4 意味ありげな
ブックマークとリアクション、ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。
執事が客間に入ってきてカーライル侯爵に耳打ちした。
「失礼、少しの間だけ。すぐに戻る」
カーライル侯爵と執事が出て行くと、サーザがぽつりと言った。
「そんなに……、僕は、ジュディスに嫌われているのでしょうか?」
「まあ、この結果を見ると……、そうでしょうな。
まあ10年前になりますか……、ジュディスを最初に屋根裏へと続くところまで連れ出したのはサーザ様だとお聞きしています」
「ああ……、それは本当。
みんなで屋根裏探検をしようっていう話になって。
ジュディスを僕が誘った。
ただ、参加せずに部屋にいた姉に呼ばれて、戻ったら、もうジュディスはいなかった。
アンナとマシューから『怖がって帰った』と言われて……。
夜中だよ。
叩き起こされて、ジュディスがいない、戻っていないと知ったのは……」
「それは災難でしたな」
「災難だなんて……。
僕は捜しに行こうとしたんだ。でも、止められて。
無事に見つかったと聞いて、すぐに会いに行きたかったのに、それも止められて。
『朝になれば会える』と言われて我慢してたのに。
朝にはもう、ジュディスはいなかった」
「……ジュディスが帰りたいと我儘を言いましてな。
まあ、自業自得とはいえ怖い目に遭ったのですから。
でも、『怖い目』に遭ったのがうちのジュディスで良かったですよ」
「……え?」
「侯爵家のエルダ様や伯爵家のアンナ様でしたら、こう穏便には済まなかったでしょう」
「……ロイヤー子爵?」
「私はジュディスの自分自身の過失ということになって良かったと今でも思ってますよ。
まあ、こうしてまたのジュディスのやらかしで白紙になりましたが、未だにカーライル侯爵家がジュディスに対してすまないと思って下さっていることがわかりましたから。
婚約を白紙に戻すこと、了承しましたので。
もしかしたら、このことを知ればジュディスもへそを曲げるのをやめて戻ってくるかもしれません」
サーザは目を伏せた。
「うん、無事に、ジュディスが無事に戻ってくることを祈るよ」
その時、侯爵と執事が戻ってきて「お前は戻れ」とサーザに言った。
サーザは頷き、侯爵家の中をゆっくり歩き出した。
まだ頭が何か変な感じだ。
あの、ロイヤー子爵の意味ありげな『連れ出したのはサーザ』『怖い目に遭ったのがうちのジュディスで良かった』という言葉が頭をグルグルする。
何があったんだ?
ジュディスはただ迷子になって、事故で閉じ込められていた……だけじゃない!?
でも、アンナとマシューは帰ったと言ってたし。
あの後、屋根裏を少し探検したけど、おかしいところはなかった。
連れ出したことを怒っているなら……、あの時、アンナが『エルダが呼んでる』と呼びに来て、ジュディスにもすぐ戻ると言って……。
『いいよ!
サーザ! 暗いから、階段、気を付けてね!
待ってる!!』
暗い所で待つ自分よりも、サーザのことを心配してから、にっこり微笑んでくれた。
大好きだった。
でも、今は、今のジュディスが帰って来られるようにしないと……。
読んで下さり、ありがとうございます。




