1 ロイヤー子爵家
第3章が始まりました。
どうぞよろしくお願いします。
「……カーライル侯爵家よりお手紙が届いております」
「うーん、これで……」
「3通目でございます。
さすがにもう『お嬢様の体調不良』で押し通すのは……」
「うむ、まだジュディスは見つからないか!?」
「はい……、お部屋を確認しましたところ、かなり計画的に準備なさっていたのではないかと。
となると、すでに王都を出て、地方へ行かれていたら……」
「ううう、もう8月半ばだ!
学園はどうするつもりなのだ!」
「……これだけ連絡も何もないということは、ジュディスお嬢様はかなりの覚悟で家を出られたのだと思います。
となると、カーライル侯爵家をこのまま欺いているわけにも参りません」
「欺いているなど!
娘が、婚約のことを話したら、家を飛び出していってしまったなど!
外聞が悪すぎるわっ!」
ドアがノックされ、執事がドアを開けると、ロイヤー子爵夫人が入ってきた。
手に封筒を持っている。
「私のところにもオフィーリア様から手紙が。
『一度、ジュディス嬢のお見舞いに息子と伺いたい』と……」
「いないのだから、無理だろう、断れ!」
「あなた!
いいかげん、カーライル侯爵家にご相談しましょう!」
「何と言うのだ!」
「ですから……、ジュディスは婚約を嫌がり……、家を出てしまったと」
「それはわからないぞ!
書置きも何もないのだからな!
夏季休暇が終わる直前にひょっこり戻ってくるかもしれん!」
「戻ってくるにしろ、今の状況をカーライル侯爵家にお伝えしなければ!
これでは大変な失礼に当たります!」
「……いいのか、婚約は白紙になるぞ。
親友のオフィーリア様との夢だったのではないか?」
夫人はため息をついた。
「どうしようもありません。
もともと本当に夢のような、無理なお話しだったのです。
あなたもカーライル侯爵家に……、あのサーザ様にジュディスが嫁げるとは全く考えていませんでしたでしょう?
もともとないお話しなのです。
ここはきちんとお互いの家のためにも白紙に戻して頂きましょう」
ロイヤー子爵は項垂れた。
「カーライル侯爵家に伺うと……、返事をしてくれ」
執事が少しほっとした表情で提案した。
「では、この都合を聞いていらした日時に伺うとお返事致します」
「頼む」
「私も御一緒します。その旨をお願い」
「承知致しました」
夫人からのお願いにも返事をし、執事が下がる。
「はあ、ジュディス……。こんなに我々に心配をかけるとは。
マリアンヌ。お前の教育が甘かったんじゃないか!?」
「……それを言うならあなたですわ。
ジュディスの教育はあなたが主導されていたじゃありませんか!
私はシャルルが生まれてから、嫡男のシャルルのことを第一に考えよと言われ、ジュディスと関われることは少なくなっていましたから……」
「だから、あの侯爵家の夜、ジュディスがいないことに誰も気づかなかった、というわけか!」
「あれは!
あなたがメイドに確認する様に言わなかったのでしょ!
私はまだ1歳のシャルルを抱えてましたのよ!!」
読んで下さり、ありがとうございます。
全然計画的じゃないんですけど。




