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少し長めの序章 12.王都への道中~スキルの確認(その2)~

 1は所謂(いわゆる)バフ・デバフ系のスキルだろうが、これに関して気になるのは、クリスが【光魔法】を持っているという事である。【光魔法】が治癒・回復系の魔術体系らしい事は、ここに来るまでの会話の端々(はしばし)からも察せられた。つまり、【光魔法】はバフ系の魔法だという事だろう。

 そうすると、残るデバフ系の魔法は【闇魔法】という事になるが……?



(……神官様も、【闇魔法】については能(よ)く解ってないような口ぶりだったし……教会のお偉方に任せときゃいいのかね?)



 少なくとも、自分の口からは漏らさないようにしよう――と、決意するクリス。迂(う)闊(かつ)な事を漏らした日には、固有(ユニーク)スキルの事まで明るみに出かねない。大体、そのスキル名だけでも物議を醸(かも)しそうな名前なのだ。

 そう――この固有(ユニーク)スキルがなぜまたこういう奇天(きて)烈(れつ)な名前なのかというと、



(……〝特定の条件下〟ってのが、〝鉄・火・花の存在する条件下〟ってんだからねぇ……)



 「鉄(てっ)火場(かば)」というキーワードは、恐らくは賭博師というクリスの前世から引っ張ってこられたのだろうが……日本語を直訳した際のバグなのか、或いは神の茶目っ気なのか、鉄(刀剣)と火(戦火)、そして嘗(かつ)ての緋牡丹の刺青(いれずみ)からか、更に花をキーとするスキルになっていた。クリスの前世を知らなければ理解できないキーワードの組み合わせであり、逆に言うとこのキーワードを追及されると、前世の事まで芋蔓式に露見しかねない。



(……何が何でも隠しておかなきゃいけないね……)



 バフとデバフの事は、巧く立ち回れば【光魔法】と【闇魔法】で説明できるだろう。その点は幸いと言えば幸いである。


 そして2の〝複数の魔法やスキルを相互に関連付けて発動する事ができる〟という能力については……正直なところ能(よ)く判らなかった。尤(もっと)もクリスは、〝孰(いず)れその時が来れば判るだろう〟――と、あまり気にしていないようであったが。


 それよりも寧(むし)ろ問題なのは、この【鉄(てっ)火場渡(かばと)世(せい)】が「調整型のスキル」であると同時に、「統合スキル」という面を持つ事である。と言うか、原型となった調整型スキルに、幾つかのサブスキルを統合したものらしい。


 改めてそのサブスキルを見ると……


 【裏稼業】ステータスの確認や隠蔽・偽装ができる。

 【勝負勘】戦術などとは別に、勝負どころの機を見る能力。前線指揮にも最適。

 【博才(ばくさい)】全般的な幸運値は人並みだが、博奕(ばくち)絡みの幸運値だけは基本的に高い。それだけでなく、イカサマを使ったり見抜いたりする才能も高い。

 【ガン】生前の優れた記憶力と【博才(ばくさい)】が相互作用した結果、スピンオフして派生したスキル。元々はカードや牌(はい)の傷や汚れから手役を看破する技術だが、それ以外にも人や物の細かな特徴を識別して記憶する事ができる。僅かな違和感を元に、隠れている魔物や敵を見つけ出す事もできる。



(……自分で言うのも何だけど……使えそうと言うか、使い処に困ると言うか……聖女様には向かなそうなスキルだねぇ……)



 ――ただ、これではっきりした事が幾つかある。


 先程の博奕(ばくち)で勝ち続ける事ができたのは、前世の経験がものを言ったのも確かだろうが、【勝負勘】【博才(ばくさい)】【ガン】といったスキルが利いていたのは間違い無い。


 そして――



(……こういったスキルやステータスの事が「祝福の儀」で明るみに出なかったのは、この【裏稼業】ってスキルがやってくれてた――ってわけかい。……ありがたいっちゃあ、ありがたいねぇ……)



 前世持ちにして物(ぶつ)議(ぎ)スキル持ちという今の境遇に鑑(かんが)みれば、有益なスキルである事は疑い無いし、実際にありがたいものだとも思える。ただ……



(……この〝統合スキル〟ってやつ……他にも色々と奥の手を隠してそうなんだよねぇ……)



 それだけは微妙に気になるクリスなのであった。


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『鉄・火・花』グリップあたりに花の絵柄でも盛り込んだ銃持っておけば常時発動条件下にあるのでは…?(鉄・火花)
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