢とクラリオーネ嬢にも何とか、こっそり……、あなたの無事くらいは伝えられるように頑張るわ!」
読んで下さり、ありがとうございます。
ルイザ先輩!
頑張ってー!!




