2 将来
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これからもどうぞよろしくお願いします。
「お邪魔しまーす」
ロバートの住まいは大学から徒歩10分ほどの静かな住宅地にある学生や若手研究者向けの賃貸物件だ。
重厚な造りに高級感がある。
「さすが……、マクダウェル公爵家……」
「言うな。俺がすねかじってるみたいだろ!」
「おや? 違うと?」
「……まあ、援助してもらっているが……」
ジュディスが「くくくっ」と笑う。
「ジュディス……」
「なんですか? ロバート先輩?」
「……食事にしようか?」
「まだ早くないですか!?」
「いや、ゆっくり話したいし」
「そうですね。では準備しましょう!
でも、その前にお部屋見ていいですか!?
興味あります!」
「どうぞ!」
「わーい!!」
ジュディスは玄関でコートを脱いでロバートを見た。
ロバートはコートを受け取り、廊下のフックにぶら下がるハンガーにジュディスのコートを掛け、その上にロバートのコートを重ねて掛ける。
「あ、ハンガーない?」
「一緒に出るからこれでいい」
むず痒いような表情を一瞬浮かべたジュディスだが、すぐに笑顔を取り戻し、廊下のドアを指差した。
「ここは?」
ロバートがそのドアを開けた。窓のカーテンが開いていて、うっすらとベッドがあるのが見える。
「ここが寝室。クローゼットも」
「ほう、使いやすそうですね。
窓があるのは角部屋だからですか?」
「たぶんそうだと思う」
ジュディスはドアのところから覗き込むだけで入ろうとしなかった。廊下に戻り洗面所、トイレ、風呂と見ながら進み、キッチンとリビングに出た。
「へー、キッチンからリビングが見えるんですね。
ちょっと『一皿』みたい」
「お店と一緒にするな!
ここら辺の部屋はだいたいこんな間取りだよ」
「わあ、大きな窓!!
でも、冬はちょっと寒そう」
「うん、そうなんだ。
だから、カーテンは厚めで気持ち長めにしている」
「厚めかぁ……」
「ジュディス?」
「はい?」
「もう悪夢を見たり、寝起きで発作を起こしたりはない?」
ジュディスは微笑んだ。
「ほとんどないですけど……。
今、ランプを消して寝るのに挑戦中です。
あの部屋だからできるのかもだけど。
他の部屋だと、どうだろう?」
「……年末年始、うちに来ないか?」
「勉強するのに通って?」
「いや、泊まりで」
ジュディスが真顔でロバートを見た。
ロバートが少し慌てた様子で、でも言葉を探している。
「その!
ジュディスさえ良かったら……。
俺は将来、そのジュディスと結婚したいと思っている。
というか、一緒にいるなら、絶対、ジュディスがいい……。
ジュディスが好きだ。
一緒に幸せになれると、うん、幸せになろう」
「あー」
ジュディスが困った顔をした。
ロバートの表情が曇る。
「ダメか?」
ジュディスが小さく笑ってから、少し赤くなって言った。
「えっと、どっちの答えってか……。
うん、私もロバート先輩とこれからも一緒に……、その、好きです。
お付き合い……したいと思います。
私が大学に入るまで、結婚という形をとるのは待っててくれますか?
来年が、学園だったら3年生です。そこで卒業認定試験を受けて、大学も入学したい。
その後には、自立したジュディス・ロイヤーとして、ずっと一緒にいられると思います」
「ジュディス!!」
ロバートがうれしそうにそっと優しくジュディスを抱きしめた。
ジュディスもぎこちなくロバートの背中に手を回したが、なんとなく、まだためらっている。
ロバートはジュディスの耳元に呟いた。
「もしかして、困った顔はわざと?」
「……いえ、お泊りはナオミさんとダンさんが『ダメ!!』って言うだろうなーと」
読んで下さり、ありがとうございます。
人前では『ジニー』『ロバートさん』と呼び合うふたりですが、二人きりの時は『ジュディス』『ロバート先輩』と呼び合う仲になり、順調に心を通わせてました。




