5 常連のお兄さん
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次の日からロバートはひとりでも『一皿』によく顔を出すようになり……。
弁当便で研究室へ行った時、出会わなかったとほっとして図書館に行き、勉強を始めたら、隣の席に来た! なんてことが続き……。
ロバートはジニーが『ジュディス』と気づいてると思うのだが……。
きちんと『ジニー』として接してくれている。
すぐにジニーも『一皿』の常連客で大学生のお兄さんのロバートさんとして接することができるようになっていた。
お喋りできる関係になると……、気になることをそれとなく探りたいもの。
「ロバートさんはその、大学にどうやって入った……のですか?」
弁当便の帰りに図書館で会って、そのまま『一皿』に夕食を食べに行くというロバートと歩きながら、ジニーは切り出した。
ロバートは少し考えてから話し出した。
「私……、いや、俺は王都の貴族学園にいて、次男であるから家のことは関係ないし、希望で大学に進学した」
「貴族学園……、進学する人珍しいですよね?」
「よく知ってるね」
ロバートのブルーグレーの瞳が面白そうに輝く。
「っと、メージさんに聞いたんですよ!
大学に入る方法を聞いた時に!
貴族学園は家を継ぐ方や王都の官吏になる人も多いからって!」
「ふーん、ま、同じ学年は俺を入れてふたりだったな」
「へー……。その方は、何を専攻されて?」
「……ディアスのことが気になるのか?」
「ディアス?」
誰? 思い出せないな?
本気の『誰だろう?』という表情に気づいたロバートが苦笑する。
「ジェラルド・ディアス。
奴は地理学で、入学するやいなや、帝国の方へ留学してるよ」
んー、なんか図書館で帝国の地理歴史書をよく読んでいた先輩がぼやっと思い出された。
ああ、あの人かな?
そっか、大学にいないのか! 良かった!
思わずほっとしてしまい、はっとしてロバートを見ると笑っている。
「いなくて良かった?」
「いえ、その、じゃあ、ロバートさんは一緒の学園から来た同期の方がいなくて、寂しいですね」
「いや、それほどでも。
もともと、分野が違うからディアスともそれほど親しくはないし」
「は、そうですか……」
「ああ、夏に王都の方へ行ったけど、家の用事を済ませたら、俺もひとりで旅行してたぐらいだ。
そんなに同期とか友人とかは……」
「王都に……」
「ああ、本当は帰らないつもりだったんだけど、兄貴が婚約してね。
家族の顔合わせに、まあ、兄貴は嫡男だしな。
それで、王都に」
ん?
マクダウェル公爵家だったら、サーザの姉のエルダが候補だったはず?
「じゃあ、その婚約者の方はロバートさんのお義姉さんですね。
どんな方だったのですか?」
「そんなこと知りたいの?」
「いえ、その……、後学のためですよ……」
「何の後学だよ?
ま、いいか。知りたいんだもんな。
ルイザ・カンドールだ」
「ルイザせ……! へー、ルイザさん、素敵なお名前……」
ルイザ嬢はロバートと同じく生徒会で会計をしていたしっかり者の伯爵令嬢だ。
1年生の時、バルテス先生の部屋に質問に行くと同じように質問に来ていて、上の学年の話などを時々聞かせてもらう仲だった……。
じゃあ、エルダは?
エルダもその学年にいたけれど、こちらにも関わってこようとしなかったので……。
「どうした?
王都では兄とルイザの婚約が大ニュースになってたぞ」
ロバートの声になんだかからかうような響きがあるのに気づいて、ジニーは気を引き締めた。
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