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秘密

 私の知っている人の中に、同性を愛した男が居る。

その男曰く、愛した人は相当な優等生だったという。控えめな性格で一人称は私。

誰に対しても、無論男に対しても敬語だったそうである。


 ところが、打ち明けられた男の愛を受け入れた彼は、普段の大人しく受動的な性格とは異なるややファンキーな一面を見せ始めた。

聴いている音楽はパンクミュージック、シースルーの入ったファッショナブルな私服。

彼の学び舎でのそれとは違う一面は、男にしか見せぬものであったろう。


 彼は全体として花車で、どんな姿も見映えした。

一度、男は彼のその身体を抱擁したことがあった。彼はそれに対して如何にも優しく抱き返したという。

骨ばってい乍ら暖かかった彼の胸の中は、今や男しか知らぬ只一つの桃源郷であるし、何より彼も又男を愛したという事実は、当の二人しか知らない。


 彼等は、その後別々の道を歩むことを余儀なくされた。

詳しいことは話さなかったが、少なくとも男はまだ彼を懐っていた。

毎夜視界を滲ませる姿は痛々しいものがあったが、彼はきっとこの男の心境を知らないだろう。

彼も又、男にどの様な思いを抱いているか分からない。

互いの、互いに向けた秘密である。


 最後に、この男が私であるということは、これを読んでいる貴方、若しくは貴女との間での秘密にして頂きたい。

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