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天上の不適合者~クソクラスと言われた式神使いで世界を歪めた者たちへ反逆する~  作者: 風間悟
第3章:幼馴染と不適合者

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天上 VS 不適合者⑤ 天上 VS 不適合者 Ⅳ

「ここは……」


 目覚めれば、光の空間に立っていた。


(俺は、死んだのか?)


 永久を助けたことで、俺の右上半身は消し飛んだ。


 であれば、ここは死後の世界なのだろうか。

 困惑しながらも辺りを見渡せば、奥に一人、見知らぬ誰かが立っていた。



(人? いや、死後の世界なら、本物の神か?)



 そんなことを考えながら、その者の所へと歩き出せば、俺に気づいたのか、振り向く。



"驚いた。まさか巫女に続き、君までここに来られるだなんて"



「っ!?」


(なんだ、直接脳内に!?)


 言葉を発していないのに、意味だけが頭に浮かぶ。あまりにも不可思議な現象だ。


 そしてふと、これに似た事象があったという話を思い出す。



「お前、咲とも会ったことがあるな?」


"正解"


(やはり。ならこいつが、咲と話したという……)



 警戒を強めようとするが、不思議と目の前にいる者への敵対心が生まれてこない。


 むしろ、懐かしささえ……。



"警戒しなくていい"

"僕は敵じゃない"



「……俺は、死んだのか?」


 その問いに、その者は首を振る。



"ここはいわば、生と死の狭間みたいなものだ。そして君はまだ死んでない。君の大切な家族が、必死にその命を繋ぎ止めているからね"


「式神たちが?」


 その問いに、そいつはコクリと頷く。



「だったら、俺を元の場所に戻してくれ! 咲たちが──」


 ブゥンッと、目の前に何かが映し出される。

 そこには咲が、今にも殺されそうな場面だった。



「咲!!」



"ここでは、時間の流れを自在に変えられてね"

"君のために、時の流れを限りなく遅くした"

"だから、君が目覚めてからでも十分に間に合う"



(こいつ、何者だ……)



 得体のしれない存在に警戒を強める。

 そしてそいつは、構わず言葉を続けた。



"全ての扉を開けないで来られたのは、巫女との強い絆があるからかな?"

"……いや、それもあるけど、あ(・)の(・)子(・)た(・)ち(・)が招いたというべきか"



「何を、言っている?」



"うん、そうだね。僕には君たちの気持ちが痛いほどに分かるよ。……辛いことだろうけど、いずれ大(・)切(・)な(・)■(・)■(・)と(・)お(・)別(・)れ(・)す(・)る(・)日が来ると思う"



"だけどそれは、今ではない"



「待て! 今、何を言った!? 誰と別れるって言うんだ!」



"ごめんね。今はまだ話せない"


「ふざけるな。そんな思わせぶりなことを言って! お前は一体、誰──」



"話せない代わりに、少しだけ手助けをしよう"


 そう言うと、目の前にウィンドウが現れる。


 そこには──



======================


 星の守護者から

 スキルポイント150を授与されました


 自動的にポイントを『纏』に割り振りました


======================



======================


 スキル:「纏」

 魔力:1000


 使用制限:1日に20分間使用可能

      解除と再発動はいつでも可能

 威力:絶大

 ステータス:400%上昇

 追加効果:状態異常半減


 制約:スキルポイントを消費することで、本来の性能を取り戻す(SP:250 / 400)


======================



「なっ!? それに、星の……、守護者?」



 そこには、カリスやイーリスが言っていた、『星の守護者』という単語が表示されていた。


 更には『纏』が類を見ないほどに強化され、驚愕する。



"式神使いにかけられたプロテクトの解除は無理だけど、スキルの強化くらいなら手伝えるからね"



「お前は、何者なんだ……」



"いずれ分かるよ"

"それと特別に、欠損した身体は治してあげるから、安心して戻るといいよ"



「っ!?」



 不意に視界が暗くなっていく。



「ま、待て! 一方的に言うだけ言って……」



"次は巫女と一緒に、正規の手順を踏んで来てくれると嬉しいかな"

"何、裂(・)け(・)目(・)を(・)突(・)破(・)できれば、いずれ会える"


"そして新たに覚醒せし、星の守護者よ"

"願わくば、神──天(・)上(・)を(・)比(・)定(・)せ(・)し(・)不(・)適(・)合(・)者(・)で(・)あ(・)っ(・)て(・)ほ(・)し(・)い(・)"




「っ!?」



──キュルル!

──!!!



「コノエ、翡翠……」


 意識が戻ると、現実へと戻っていた。

 そして右上半身を見てみれば、綺(・)麗(・)に(・)復(・)元(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)た(・)。



(分からないことだらけだが……)



 やらなければならないことがある。

 このままだと、咲が……。



「コノエ、やるぞ!」


──キュルゥ!!


 コノエの身体がエネルギー体となり、俺の中へと入っていく。



「翡翠、ありがとな」


──♪♪♪



 感謝を伝え、式神使い最強の奥義の名を唱えた。





      纏:コノエ────絶焔《ぜつえん》





***



「すぐ終わらせる。皆で、生きて帰ろう」



「「うん!」」



 咲たちにそう伝え、空を飛ぶカリスを再度睨みつける。



(右腕が復元されてる。再生か?)


 俺も似たような体験をしてきたばっかりだが、天上というのはなんでもありのようだな。


 回復スキルならまだしも、再生スキル持ちなんて、この世界で果たして何人いることやら……。



(まぁ、どうでもいいか)



 『纏』が強化されたことで、今は負ける気がしない。


 それに──



「纏:万雷」



──パリッ



 コノエから万雷に対象を変更し、雷の如く、カリスがいる上空へと移動する。


「速っ!?」



「尖爪雷牙《せんそうらいが》!!」



 そのまま刀に万雷の力を乗せ、破壊の一撃を浴びさせる。カリスといえど、反応しきれず無防備に俺の攻撃を浴びることになった。



「ぐぎゃぁぁああああ!?」


 全身を雷の刃で焼かれながらも、更に上空へとカリスは逃げる。



「いいのか? 時(・)間(・)切(・)れ(・)だ(・)ぞ(・)」

「な、何? っ!?」


 遥か上空から、炎を纏いし槍が飛来する。

 更には、四方八方から魔法攻撃が迫り来る。

 そう、救援の到着だ。



「このっ、雑魚が!!」



 右腕で暴風を発生させ、全てを吹き飛ばす。

 が、それで安心するなよ?



「纏:キリカ──疾風神斬(しっぷうかみきり)の舞《まい》!!」



 刀を振り上げれば、無数の風刃が雪崩のように迫り来る。



「っ、忌まわしき星の守護者め!」


 暴風を纏い、そのままカリスは無数の風刃へと突っ込み、力任せに突破してくる。


「貴様だけは、ここで!」



「纏:クロウ──幻想と現実の混沌《イリュージョン・カオス》」

「なっ!?」


 スゥゥと、俺の存在をゼロにする。

 そして俺を認識出来なくなったカリスはそのまま、空振りして、地面へと着地する。



「奴め、どこに────ぐぼぉあっ!?」



 奴の前に姿を現し、そのまま何度も顔や腹を殴ったり蹴りを喰らわせる。

 もう、反撃の暇は与えない。


 そのまま、渾身の左ストレートを浴びせ、体勢が崩れたタイミングで、更に追い打ちをかける。



「纏:プラン──エンドレスワルツ」


 地面から無数のツルを召喚。そのまま翼をツルで拘束し、今度は刀でカリスを追い詰めていきながら、ツルによる挟撃も合わせる。



「もう空にも飛ばさせない」

「小賢しい手を!」


 ガキンガキンと、何度も刀と暴風を纏ったカリスの腕が交わる。

 その間も、俺を邪魔しないよう、様々な魔法攻撃や弓や銃といった遠距離攻撃が飛来する。


 更には俺たちのツルによる攻撃も合わさり、カリスはじわじわと、対処が間に合わなくなってくる。


 それを物語るかのように、カリスの身体には無数の傷が出来ていた。



「ぐぅぅぅ」

「纏:コノエ」


「っ!? ぎゃあああああ!!」



 一瞬の隙をつく。

 プランからコノエに入れ替え、炎を纏わせた刀で残りの右腕を斬り落とした。



(なぜだ、なぜこうも俺が……)



 絶望させるために来た。

 俺たちの娯楽のために、そして安寧のために!


 初めこそ俺が望んだ結果であったというのに!



「終わりだ、カリス!!」

「っ」


 コノエの炎を纏った刀を振り下ろそうとした瞬間、ボコボコと、カリスは左腕を再生させ、『消失』を発動させる。



「貴様が終わりだ!」

「纏:万雷」


「小癪なぁぁ!」


 万雷にスイッチし、消失が到達するよりも速く、カリスの背後へと回る。



「尖爪雷牙《せんそうらいが》!!」

「ぐぎぁぁぁああっ!!!!」


 6枚のうち4枚の翼を、圧倒的な雷の力によって、消し炭へと変える。



「ぐぅぅぅ……、うぅぅぁぁぁあああ!!」



 激しい痛みに耐えつつ、カリスは身体中から魔力を放出する。それで一瞬だけバランスを崩した隙に、カリスは残りの翼で空へと飛び上がる。


 そうして再度右腕を再生させれば、残りの魔力を全て使おうとしているのか、膨大な魔力が右腕へと集中していく。



「はぁ、はぁ……、はぁ……。憎き星の守護者め。俺の、最大魔法で貴様を──『あら、グッドタイミングだったわね』」



「貴様はっ!?」


「ソ(・)フ(・)ィ(・)ア(・)さ(・)ん(・)?」



 『ゼロ』ソフィア、現着。

 トンッと、ソフィアはカリスの頭上に降り立つ。



「でも残念。もう終わりそうね」

「貴様、貴族である俺の頭蓋に乗るとは、なんたる不遜な!」

「知らないわ。あなたたち天上にはお似合いね。ところで……、その腕、邪(・)魔(・)ね(・)」


「…………は?」



 スパッと、カリスの右腕、更には残りの翼が一瞬のうちに斬り落とされた。



(何……が……)



「いい顔ね。ここに来るまでに聞いたのだと、絶望が好きらしいわね。……どう? 見下してた者に、いいようにしてやられるのは」



──絶(・)望(・)し(・)た(・)か(・)し(・)ら(・)?



 そのままソフィアさんは、カリスの顔を蹴り飛ばし、地面へと突き落とす。



「美味しいところは返してあげるわね。きちんと終わらせなさい、和人君。……まぁ、私が来なくても結果は変わらなかったでしょうけど」


「でも私も、クソったれな天上に一太刀浴びさせたかったから、許してね」



「ありがとうございます、ソフィアさん」


「纏:コノエ!」



 コノエをこの身に宿し、カリスの元へと走り出す。




「こ、このっ……」

「カリス! 死んでいった仲間の無念。晴らさせてもらう!!」



 カリスは残った左腕に魔力を集中させる。

 そして『消失』にて迎え撃とうと、動き出す。



「この……、精(・)霊(・)使(・)い(・)がぁぁぁぁぁぁあああ!!」

「カリスゥゥゥ!!」



 『消失』には許容量が存在する。

 許容量を超える攻撃を受けた時、『消失』は無力と化す。


 そして滅却せし終わりの焔が、カリスの『消失』の力を上回り、悉くを滅却する。



(俺の、『消失』が……)





          絶焔《ぜつえん》!!





 空を裂き、音すら焼き尽くすその紅き刃が、カリスの身体を斜めから斬り落とす。



「俺は不適合者……、式神使いだ」



 斬られたカリスは声をあげることもなく、そしてその身体は、灰すら残らず完全滅却された。

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