6 お弁当作り
どうぞよろしくお願いします。
9月の第3水曜日。
定休日!
早朝のパン屋から戻ると朝食後にナオミと一緒に弁当を作った。
ここのところ、少しずつ、料理を教えてもらっているジニー。
一口サイズに平たく切った鶏むね肉に、溶いた卵に擦ったチーズと胡椒を入れた物を衣のようにつけて焼いていく。
「ピカタって言うんだ。
卵だけでもいいんだけど、その場合は下味に塩胡椒をしっかり振ること。
チーズを入れるといい塩気になるんでね、それは加減でね」
真剣な顔でフライパンと格闘しているジニー。
ダンが冷めている茹で野菜を出してくれた。
「これも一緒に詰めろ。いい彩になるぞ」
「ありがとうございます!!」
ピカタを冷ましている間に、丸パンに切れ目を入れて、ハムと葉物野菜を挟んだ。
お弁当の容器に、ハムサンドパン、ピカタ、茹で野菜と詰めていく。
ナオミがお手本に詰めて見せるのをマネして詰めていくジニー。
「ああ、できた! なんかかわいい!」
「うん、いいね。
じゃあ、これも持って行きなさい」
「え?
2つも食べられませんよ!」
「……ロバートにやりな」
「え?」
「図書館で勉強を見てもらうんだろ?」
「……言いましたっけ?」
「ロバートから申告があったんだ!」
「えーっ!」
ナオミが弁当箱を2つ布に包んで結び、フォーク2本もナプキンに包むと、袋に入れてくれた。
「……ありがとうございます」
「なに、そんな顰めっ面してんだい!?
笑顔で行ってきな!」
「はあ、なんて言って弁当を出そう……。
んー、ナオミさんが作ってくれたことにすればいいや!」
図書館前の広場でロバートが待っているのを見つけて、走り寄る。
「お待たせしました!」
涼し気な笑顔で「待ってないよ」と言い返してくるロバート。
黒い髪にグレイがかった青い瞳。ブルーグレイというよりは青く……。
ジニーはふと雪の結晶をイメージした。
「どうした? 行くよ」
「あ、はい!」
ジニーはワクワクしていた。
<青みの強い上品なブルーグレイを中心に、青、水色、黄緑あたりを使って雪の結晶を刺したらきれいかも!>
図書館に入り、話のできる自習室で少し苦手な数学を教えてもらう。
「だいぶ理解が進んだね。
ここまで分かればもう単位的には取れてると思うな」
「そうですか!」
「うん、次は問題を解きながら、つまったところを確認して行けばいい」
「はい!
ありがとうございます」
「お腹空いた?」
「はい?」
「なんか疲れた顔してるよ」
「それは苦手な数学を頑張ったからです……」
図書館のテラスに出て、テーブル席に座り、弁当を出し始めるとロバートが「飲み物買ってくる」と離れて行った。
うーん、どっちが私の詰めた方だ?
ジニーは二つの弁当を見て、眉を寄せた。
少し睨んでから片方を選んで開けてみたら、こっちがナオミが詰めた方だった。
そのタイミングでロバートが戻ってきてしまい、蓋を開けてない方をロバートがひょいと取った。
「こっちが俺の?」
「ちがう、こっち!」
「……何が違うの?」
「こっちがナオミさんが作った方!」
ロバートが目を瞬かせ自分の手の中のお弁当箱を見る。
「じゃ、こっちは?」
ジニーが目を横に動かし「そっちも……、ナオミさんかな?」と小さな声で言った。
「ふーん、じゃあ俺、こっちのナオミさんが作った方ね!
はい、お茶」
読んで下さり、ありがとうございます。




