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裏世界初任務!〜特変体討伐〜③


「それで、特変体はどの辺りに?」


族長の妻がコーヒーが入ったカップをテーブルに置いた辺りでセフィーが切り出した。


「はい…今は鉄の檻に捕らえています。催眠弾を捕らえる寸前に撃ち込んだのですが…切れるのは時間の問題です。特変体となった我々デモトロンなら鉄の檻等、簡単に破壊して脱走し暴れてしまうでしょう。

そうなった場合の被害は想像に難くない・・・」


「その、特変体となったデモトロンの処分を俺達がやれば良いんですね?」


「えぇ、お願いします」



冒険者ギルドでシーラさんから聞いた当任務の概要によれば……


"特変体"とは原因不明の魔素の変容により凶暴化し強化された魔モノ【特別変異体】の略称であるらしい。


本来のデモトロンは同族を襲わないが特変体と化したデモトロンは同族までも襲って食してしまう。

更に同族だけでは留まらず特変体が食べる物はもう一つある。


それが人間だ。


特変体となったデモトロンは肉体に流れる血液成分まで変化し猛毒である筈の人肉への耐性得たどころか寧ろ特変体は同族の肉より人肉を欲する。


おまけに特変体は嗅覚も鋭く数km先の人間の住処にも気づく、ここから冒険者ギルドがある町まで3キロ程の距離だ。


特変体が森に出たら真っ先に町に気づき襲いに向かってしまうだろう。事実、特変体が町を襲い人間の死者が出た惨劇が過去に幾つも引き起こされている。


このデモトロンの村と冒険者ギルドがある町は交易関係にあり

デモトロンが狩った魔物の皮を町の商業ギルドが買い取ったり、運搬業をコインを代価に委託しているらしい。


この関係性は表世界のデモトロンと人間も同じで木材の伐採、重荷の運搬、などなど……


そして、人間とデモトロン族の「交易」に用いられている物で冒険者ギルドにとって重要な物がある。


それは【デモトロンの血液】だ。

デモトロンの血液には強化系ポーションの作成に必要な成分が多く含まれる。


そこで、冒険者ギルドを管轄に置く【町議会】は

デモトロン村側への定期的なエグドコインの分配と議会保有地の五分の二の譲渡と引き換えに、族民のデモトロン達から1ヶ月に2度のペースで血液を回収する条件をデモトロン族の族長団に提案、族長団はこれを承諾し町とデモトロン村に交換協定が結ばれた。


※(血液の回収方法はチューブで容器に繋げられた針の先端に麻酔薬を塗り、デモトロンの血管に刺して吸い上げるという方法で行われている)


しかし、特変体が生まれるようになった今、血液の回収に訪れた町議会公認の素材屋が特変体に襲撃される被害が発生してしまったり、町のテリトリーに特変体が侵入、街を襲撃し、人族から大量の被害者が生まれてしまったら

結ばれた交換協定が白紙になってしまう可能性がある。



その事態を避ける為、デモトロン村の族長が冒険者ギルドに依頼を要請したのがこの【特変体討伐任務】だ。




―――でも、それって・・・・・・仲間を殺してくれと言っているようなものでは無いか・・・・・・?


もしも、特変体と化したデモトロンが友人や家族だったら、絶対辛いに決まっている。


それでも、村の為と、割り切っているのだろうか…?



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