9 助けて
どうぞよろしくお願いします。
「おかえり……。
ジニー、終わったのかい?
大丈夫かい?
ここんところ、ちゃんと寝てたのかい!?
まあ、あの部屋は少々騒がしいかもしれないけれど」
「ご心配おかけしてごめんなさい。
刺繍の方で大きな仕事を貰って。
急ぎでしかも秘密にして欲しいっていう仕事で……。
手元に持っていたくなくて、急いで時間を作って終わらせちゃった。
ちょっと無理しちゃったかも……」
『一皿』に戻ってきて、ちょっとふらつくジニー。
終ったというほっとした気持ちがどわーっと溢れ出して、身体中が疲れていてだるくて、重い。
「ちょっと!
ジニー!!
今日はもう寝なさい!!
頭悪い子じゃないと思ってたから、何も言わなかったけど。
こんな無理するのはだめ!
身体壊すよ!!」
ナオミがジニーの身体に触って驚く。
「熱もあるじゃないか!!
早く寝なさい!!」
「ごめんなさい……」
「いいんだよ……。
これまで気を張って頑張ってきた疲れが出たのかもね。
ほら、階段を上がるよ!」
ナオミに支えられて、2階の部屋に行き、寝間着に着替えてから洗面所に行き、寝る支度をするとベッドに強制的に寝かせられる。というか、もう寝るしかできない。
カバンは机の上にナオミが置いてくれた。
水分と消化のいいスープをナオミが持って来てくれて、なんとか食べ終える。
「食べられれば大丈夫と思うけど。
寝てなさいよ」
額に濡れたタオルを当てられた。
ナオミが階段を下りている音がしている。
ジュディスはうとうとしながら「ああ、夜になるからランプを点けとかなくちゃ……」と呟いた。
デスクの上にランプはある。
でも、もう身体が動かない……。
ふと目が覚めた。
暗い……、窓の方を見ようとして、何か顔の上に被さってる。
いやだ……、苦しい……。
あれ、これ、夢?
いつもの屋根裏の夢?
全身に巻かれた毛布を外そうとするけど、手が上手く使えない。足も。
口に毛布が張り付いたらいやだ、息ができなくなるかもしれない!
急にそんな恐怖に襲われる。
いやだ! いやだ!
懸命に手を動かすけれど、なかなか手が動いてくれない。
どうしても結び目が解けない。
夢?
それとも今起きていること?
手をつかまれた。
誰?
でも、とにかく今は助けて欲しい。
「た、助けてっ!」
「助けるから!
大丈夫だから、ジュディス!」
自分の名を呼ばれて我に返った。
いつもの下の階のお客さん達の話し声が戻ってくる。
目が開く。
いつもより暗い。
ランプを点けられなかったからだ……。
誰かがそばにいて、支えていてくれる。
ぼんやりとした明かりの中にいたのは……。
「気が付いた?」
「……ロバートさん?
なんでここに?」
「ナオミさんが様子を見てきてくれって」
「……なんでロバートさんに!?」
「一番信用されてるから」
「えー」
「助けるには何をしたらいい?」
「……机の上の安全ランプ。
引き出しにライターがあるから点けて欲しい」
「わかった」
ロバートはそっとジニーをベッドに寝かしつけると、机の方に行き、窓の明かりを頼りにランプを点けてくれた。
「ありがとうございます。
机の上で。置いといてくれれば」
ロバートがベッドの方に来て、ハンカチを取り出すとジニーの額の汗を拭いてくれる。
「あ、ごめんなさい!
タオルならある!」
「いい、これ使え。
拭いたら、水飲むか?」
「はい、飲みたいです」
素直にジニーは呟いた。
読んで下さり、ありがとうございます。




