1 大切な人
第5章が始まりました!
どうぞよろしくお願いします。
「素敵なカバーね
雪の結晶から……何かに?」
ロバートは手帳として使っているノートにつけているブックカバーを広げて見せた。
「ええ、雪の結晶から変化して明るい緑の木の葉になるんです」
「とても素敵だわ!
ブルーグレイから緑に……。
あら? もしかして、緑の瞳の恋人さんからのプレゼントなのかしら?」
「まあ……、恋人のような、大切な人から頂いたものです」
「とてもセンスがあるわー。刺繍も上手だし!」
「彼女、大通りの手芸用品店の隣の雑貨屋にハンカチやブックカバーなどを置いているそうなので、もし良かったら覗いてみて下さい」
「あら!
寄ってみるわ!
突然のおしゃべりに付き合ってくれてありがとね!」
「外は冷えますから、お気をつけて!」
ロバートはたまたま図書館で話し掛けられたマダムという感じの女性を見送り、またノートを開いて何かを書き込んでいる。
そこへジニーがやって来た。
ジニーが熱を出してロバートにジュディスであると認めて、これまでの話をしてから3ヶ月経っている。もう秋を過ぎ冬になっていた。
あれからロバートはジニーに他の部屋に移ることを考えないかと話をしたのだが『あの部屋だから寝られているんです』と言われてしまい、今のところその話は進展していない。
が、できるだけジュディスの生活を良いものにしたい。彼女を幸せにしたい。
そのために今日は自分の住んでいる部屋を見せようと考えていた。
ジニーはたった今、研究室に弁当便を届けてきたところで、今日はロバートが夕食を奢ると事前にナオミ達には話を通してあり、夕食後に『一皿』に送ることになっている。
一緒に図書館の外に出ると、すでに暗くなり始めていて空気が冷たい。
「寒くないか?」
ロバートはジニーに声を掛ける。
「大丈夫です。
でも、ここ、王都より寒いですよね。
山の方に近いからかな?」
「ああ、そうだな、少し北の方になるしな」
後二週間ほどで年末年始なので、通りにはすでに出店がちらほら出ている。
「わー、キャラメル掛けのポップコーンがありますよっ!」
ジニーのうれしそうな声に「じゃあ、買おう。1袋下さい!」とロバートは迷うことなく購入した。
ジニーが笑う。
「やったぁ!
あ、唐揚げとサラダは作ってきたんです。
後は何にしましょうか?」
「パンはあるし、ハムとチーズ、それにポップコーンもあるしな」
「ポップコーンは主食ですか!?」
人通りが多く、ロバートはジニーの肩を抱き寄せた。
ジニーが肩に掛けている料理が入っている袋が大きく揺れた。
「悪い、持つ」
料理の袋にロバートは慌てて手を伸ばした。
緊張と同時に浮かれていることを自覚し、少し顔を赤らめながら。
読んで下さり、ありがとうございます。




