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天上の不適合者~クソクラスと言われた式神使いで世界を歪めた者たちへ反逆する~  作者: 風間悟
第3章:幼馴染と不適合者

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幼馴染との再会① 休息デート

「うわぁぁ、すごぉぉい」


──キュルル〜♪

──チュチュチュ〜♪


 目の前に現れたソレを見て、藤宮さんたちの目がキラキラと輝いている。


「そうだろう、そうだろう。これこそがアメリカだ。既に1/3ほどの州は、地図から消えてるが、それでもこの伝統は守られ続けている」


「それにしたってデカすぎないか? こんなの毎日食ってたらデブるだろ」


 俺たちの前に広がる光景。

 それは、巨大なハンバーガーとピザ。更にはコーラーまでデカい。

 これを、ここに住む人たちは一人で?



「運動しなければそうなりますね。ですが我々は守護者ガーディアン。元々太り難い体質ではありますが、ダンジョンに潜っていれば、カロリーなんて……」


 遠い目しながらそう答えるアビー。女性なのだから、そりゃ気にするよな。


 だがこの場において、それをものともしない者が一人だけいた。



「ケビンさん、アビーさん、本当に食べていいんですか!?」

「あぁ。お前たちには散々迷惑をかけたからな」

「遠慮せず食べてください」


「ではお言葉に甘えて! …………おいひぃぃぃ」


──キュルキュキュキュルル

──チュチュチュチュ


「────」


 一心不乱に食べるコノエたちは置いとくとして、藤宮さんは大きな口を開けて、パクりと、豪快にハンバーガーを頬張る。


 そしてとても幸せそうな表情を浮かべながらパクパクと、あの巨大なハンバーガーを食べていく。


 そんな光景を見て、思わず唖然としてしまった。



(え? 藤宮さんって、実はそういうキャラだったの?)


 パーティーを組む前から、彼女とはそれなりに交流はあったけど、そんな兆候一度だって見たことないんだが?



「神薙君、食べないの?」

「え? あ、あぁ。た、食べるよ」


 藤宮さんの隠れた個性に気圧されつつも、カットされたピザを手に取り、食べてみる。


「どう?」

「……普通のピザだな」

「えぇ〜、それが美味しいのに……」

「藤宮さんが美味しそうに食べてるから、俺はそれだけで満足だよ」


 そうつぶやけば、ピタリと藤宮さんの手が止まる。そして次第に顔が赤くなっていく。



「……く、食いしん坊じゃ、ない、からね?」

「もう遅い。そんなキャラだとは知らなかった」

「っーーー!!!? だ、だって! 向こうじゃお金の問題が!!」

「なら、これからは食べ放題だな」

「そ、それは言わないで! ちょっといいかもって、昨日思っちゃったんだから」

「あはははは!!」


「ふふっ、仲がいいですね。2人はパーティーを組んでどれくらいなのですか?」

「まだ2ヶ月だ。元々は俺がソロで、藤宮さんが別のパーティーに入ってたからな」


「それで防衛戦の参加にまで漕ぎ着けたのかよ。すげぇな」

「ほんとね」



 防衛戦が終わってからの戦後処理として、怪我人の手当てや箝口令など、諸々の手続きが終わったことで、俺たちは束の間の休息を取ることが出来た。


 そんな中、ケビンたちから今回のお詫びという形で、こうしてアメリカの醍醐味である、ハンバーガーとピザといったジャンクフードをご馳走してもらうことになった。



「今回は、本当にありがとう。2人がいなかったら、今ごろ私とケビンは死んでた」

「俺も、手柄ばっかりに目がいってて、大切なことを忘れてたよ。それに、お前たちには重荷を背負わせてしまった。本当にすまなかった」


「いいんだ。こうして互いに生き延びれたんだから」

「そうですよ。それにこうして、美味しいご飯をご馳走してくれたんですから」


 人は成長する生き物だ。今回のミスを理解しているのであれば、次からは同じミスに繋がることはない。



「それで、お前らは天上から()()を貰ったんだろ? 何が手に入ったんだ?」

「私も気になります。報酬を手にした守護者ガーディアンは、大抵が2等星以上なんですよね」


「それか……」


 まぁそこまでもったいぶるものでもないので、藤宮さんと一緒に見せることにした。



「これは……、イヤリングですか?」

「しかも、同じ奴だな」


「『双想そうそうのイヤリング』というアイテムだ。……効果は2つあって、1つは全ステータスを10%向上させる永続効果」


「はぁぁ!?」

「なんという、破格な……」


「それともう1つが……」

「同じ物を身に着けてる相手が一定範囲にいる場合、総魔力の2割消費することで、その人の所へショートワープが出来るみたいなんです」



======================


 装備:『双想のイヤリング』 ランクS


 効果:

  ・全ステータスを10%向上

  ・近くに同じ物を装備している者がいる場合、全魔力の2割を消費することで瞬時に移動することが可能

  ※1日1回まで


======================




 どの程度の距離まで可能化は検証していないが、このショートワープは、いざというときの緊急脱出が主な使い方だろう。


 メインはやはり、ステータス向上の方だ。

 装備するだけで1割強くなれるというんだ。かなり破格の性能だ。


 俺の場合、称号によるダメージ3割増しもあるから、より火力を出すことに期待が出来る。



「やべぇな。そんなアイテムが手に入るとなれば、そりゃ活躍した奴らとの差はどんどん開くわけだ」

「ですが、神薙にとっては武器が良かったのでは?」


「まぁな。鬼神刀が折れちまったから、新しい武器を調達しないといけない」


 まさか入手してから2ヶ月でダメにするとは思いもしなかった。結構強い部類の刀だっただけに残念だ。



「氷室さんに打ってもらうの?」

「いや。先生に打ってもらうのは、当分先だ」


 もっと強くなって、先生の武器を持つのに相応しい男にならないといけないからな。


「ケビン、何処かにいい武器屋は知らないか?」

「悪いが無理だ。日本刀を扱ってる武器屋は、どこも見た目重視でな」

「無駄に高い割に、性能がそこまで良くないんですよ」


「マジかぁ……」


 となれば、メルメルのオークションを当てにするか、笹倉さん経由のコネでなんとかするしかないのかもしれない。ダンジョンで狙った武器を入手するのも、運が絡むからな。


(今回ので、かなりの報奨金を貰ってるとはいえ、どれくらいすんだろ……)



 貧乏生活に戻るのは嫌だが、背に腹は代えられないのかもしれない。



「だ、大丈夫だよ、神薙君。いざとなったら、私のお金も……」

「気持ちだけありがたく受け取るよ」


 まぁそれは、戻ってから考えればいい。

 今はのんびり休息をとるのが先決だ。


 それからは四人で楽しく飯を食べながら、会話を弾ませる。始めこそ最悪の出会いではあったが、終わってしまえばなんてことない。


 とても話しやすて、いい奴らだと言うのがよく分かる。



***



「本当にダンジョンに潜らなくていいんですか?」

「アメリカのダンジョンは、他よりも経験値やアイテムも美味しいんだぜ? それ目的で遠征する奴らも多いしな」


 ケビンたちと別れ際、ダンジョンに潜らないかと誘われたが、断ることにした。正直言って、物凄く入りたいけどな。



「あぁ。もう少しのんびりしたら、向こうに戻らないといけないしな」

「私たち、まだ学生なので……」


「そうか。んじゃ次は中国の防衛戦で会うかもな」

「そうですね。1ヶ月しかありませんが、私たちも、もっと強くなります」


「俺らも、その時までにはもっと強くなるさ」

「お2人とも、今日は楽しかったです!」



──またな!

──また今度!



 そうしてケビンたちと別れる。

 そして時間を見てみれば、まだ15時頃だった。



「神薙君、何時に帰るんだっけ」

「20時の便だ。移動も考えれば、あと4時間は見て回れるな」

「そっか。じゃあ約束通り、観光が出来るね」

「そうだな。植物園とか博物館とかもあるらしい。街並みを眺めるのも中々に楽しそうだ」


 初めて来た所だから、どこに行っても楽しめると思うし、お土産だって沢山買える。


「どこも楽しそうだね。う~ん、じゃあ街並み見ながらお土産でも買いたいかな」

「じゃあそうしよっか」

「いいの? 神薙君は行きたい所とかないの?」

「それを言ったら、武器屋ってなるぞ?」

「えぇ~」

「あははは! そういう訳だから、のんびり歩きながら、見て行こう」

「うん!」


 当てのない散歩というのもいいものだ。それが藤宮さんと一緒であるというのなら、尚のこと。


 そうしてコノエたちも連れて歩きだすのだが、ふと気づく。



(……デート? これって、デートか?)



 普段から二人で行動していたから、感覚が麻痺っていたが、よくよく考えてみれば、男女二人っきりで出歩くのは、デートに入るのでは?


(そういえば、有耶無耶になっていたが、先生に会いに行く時、藤宮さん妙に俺を意識してたよな?)


 考えれば考えるほど、この状況は好都合のように思える。



「神薙君?」


──キュル?

──チュチュ?



 考えごとをしていると、不思議に思った藤宮さんたちが、覗くように俺を見る。


 思わずその仕草にドキッとする。



「え!?」

「どうしたの?」

「……あぁいや、何でもない」

「そうなの?」

「あぁ、ただ……」

「ただ?」


「少しだけ、()()()っぽいなって」

「────」


「………………あ」



 思わずポロッと、出てしまった言葉に後悔する。

 隣にいる藤宮さんの方へ顔を向けてみれば、カァァアッと顔が赤くなっていた。



「えぇ〜と……」

「…………バカ」

「へ?」

「神薙君の、バカ!!」

「あっ」


 タタッと、走っていくのでコノエたちを連れて追いかけていく。


(しくった〜!)



***



「はぁ〜、楽しかった〜。ね、神薙君!」

「俺は疲れたよ」

「神薙君が変なことを言うからだよ?」

「反省しています」

「ふふっ」


 あれから3時間ちょっと、ひたすらに藤宮さんのご機嫌取りのため、お店に入ってはお土産を買ったり、街並みと一緒に写真を撮ったりと、色々大変だった。


 とはいえ、それを差し引いても楽しかったことに変わりはないが。


 それにしても──



「今日はやけに元気だったな」

「そう?」

「普段からそれくらい元気ならいいのにって思うくらいには」

「……バカ」


 まぁそれがどうしてなのかは、なんとなく分かる。


「そこのベンチで休憩するか。そろそろ空港に行かないといけないしな」

「うん」


 コノエたちはまだ遊び足りないのか、公園内をタタッと走り回っている。



「コノエちゃんたち、元気だね」

「今回はあまり活躍出来なかったから、その鬱憤が溜まってるんだろ」


 式神の未熟は同時に、俺の未熟の裏返しでもある。今回はなんとかなったけど、次もなんとかなるとは限らない。


(もっと、強くならないといけないな)


「私も、もっと強くならないと……」

「…………」



 俺たちは子供を殺した。

 やはりというべきか、多くの守護者ガーディアンが、そのことについて苦悩していた。俺だって昨日、ルゥルたちが夢に出てきたくらいだ。



「正しかったよね?」

「ここにいる人たちがこうして笑っていられるのは、俺たちが勝ったからだ。負けてたら今ごろ、総人口の半分近くは死んでたはずだ」

「そう、だよね」

「藤宮さん、ちょっとこっちに顔を向けてくれないか?」

「?」


 そうお願いすれば、不思議がりながらも、こっちに顔を向ける。そしてそのまま、ポケットから双想のイヤリングを取り出し、右耳側に着ける。


 エメラルド色だからどうかと思ったが、意外と似合うな。むしろ、いいアクセントだ。



「うん、似合ってる」

「え、あ、え、えぇ!?」

「大丈夫。どんな時でも、俺が絶対に守るから」

「────」


「どれだけ辛くても、俺も背負う。悲しみも痛みも全部。だから、大丈夫だ」


 ポンポンッと、軽く頭を叩きながら撫でる。


「うん。2人で一緒。…………じゃあ私も、着けてあげるね」


 そう言って藤宮さんも、双想のイヤリングを取り出し、俺の左耳に着ける。



「うん。似合ってて、カッコいいよ」

「そうか?」

「うん、とっても!」


 そう言ってくれると、嫌な気持ちは沸かないな。


「これからもよろしくな」

「うん!」



 それから十分に休憩した俺たちは空港へと向かい、そのまま日本へと帰る。



 これから待ち受ける、永久との再会なんてつゆ知らずに。

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