↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/68

13 終ったな

この話で第4章は終わりです。

どうぞよろしくお願いします。

「……そして、気を失いかけていた時に、捜してくれてた侯爵家の使用人に助けてもらえた。

 でも、お父様に言われたの。

 今回のことは、お前が屋根裏にひとりで探検に行って、ドアの鍵が壊れて閉じ込められたことになったって。

 何度も私は言ったわ。

 あの子達に捕まえられて、閉じ込められたんだって。

 でも、私の言葉を聞いてくれる人は誰もいなかったのよ。

 アンナとモーリスだけ私が家に帰るとひとりで馬車に乗る直前に、それぞれの家の使用人に連れられて会いに来たわ。

『抵抗しなかったお前が悪い』と父が私に言って、ふたりともほっとした様子で頷いて戻って行った。

 サーザは来なかった。

 来ても会いたくなかったけどね。

 それ以来、暗闇が苦手なの。夢を見てしまうこともある。そんな時は起きた時にひどいと発作のようになってしまって。

 夜、この安全ランプの灯りを小さく点けておくのが私のお守りなの。

 ……不思議なんだけど、アンナもモーリスもマシューもエルダも、もうどうでもいいの。

 どっちかと言えば嫌いだけど、だからといって一緒にいるのが嫌とかそこまでじゃなくて。

 でも……、サーザだけはもう、関わらないというより、同じ場所に一緒にいたくないって、考えたくもないって思った。

 サーザの言葉、今ならあの場の雰囲気で言っちゃった言葉なのかもとも思うけど……。

 許せないの。あの時の私が。

 もう会いたくもないし、考えたくもないし。

 それなのに、サーザのことを考えちゃう。それが惨めだった。

 ずっと避けて、会わないように生きてきた。

 マシューが王立学院に行ったから、サーザもそっちに行くかと期待してたのよ。

 それなのに、貴族学園の方に来て……、私を見て……、待ち伏せして来て……。

 それで、逃げ回って、考えたくないのに強制的に考えさせられて、逆に姿を探しちゃって……。

 夜、悪夢にうなされて……。

 夏季休暇までって頑張った。

 家に帰ったら……、サーザから婚約が申し込まれてて、私は嫌だって、大学に行きたいって言ったけど、父も母もやっぱり私の言うことを聞いてくれない……。

 もう、いい加減、頭にきて、爆発しちゃってその勢いで家を抜け出して、オブリス行きの特別急行に乗っちゃったってわけ。

 で、なんとかとりあえずひとりで生きてみようって。

 図書館で試験を受ければ大学に入れるって知って、もう、家も学園も本当に捨てた。

 ここからは私ひとりで、したいように生きる」


 ジュディスは大きく深呼吸した。


「ジュディスがここにいる理由はわかった。

 逃げてきて正解だと思う」


 ロバートがゆっくりと言った。


「ありがとう」

「で、今は何を無理してこうなってるの?

 ナオミさんが何か無理したって……」


 ジュディスは笑った。


「終わりにしたくて。

 私、刺繍の仕事もしてるの。

 どうやら刺繍が苦手な貴族令嬢のゴースト、みたいで。

 今回、依頼してきた令嬢の名前はわからないんだけど、婚約者に贈る物で、縫い取る名はサーザ」


 ロバートは目を丸くした。


「それって……」

「ふふっ、私との婚約を取り下げてくれたのを知れたのは良かったけどね。

 あ、言っちゃった……。私がそのハンカチの刺繍を刺したことは秘密にしてね。

 仕事として取り組んだけれど、できるだけ早く自分の手元から手放したいって思って、ちょっと無理しちゃった……」

「……そうか、けじめって感じ?」

「うん、これを完成させて手放せば、本当に自分の中で終わらせられる気がしたの」


 ロバートが横になっているジュディスの頭をそっと撫でてくれた。


「うん、頑張った。

 偉いぞ!

 もう終わったな。休め」


 ジュディスはふふふっと笑ってから、少しとろんとした目でロバートを見上げた。


「また……、うなされたら……、助けてくれる?」

「ああ、助ける」

「うん……」


 ジュディスが目を閉じ、寝息を立て始めた。

 その寝顔を優しい微笑みで見てから、ロバートは部屋を見回しため息をつく。


「それにしても……、ここは環境が悪すぎる。

 せめてもう少し、よく寝られる場所に……」

 

読んで下さり、ありがとうございます。

ロバート!

ジュディスは今のところ、ここの方がよく寝られるんです。

第5章はジュディスがオブリスで迎える年末年始から始まります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。