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天上の不適合者~クソクラスと言われた式神使いで世界を歪めた者たちへ反逆する~  作者: 風間悟
第2章:メキシコ跡地防衛戦

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防衛戦選抜試験② 認めてもらうために

「こっちです、急いでください!」


「福山さん、助かります」

「もう、神薙君が準備に手間取るからだよ?」

「しゃあないだろ、先生から最高のプレゼントをもらってたんだから」

「そうだけど……」


 福山さんに案内されながら、藤宮さんと雑談混じりの口論をする。


 とはいえ、これで間に合いませんでしたとかになったら洒落にならないのもまた事実。



「ここです」

「福山さん、ありがとうございます」


 扉に手をかけようとしたところで、『待ってください』と、福山さんから呼び止められる。


「なんですか? もう時間が……」

「すぐに終わりますので」


「「?」」


 二人して首を傾げていると、福山さんは真剣な顔つきで、俺たちにある言葉を伝える。



「正直、間に合わないと思っていました。あなたたちは不適合者。本来であれば、戦うことを禁じられています」


「にも関わらず、こうして最前線の場へと到達したことには、驚嘆しかありません」



「やるべきことが沢山ある。諦めませんよ」

「私たちは守護者ガーディアンですから」


 そう答えると、福山さんは小さく笑みを浮かべると同時に、俺たちに向けてお辞儀をする。


「「福山さん!?」」


「私には、これくらいのことしか出来ません。子供に頼るしかない現状を許してください。……ですがどうか、どうか、これから先の未来をお願いします」



「「…………」」


 藤宮さんと顔を見合わせる。

 力を持たない人たちは多い。その人たちはいつだって、小さな希望を旨に、今を生きている。


(託される想い……か)



「「任せてください!」」


「ご武運を!」



 福山さんから激を貰い、今度こそ二人で一緒に扉を開ける。


 ここからが本当の戦いだ。



──遅れて、すみませんでした!!!



***



「おい、あいつら今、なんて言った!?」

「不適合者って……」

「Fランクのか!?」

「あり得ないだろ!」

「いや待て。式神使いって言えば、散々協会に迷惑かけてた奴じゃねぇかよ」

「星の巫女って、レベルが上がらないんじゃなかったのか!? どういうことだ?」



 思いきって不適合者だと、堂々と宣言してみたが、まぁ予想通りの反応だな。



(笹倉さん、絶対ノリノリで聞いてきただろ)


 現に、俺たちの名乗りを聞いて、遠目からでも分かるくらい、目を輝かせている。


「か、かかかか、神薙君。おおお思わず、吊られて言っちゃったけど、だ、大丈夫、かな?」

「さぁ?」

「神薙君!?」


 まぁ、勢い任せというのも、たまにはいい。


(さて、何処に座ろうか……)


 視線だけで、空いてるスペースを探していると、『和人!』と、倉瀬の声が聞こえてきたと思えば、こっちにやって来た。



「倉瀬、2ヶ月ぶり。約束通り、間に合わせた」

「来ないと思ったぞ!」

「ちょっと、準備に手間取ってな」

「……つーことは、それなりのレベルになったか?」

「後でお披露目するから、期待してくれ」

「ほぉう?」


 倉瀬とそんな話をしていると、ちょいちょいと、藤宮さんが俺の服を引っ張る。


「ん?」

「神薙君、この人は?」

「そうだ、和人。お前、こんな可愛い子どうした。しかも、星の巫女って……」

「あぁ、それは──」



──ごほんっ!!



 三人で盛り上がっていると、笹倉さんの声が聞こえてくる。そういえば、選抜試験の真っ最中だったな。



「もう、いいかな?」

「「「すみません」」」


 倉瀬に、また後でと伝え、俺たちは近くの席に座る。


 それなりに悪目立ちした気がするが、どうせ後で、更に目立つんだ。これくらいの方が丁度いい。



(永久は……、ここにはいないか)



「さて、ではそろそろ選抜試験を始めさせてもらおう。3つの会場のうち、本会場にいる2等星以下の守護者ガーディアン。総勢4768名の、実技試験となる。30分後、君等に配ったグループごとに、案内人ポーターが指定座標へと運ぶ手はずとなっている」


「心の準備をしておくように。では解散!」



(2等星までなのか……)



 まぁ1等星はそもそも数が少ない。事前に何処に誰を配置するのか、決めているんだろう。


「神薙君、頑張ろうね」

「あぁ。不適合者だとバカにする奴らの認識を変えてやろう」

「うん!」



 集合まで少しだけ時間がある。


 その間に倉瀬に紹介と説明をしようと、藤宮さんと一緒に立ち上がるのだが、他の守護者ガーディアンたちの視線が一斉に俺たちに向く。


 何を考えているのかは大体予想はつく。



(目に物を見せてやるさ)



***



「なるほど、イリーガルダンジョンはお前らだったか。俺らもこないだ遭遇したから、助かったわ」

「それは良かった」

「あれは、酷いの一言でしたから……」


「っと、そういやまだ自己紹介がまだだったな。倉瀬健一くらせけんいち。3等星で、和人の無茶振りを間近で見た人間だ」

「はじめまして、藤宮咲ふじみやさきと言います。10等星で星の巫女です。……神薙君の無茶振りを1()()間近で見てる最中です」



 小さな笑みを浮かべながら、藤宮さんは倉瀬に自己紹介をする。けど、気のせいか? 今一瞬、強調しなかったか?



「お、おう。和人……、お前の女、可愛いのにこえぇな」

「ふぇ!?」


「違う。藤宮さんは俺の──『倉瀬、こいつがそうなのか?』」



 勘違いを正そうとするが、その前に一人の守護者ガーディアンがやって来る。



「あぁ、拓真。そうだ、こいつが式神使いの和人だ。和人、こいつは遠見拓真とおみたくま。俺のパーティーリーダーだ」


(遠見、拓真……)



 聞いたことがある。日本で活動する2等星の中で、最も1等星に近い者。


 前回の防衛戦に出ていなかったらしくて、死んだんじゃと、学校で噂にされていたっけ。



「どうも、神薙和人かんなぎかずとです」

「ふぅ〜ん。面構えだけは一丁前だな」


 まるで品定めするかのように、遠見さんは俺たち二人を見る。藤宮さんは少し怖いと感じたのか、サッと俺の後ろに隠れる。



「戦えんのか?」

「……戦えるから、ここにいるのですが?」

「違う。局員が連れて来た以上、参加条件を満たしたのは理解した。にわかには信じがたいがな」


「俺が言ってるのは、()()()のかって、聞いてんだよ」

「そ、それは……」

「…………」


 防衛戦に出てくる敵は魔物だけじゃない。俺たちと同じ、人間も出てくる場合だってある。むしろそっちの方が多い。



「おい拓真、今それを……」

「黙れ、倉瀬。イキって参加した結果、人殺しに怯んで死んだ仲間なんざ、腐るほど見てきただろ。だからわざわざ、選抜試験なんてめんどくさいことをやってんだろ」

「それは、そうだが……」

「中途半端な覚悟でいられると、俺たちが尻拭いすることになる。……で? どうなんだ?」



 この人の言ってることは正しい。


 だから──



「遠見さんは、()()()()()()()ですか?」

「あ?」

「俺と藤宮さんはTグループでした」

「……ほぉう。うちのパーティーメンバーだと、俺と倉瀬もTだったよ」

「だったら、その時に証明する。覚悟があるかを」



 選抜試験の内容は二つ。


 一つ目は魔力測定。

 二つ目は実戦を想定した守護者ガーディアン同士の、()()()()()()()()



「へぇ〜。出来んのかよ、不適合者…………っ!?」



 背筋から腕にかけて、ぞくりと粟立ち、喉元に刃が触れた気がした。


 明らかに、目の前にいる不適合者の雰囲気が変わった。


 確実に、()()()()だ。


(おもしれぇ)



「はっ、少しは楽しめそうだな。もし俺と当たったら、その覚悟、試させてもらう。……倉瀬、先に仲間と合流してる」

「お、おう……」


 それだけ言って、遠見さんは去っていく。言い方に棘はあるが、あれは彼なりの優しさなんだろう。



「悪いな、和人。言い方はアレだが、根はいい奴なんだよ」

「分かってる。むしろ、彼が言ってることは正しい」

「……疑ってるわけじゃないが、本当に出来んのか?」


「もちろんだ。そのための心構えと覚悟は、嫌というほどに体験してきてる」

「そ、そう、だね。うん、私も、大丈夫だと、思います」

「そうか。なら俺も、その時になったら遠慮はしないからな」

「あぁ」


 それから倉瀬と少しだけ話し、解散する。



「はぁぁ……、緊張したぁぁ」

「これからもっと緊張するだろ」

「それはそうだけど……」

「怖いか?」

「うん。本番じゃないと分かってても、やっぱり怖いかな。でも……、覚悟は出来てるよ」


「散々、先生に怒られてたもんな」

「ゔっ……」


 俺は兎も角、藤宮さんは結構苦労してたからな。あの訓練だけは、何度やっても慣れるものじゃない。



「さて、俺たちもそろそろ行くか」

「うん!」


 藤宮さんと共に、集合場所へと向かうため歩き出す。真の意味での、守護者ガーディアンの責務を果たすための、最初の試練が始まろうとしていた。

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