3 齟齬
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反応があるとすごくうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
「そ、そんなことが!
……子爵もひどいわね。
今は女性も学問を修めてという生き方はありだと思いますわ!
サーザはそこのところ理解があると思います。
でも、子爵がそのように頭ごなしに……」
「ええ、本当に。
ジュディスが本当にかわいそうで。
夫のせいで、また心を頑なにして、今度は家を出て行ってしまうなんて……」
「それは、マリアンヌも御心痛ね。
何かできることがあれば……。
でも、ジュディスには……。
本当にあの夜のことは、申し訳なく思っています」
サーザの母であり、憧れの親友のオフィーリアとお茶をしていたマリアンヌは、急に謝られたことに驚き慌てた。
「いえいえ、侯爵家のお立場をお守りするためにも『子どものいたずらでの事故』ということでと夫から聞いております。
こちらこそ、ジュディスが勝手にしでかしたことで……」
オフィーリアは怪訝そうにマリアンヌの顔を見た。
「勝手にしでかした……こと?」
「はい、夫からはそう聞いています。
ジュディスが勝手に屋根裏の方へ探検に行き、ドアの立て付けのせいで閉じ込められたのでしょう?
そして、いなくなったと騒動に!
本当に変なところが知りたがりで頑固者ですから……」
マリアンヌは軽くため息をつき『わかっていますからご安心を』という気持ちを込めてオフィーリアに微笑みかけた。
「……あの後、ロイヤー子爵家がジュディスをひとりで家に帰したのが、少し引っかかっていましたの……。
騒ぎにならぬよう医者に見せるためかと思っていたのですが……。それでも……。
何故、ジュディスをひとりで?」
「あの子の希望です。
自分で暗い所に行って、あ、サーザ様に何か言われたらしいですが、でも、自分のいたずら心で屋根裏部屋に入り、閉じ込められて、結果、凍えそうになったのですから……」
オフィーリアの表情が険しくなる。
「自分で?
ジュディスが自分で?
違うわ。
あれは……、たぶん、あの時、家に来ていた子どもの……、誰かの仕業だと思います」
「え……?」
「ジュディスは……、両手両足を縄で縛られ、屋根裏で毛布を掛けられていたらしいの。
怖かったでしょう。苦しかったでしょう……。
必死にもがいて自分で縄を解いたのでしょうね。
子どもの手による拘束でゆるくて解けたようですが、手首、足首、赤く痕になっていました。
そして、真っ暗な中、這いずってドアの所まで行ったのでしょう。
必死にドアを叩いて……」
「え?」
「ドアには鍵までかかっていました。
見つかった時は身体がすっかり冷え切っていて、手を、こう、固く握りしめて、気を失いかけてた……。
本当にかわいそうだったわ」
「え……?」
「その後、あなたがジュディスの所へ行ってくれたと聞いて、安心してましたのよ。
でも、なぜかジュディスだけ帰ると、本当にそのまま馬車で帰ってしまって。
その後、何度お誘いしても、一度もジュディスをお連れにならないから」
マリアンヌの脳裏に7歳のジュディスと話をしているところが思い出された。
「もう、いい加減になさい!
こちらの侯爵家に大変なご迷惑をおかけしているのよ!
一緒に招かれているパトーキ伯爵家にもモンテル伯爵家にもうちの恥を!
もう、あなたのような強情な子は知りません!」
7歳のジュディスはベッドに半身を起こしていたが、手も身体も布団から出さずに背を丸くしていた。
自分のしでかしたことに対して反省しているのだと思った。
夫からはジュディスが勝手に屋根裏に入ってしまい迷子になり迷惑をかけたと聞いていたからだ。
「もう帰りたいの。
ここは怖い!
お願い!
おうちに帰りたい!」
その時、夫が戻って来た。
「侯爵家としては穏便に済ませたいそうだ。
伯爵家も巻き込むことになるからね。
子どものいたずらで……」
「ああ、でも良かったですわ。
ジュディスのいたずらで話が済むなら!
良かったわね、ジュディス。
侯爵夫妻はご迷惑をお掛けしたことを怒らずに許して下さるそうよ」
「お父様! お母様!
違うわ!
私、何もしていない!
私、閉じ込められたの!
私、もう帰りたい!!」
「いい加減にしろ!!
話はこれで無事に治まったんだ!
蒸し返すな!」
「いや!!
なら、ひとりで帰る!」
「勝手にしろ!」
「あなた、怒鳴らないで!
私はもうシャルルのところに戻りますわ!
後はあなたが何とかして下さいませ!」
あの時、ジュディスはどんな顔をしていた?
遠くからオフィーリアの声が聞こえた。
「ごめんなさいね。
うちの子なら問い質して叱れるのだけれど、他の家の子となると……、いろいろと難しくて……。
ロイヤー子爵が提案された、ジュディスの不注意による事故という話に、夫が乗ってしまって……」
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