8 追い立てられる
どうぞよろしくお願いします。
なんだかそのまま、ぼーっと『一皿』まで帰ってきて、お弁当のお礼を言ってお弁当箱を洗い、そして自分の部屋に入ると気づいた。
「あ……、作ったハンカチ委託するの忘れてた。
前回のお金もだ!
えー、なんで、こんなに、あれ?」
ぼそぼそと呟いてベッドに座りこんで、少し考えようとするが、考えがまとまらない。
ベッドの上に置かれた封筒を見て、首を傾げるジニー。
「おめでたいことなのに。そうなるだろうと思ってたのに……。
なんで……、ショックを受けてるんだ!?」
ベッドにパタリとひっくり返って、天井を睨んで……。
「うん、仕事だもの。ちゃんとやり遂げる」
起き上がり、封筒を掴み机に向かい、机の上に紙と鉛筆を出し、ハンカチのデザインを考え始める。
<銀糸の飾りは上品に、全部じゃなくて角の部分のみチェーンで葉のように入れるか……。途中にも入れてもいいか。
ドラゴンは青でシルエットを。
名前の部分……、紋章と同じ青だと……。
うーん、手持ちの鮮やかな青と……>
裁縫箱を出して、糸を並べて色味を確認する。
「うん、前に買った鮮やかな青の糸をアクセントに使おう。
赤茶の糸は名前部分のポイントと、あ、ドラゴン周りに赤茶でお城を入れるとかどうだろう!」
だんだん自分の声が元気になってきたのがわかった。
うん、大丈夫!!
ふとベッドの上に置いたカバンから雪の本が飛び出ているのが見えた。
<この仕事が終わったら、取りかかるから、待っていて!>
その日から、ジニーは依頼のハンカチを刺し始めた。
早くやっつけて、自分の元から出て行って欲しい。
無理をしているという自覚は、あった。
でも、何より、これを終わらせないと、次のことが何も考えられない。
隙間時間、睡眠時間をやりくりして(というかあまり寝る気分になれなかった)、気持ちに追い立てられるように一週間で仕上げた。
急いでも手を抜かないように丁寧に仕上げた。
「はあ、できた!」
次の日、昼の光で検品してから、午後の休憩時間に出掛けさせてもらい、雑貨屋に届けた。
前回の売り上げと、持ち帰ってしまったハンカチも委託してきた。
「すごく早いけど!?
大丈夫?
なんかすごく疲れてるみたいよ!!」
アトラにものすごく心配されてしまった。
「うん、早く終わらして、責任を果たしたくて……。
これが手元にあると、なんか落ち着かなくて……」
「……依頼の仕事はセーブした方がいいかもね。ジニーは。
真面目過ぎるのよ!」
「そうかなあ……」
「そうよ、仕事に精魂使い果たしちゃだめよ!!」
「ひひひ、でも、終わってほっとしてる。
これで、もう、このこと考えなくて済むから……」
「うん、お疲れ様!
依頼者との確認が取れたら、代金が貰えるからね!
楽しみにしてて!」
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