少し長めの序章 11.王都への道中~スキルの確認(その1)~
(まずはコモンスキルってやつから始めるとするかね。魔法スキルについちゃ、まるで見当が付かないけど……)
――それ以外のスキルについては、思い当たる節が無いでもない。
(……てか、【剣術】に【体術】に【投擲術】って……前世のあたしの十八番ばかりじゃないのさ……)
女だてらに莫連渡世など送っていたせいで、身を守る術には長けざるを得なかった。無道な殺生こそしなかったが、朱鞘の長ドスを振るって敵を斬り伏せたのも一度や二度ではない。実戦仕込みの喧嘩剣法だが、全くの我流というわけでもなく、一応は古流の小太刀を基本としている。
手裏剣や印地打ち――飛礫――の他に素手での古流柔術も、身を守るのに役立ってくれた。その――謂わば前世で自分の身を守ってくれた技術が再び使えるのだとすると、これは心強い事この上無い。
……と同時に、そんな技術が必要になるだろう自分の今後というものに、漠とした不安も覚えざるを得ない。
(……まぁ、そんなのは今更考えたって詮無い事だね。魔法についちゃ、教会とやらの連中が何か教えてくれるだろうけど……気になんのは、グノア村での「祝福の儀」の時に、三つのスキルについて何も言われなかった事なんだよねぇ……)
あの時、教会から派遣された神官が口にしたのは、四つの魔法スキルを持つという事だけだった。非魔法スキルの三つ――【剣術】に【体術】に【投擲術】――については、単に口外しなかっただけかもしれないが……
(……他にも幾つか気になる事もあるし……まずは、この如何にもな名前の、【鉄火場渡世】ってスキルを確かめてみるかね)
「鉄火場」というのは前世の日本語で賭場という意味だが、こういう言い回しはこちらの世界には無かった筈だ。そもそも「固有スキル」というのはその人物に特有のスキルで、そのスキル名も保持者の個性を反映したもの――言い換えると、他人には意味不明な文言になるケースが多い……というような事はチラと耳にした事がある。
という事はつまり、この固有スキルは自分の前世――女賭博師・緋牡丹お駒としての生き様に関わるものなのだろう。そう考えると……
(……さっきの博奕で、相手の持ち札が手に取るように判ったのも、このスキルのお蔭って事なんだろうかね……)
ありがたいと言えばありがたいが、十歳の少女に、それも態々固有スキルに設定してまで、与えるほどの恩恵なのか?
訝しんだクリスがむーんとスキル名を睨んでいたら、期待どおりにスキルの説明がポップアップしてきた。ありがたき哉、視線入力。
ともあれ、ポップしてきたヘルプファイルによると……
(……へぇ……この【鉄火場渡世】ってスキル、一種の統合スキルなのかい……)
どうやらこの固有スキル、本来は調整型のスキルとして設計されたものらしい。しかもその内容たるや――
1.特定の条件下では自分の能力が向上すると同時に、敵の能力を低下させる。
2.複数の魔法やスキルを相互に関連付けて発動する事ができる。
――というものらしい。
(これだけ見た限りじゃ、漠然としてる反面で無難そうなスキルなんだけどねぇ……)




