小さな偉業③ 報酬
「さて……」
流石に疲れた。
だが、その前に確認することがある。
「オープン」
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守護者:神薙和人
クラス:式神使い
契約式神:2体
契約可能数:0 → 3体
レベル:2 → 5(EXP:10000/40000)
称号:ゴブリンスレイヤー
体力:200 → 500
魔力:300 → 900
筋力:11 → 14(+100)
耐久:11 → 14(+100)
敏捷:11 → 14(+100)
感応:11 → 14(+100)
幸運:11 → 14(+100)
スキルポイント:1 → 4
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"称号獲得"
称号『ジャイアントキリング』
遥か格上を倒した者だけが得られる名誉
効果:
レベル差が10以上離れている場合、30%の特効を付与
称号における共通の制約:
称号を付け替えた際、消滅する。
称号をストックすることは出来ない
"本称号に付け替えますか?"
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「おぉぉぉ」
思わず、そんな声が漏れてしまった。
レベルが想定以上に上がっていたこともそうだが、新しい称号まで。
倍率は控えめだし、ゾンビ戦法が使えなくなるのは心苦しい。
それでも全ての敵に適用されるのは魅力的だし、俺の敵は天上だ。ゴブリンじゃない。なので、考えるまでもなかった。
「付け替える」
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"称号変更を確認"
『ジャイアントキリング』へ変更を行いました
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「ふぅぅぅ、少しはこれでマシになるな」
流石にずっとゴブリンスレイヤーというのも嫌だった。とはいえ半年付き添ってきた奴だし、この勝利もアレがあったからこそではあるから、名残惜しさはある。
まぁ付け替えてしまったし、いつまでも感傷に浸るつもりもない。前を向こう。
「さて……、ボスのアイテムは、と」
低ランクのデッドダンジョンは美味くない。
だがそれは道中の話で、ボスに限ればそうでもない。経験値もそうだが、何よりボスから手に入るアイテムはレア物である確率が高いのだ。
そうして、レッドオークがいた所に視線を向けてみれば、1本の刀が落ちていた。
「刀……か」
それを手にし、確認してみる。
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武器:『鬼神刀』 ランクD
鬼の力の一部を宿した刀
攻撃力+100
効果:
同じ敵を斬り付ける度、攻撃力が10上昇(最大50)
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「いや、普通に強いな……」
俺がさっきまで使ってたのは、守護者用に加工された日本刀。その攻撃力は20なので、5倍の性能差だし、追加効果で更に最大50も上乗せ出来るという。
これはありがたく使わせてもらおう。
──ブゥンッ!
「ん?」
鬼神刀を回収すると、真横にウィンドウが表示される。一体何だろうかと思い、確認する。
"『式神使い』によるダンジョンソロ攻略を確認"
"追加性能の解除を行います"
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"解除を確認。今後、魔石を使用することで、契約できる式神を増やせるようになりました"
"ダンジョン攻略時点のレベルを参照"
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・
攻略不可能レベルでの攻略を確認しました"
"追加の報酬を……"
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・
・
・
・
"ERROR"
「?」
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
「なんだ……これ」
最初の性能解除についても気になるが、その後の大量に表示されてくるエラー画面、これはなんだ?
(攻略不可能?確かにレベル1で、このダンジョンを攻略出来たこと自体、奇跡ではあるが……)
それにしたってこれは一体……。
それからもウィンドウにはエラーが表示され続ける。
それを眺めていれば──
"ERROR"
"ERROR"
"ERROR"
・
・
・
・
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・
"システムへの介入を確認。排除を……"
"はははは、はいじょ"
"他はgjガタがm@.p.@M46らた942た"
・
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・
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・
"神の想定を超えたことを確認しました"
"神薙和人。貴方が逸脱者であるか、見極めさせて下さい"
「逸脱者? ……いやまて、これは!?」
介入という文字についても気になるが、それ以上に気になるのはコレだ。
本来、ウィンドウに表示されるのは機械的な内容なだけのはず。にも関わらず俺個人を呼び、更には見極めさせろという内容が表示されている。
明らかにこれは、誰かの意思がないと不可能なことだ。
つまり──
「お前、まさか天上か!!」
"その問いに答える時間はありません"
"が、そう呼びたければご自由に"
「ずいぶんと、舐めた態度だな。お前らの所為でどれだけの人たちが!!」
"そうですね。ですが、今はどうでもいい"
「なんだと!?」
"時間がない"
"私から貴方に報酬を贈ります"
"本当に逸脱者であるというのなら、生き抜きなさい"
"今から1年後、厄災が起きます"
"生き残って、見事傷跡を残せたのなら、その時にまた会いましょう"
「厄災だと!? どういうことだ!!」
"それを伝えるだけの時間はない"
"ですが、貴方が天上へ叛逆せし不適合者であることを願う"
「何?」
"それではまた、1年後に会いましょう"
・
・
・
・
・
・
"システムの復旧を確認"
"追加報酬を授与します"
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装備:『叛逆の指輪』 ランクS
登録者:神薙和人
効果:
取得経験値が10倍となる
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"報酬の授与完了"
"これより、ダンジョンを消滅させます"
"中にいる者を強制的に排出いたします"
「はっ!? いやまて! まだ何も分からないことだらけなんだぞ!! 何勝手に──」
"排出"
最後にそのウィンドウが見えた瞬間、俺たちは光の中に包まれていった。
"神薙和人。貴方の世界が、これ以上悲しみに包まれないことを祈ります"
「私たちの世界のように」
***
「俺たちを排出しようとして──」
光に包まれたかと思えば、見覚えのある景色がそこには広がっていた。
「本当に、外に、出された……」
バッと、門があった方向を見るが、そこにはもう何もなかった。
はじめっから存在していなかったかのように、何もない土地だけが広がっている。
「くそっっ!!」
千載一遇のチャンスを逃した。
この50年、向こうからコンタクトしてくることなんて、一度もなかったと言うのに……。
(それに、厄災? どういうことだ、まったく!!)
何一つとして分からなかった。
だが確かなのは、あいつは俺のことを見ているようだ。だとすればこの先、生き延びた先で、奴が言っていたように、再びコンタクトしてくるだろう。
──キュルゥ……
──チュン……
「……そうだな。色々疲れたし、戻るか」
考えても仕方ない。
服はボロボロ、体中血まみれ。
さっさと帰って風呂に入ろうと、思考を切り替える。
そして明日にでも協会に顔を出そうと考える。
十中八九信じてもらえないが、自分一人で抱えるには大きすぎる内容だった。
──ごほんっ!!
「ん?」
(何やら、後ろから咳き込みがあったな?)
恐る恐る後ろを振り向いてみれば、三人の男女が俺たちを見ている。
一人は恰好からして同じ守護者のようで、唖然とした表情のまま、俺を見ている。
そして他の二人は見たところ、守護者協会の………………。
(え、なんでいるの? 俺、ちゃんと許可取ったよな!?)
あの許可は嘘で、実は俺をハメる罠だったのか?と、思考がパニックに陥る。
それに、あのクソ局員ならあり得ると、容易に想像できた。
なにせ、俺に消えてほしいと切に願っていたくらいだ。こんな罠を仕掛けるのもお手の物のはず。
だらだらと冷や汗が止まらない中、協会の人と思しき、一人の男性が俺の方へと近づいてくる。
(どうする。同じ守護者がいる以上、逃げることはできない)
そもそもの話、そんなことをしてしまえばお尋ね者になってしまう。それだけは避けたかった。
(いや、ここは堂々としよう)
俺は何も悪いことはしていない。
ちゃんと許可を取った。うん、そう信じよう。
なので、毅然とした態度で打ってでる。
「協会の人がなんでここに? 俺、きちんとダンジョンの入場許可は取ってたはずですが……」
「安心してほしい。それは我らも確認している」
それを聞きほっとする。
どうやら捕まることはなさそうだ。
まぁそれはそれで、別の疑問が出てくるわけだが。
「なら、なんで協会の人と、同じ守護者がここに?」
「君、自分が何を成したのか、理解していないのか?」
「? ただダンジョンを攻略しただけですが? 確かにデッドダンジョンで、何度も死にかけましたが、本質は何も変わらないでしょう」
そう答えてみれば、その男性は目を見開きながら、俺を凝視する。さながら子供が好きな物を見つけたかのように、キラキラと輝いて見える。
そして、さっきまで固まっていた守護者の人が、『そんなレベルの話じゃないだろ!』と、叫ぶ。
「お前、自分のランクが何なのか分かってるだろ!」
「Fランクはダンジョン攻略が不可能。それが?」
「お前……」
「そんな常識どうでもいい。強くなるために、そして天上のクソ野郎どもをぶっ潰すためなら、この命くらい、いくらでも懸けてやる」
「っ!?」
「素晴らしい!!」
「は?」
そう豪語してみれば、その局員はガシッと、俺の身体を掴む。
いや、そもそもの話、これは一体どういう状況だ?
「君はまさしく、私が求めていた呼び水だ」
「なんの、話を……」
「天上の者たちを倒す。そうだ、それが聞きたかった! この3日、待った甲斐があったよ」
「さ、笹倉室長? 一体、どうしたと……」
(笹倉!?)
確か、守護者協会日本支部のナンバー2で、作戦立案から守護者の管理などを一手に引き受けてる、生粋の苦労人。
この人がいるから、まだ日本が残っていると言われるほどの大物だ。
なんでそんな人が……。
「倉瀬3等星。君の言った通り、彼には資質があると思わないかな?」
「……俺は一般的な守護者でしかない。実際にそうかはまだ分からないですよ」
「構わないさ。少なくとも彼にはその片鱗がある」
「は? いやだから、一体何の話を……」
意味が分からない。戻ってきたと思えば、今度はよく分からないいざこざに巻き込まれている。
頼むから帰らせてくれないか。
「さぁ、立ち話はこれくらいにして、協会へ戻ろうか」
「は? あの、俺の意思は?」
「すまないが、少しだけ我慢して欲しい」
「え˝」
ガシッと、笹倉さんに今度は腕を掴まれ、ずるずると引きずられる。
(は?なんで守護者でもない人がこんなに力強いんだ?)
「はぁ……、笹倉さん、大丈夫なのか?」
「さ、さぁ?」
「ははははは! さぁ、我々と戻ろうか」
「いや、頼むから誰か、この状況を説明してくれ、頼むから!!」
そんな嘆きも虚しく、俺は結局彼らと共に、協会へと連行される羽目になった。
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守護者:神薙和人
クラス:式神使い
契約式神:2体
契約可能数:3体(追加契約まで、0/5000)
レベル:5(レベルアップまで、10000/40000)
称号:ジャイアントキリング
体力:500
魔力:900
筋力:14(+100)
耐久:14(+100)
敏捷:14(+100)
感応:14(+100)
幸運:14(+100)
スキルポイント:4
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クラス『式神使い』
式神と契約し、共に戦いながら成長する者
契約出来る式神は、レベルを上げるか、特定条件を満たすことで増やせる
式神には格があり、格に応じて、体力と魔力以外の全ての能力値に補正をかける
4級:1体につき、能力値50上昇
3級:1体につき、能力値70上昇
2級:1体につき、能力値100上昇
1級:1体につき、能力値150上昇
特級:1体につき、能力値200上昇
式神の格は、特定の条件を満たすことによって上がる
制限解除:
魔石に内包されるエネルギーを抽出し、一定値を超えると、契約できる式神が1体追加される
(魔抽:0/5000)
制約:
レベルを上げるには通常の20倍、経験値が必要
魔石のエネルギーを抽出するには、己の力で魔物を倒すこと
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称号『ジャイアントキリング』
遥か格上を倒した者だけが得られる名誉
効果:
レベル差が10以上離れている場合、30%の特攻を付与
称号における共通の制約:
称号を付け替えた際、消滅する
称号をストックすることは出来ない




