2 婚約が嫌だった!?
ブックマークにリアクション、どうもありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いします。
「ジュディス嬢が家出!?
いつ?」
カーライル侯爵家の客間に侯爵の驚いた声が響き渡った。
同席していたサーザの表情も驚き、そして強張る。
「……終業式の日です。
カーライル侯爵家から婚約の話を頂いたので、挨拶に行くという話を……。
口論になり、娘は自室に籠り……、昼食も夕食も食堂に下りて来ず。
次の日の朝、部屋を確認するともぬけの殻……。
学園から持ってきた旅行鞄もなく……、状況的に終業式の日の午後には家を出ていたのではないかと……」
絶句する侯爵。
サーザが口を開いた。
「……前のように、どこかへ閉じ込められたり、または誘拐されたりということはないんですか!?」
「サーザ!」
「だって!
前の時も、子爵は『ジュディスがわざと隠れている』って、捜そうともしなかったじゃないか!」
ばつの悪そうな表情になるロイヤー子爵。
「……婚約を娘は嫌がったんですよ」
「は?」
「ジュディスは、サーザ様との婚約を嫌だと。
メイドも……、ジュディスが『死んだ方がマシだ』というようなことを叫んでいたのをドア越しに聞いたそうです。
他にも何か言っていたようだが、その言葉だけ大きく叫んだようで、聞き取れたと」
カーライル侯爵の顔に怒りが浮かぶ。
「うちの息子のせいだと言うのかね」
「いや……、そんなことは。
ジュディスが一番悪いです、はい」
「……書置きなどもないのかね」
「はい、全く。
テーブルの上には『起こさないで』と一言だけ、これは寝ているから起こさないという意味で、そのせいで、夕食を届けたメイドもベッドを確認せずに部屋を出たそうで………」
「気づいた時にはもう一晩過ぎていたということか……」
「はい。なので、誠に申し訳ないのですが、今回の婚約の話は最初からなかったことに……」
カーライル侯爵が頷いた。
「承知した」
「父上っ!」
サーザが驚いたような声を上げる。
侯爵は息子を見て言った。
「どういうわけだか、ジュディス嬢はお前を許していないようだ。
前回のことも、納得しているはずなんだが。
ロイヤー子爵、もう10年になる。
あの時、あなたはジュディスが全て納得している、許していると話していたが……。
学園では全く話をしてくれないのだろう。それどころか目も合わせてくれないらしいじゃないか」
ロイヤー子爵は驚いてサーザを見た。
「それは! 本当のことですか!」
サーザが頷く。
「はい……。
話をしたくても、声を掛ける前に逃げられるか、避けられるので……。
きちんと話をしたくて、今回、婚約を申し込ませて頂いたのです……」
「何ということだ!
それを知っていれば、娘にもきちんと話をしましたし、この婚約を……勧めなかったのに!」
「ジュディスは……、ジュディス嬢は何も学園でのことを子爵家で話していないのですか!?
新年度が始まってから、一度も家に帰っていない?」
ロイヤー子爵は黙りこんだ。
それから、やっと口を開いた。
「うちにはシャルルがいますので。
ジュディスが帰ってきても……。ですから、新年度からやっと帰ってきたのがあの終業式の日でした」
サーザもカーライル侯爵も怪訝な顔をする。
「ん?
ジュディス嬢に帰って来てもらいたくなかったのか?」
侯爵の言葉に慌てて首を振る子爵。
「いえいえ、ですが、まあ、帰ってきたとしても……。
特に何もなく、また学園にすぐ戻りますし」
読んで下さり、ありがとうございます。
人のせいにして、論点をずらす人。




