雑談配信3枠目 変わった日常群。
『最近、事務所なる場所で凛さんと遭遇したのですが、美少女からイケメンにジョブチェンジしてました』
《コメント》
【おっと?】
【聞き逃せない話が来たな】
【kwsk】
【美少女がイケメンに!?】
【羨ましいぞこの野郎!】
【結局、性別はどっちなんだ?】
『あの姿を見るとねぇ…性別不詳と言うのも存在可能なんだなぁって。先生曰く性別は炎上回避したいから男で頼むらしいけれど、頼んでる時点で…ねぇ?』
《コメント》
【あっ(察し)】
【つまりそう言う事ですね!?】
【イケメン女子か。元気出た】
【何言ってんだ!男の娘も捨て難いだろうが!】
【もう何でも良いよ】
『あっ、そうだ(唐突)先生もイケメソになってるらしいっすよ?』
《コメント》
【は?】
【は?】
【は?】
【は?】
【は?】
【は?】
【は?】
『イキスギィ!た連投はお控え下さい。コメ消しの対象となる可能性が有りますので』
———
——
—
「そうだ。1つ聞いても?社長」
「どうぞどうぞ。回答可能な範囲なら幾らでも」
呼ばれていた予定が終わり、俺がすり替えた話題に笑顔で相対する社長。あまりの満面な笑みに、ニッコリと俺も気持ちが和らいでしまいそうになるが、サングラスを掛けてて見るからに怪しいし、今回はそんな直ぐに流される様な理由で尋ねている訳でも無いので、気持ちを作り直す。危なかったぜ…
「今回の件、何処まで想定してました?」
今回の件。コレは凛さんの事だ。その理由自体は配信に関する事では無かったものの、自社のライバーがおセンチメンタルになっているのだ。その対応くらいはしていたんだろ?と言う意味での問い掛けだ。
「…ふむ。想定と言うと?」
…手強いな。それとも、俺相手にマトモに話す気は無いと言う現れか?俺の中での好感度下がるぞ!このままだと!別に下がっても何の問題も無いだろうけど!泣
「……社長。腹割って話しましょうよ。凛さんの件、何処まで想定してたんですか?」
「嗚呼…いやいや、先生。私も馬鹿ではないのですよ。もしもソレを貴方に話したとして、貴方は満足出来るとは思えない。寧ろ、不満に思うでしょうね」
「要は教える気が無いと?」
何やら話を濁してくるが、要はそう言いたいのだろう。そもそも、何故その話をする事により、俺が不満に思うと言うのが、何故社長に分かるのか。まだ片手で数えられる回数しか会っていない訳で、俺の事をそこまで知っているとは思えないのだが?
「いいえ。聞きたいなら教えますよ。でも、ソレによって、先生に不満に思われる事を避けたいだけなんですよ。私は」
「いえ、不満に思う事など有りませんよ。どちらかと言えば、今のこの状況が不満ですね。想定していたとしたら、何故、俺にやらせたんですか?言い方は良くないですが、代わりは幾らでも居た筈です。彼にはただ、彼にとって信用出来る人間が側に居れば良かったんですよ?」
ただ、彼に寄り添って話を聞くだけで何も問題はなかった筈だ。彼が心を病んでいたのも、全ては頼れる…いや、心内を話せる存在が近くに居なかったからだ。話を聞くくらい、わざわざ俺じゃなくても良かっただろう。俺を誘導したのは何故か。俺はそこが知りたいんだ。
「…わかりました。そこまで言うならばお伝えしましょう。貴方様にお願いした訳を。とは言っても、答えは単純ですよ。先生が1番信用出来たそれだけでしょう」
「…その信用出来た訳というのが知りたいのですが?」
「…不快に思わないで聞いて下さい。私は先生の父親について幾らか聞いた事があるんですよ。話では、その父君は類を見ない程の器の広さと、その器に収まりきらない程の慈愛を持っていたそうです。先生と会い、それが受け継がれてる事を確信しただけの事です」
…ほーう?成程。
「…父と知り合いで?」
「嗚呼、私。こう見えても顔は広くてですね。…まぁ、お父上とは会った事がありますよ。覚えられてるかは別ですがね」
「…そうですか。そうだ。父の髪の色はどうですか?年老いて、白髪とか混じってますかね?」
「いえいえ、全くもって綺麗な黒ですよ」
「……ははっ。…いえ、失礼。冗談キツいですね。私に黒髪の心優しき父なんて居ませんが?」
居ない…まぁ、嘘ではないな。事実として、実父の写真とか見た事ないし?会った事もなければ、俺と似てるくらいしか情報無いし?つまりは知らないって事で、居なかった様なもんじゃろ。…まぁ、この黒髪が父譲りな事くらいアホでも分かるけど…
「…そうですか。でも、先生。忘れないで欲しいのですが。お父上はちゃんと先生の事を想っていましたよ。今も変わらず…ね」
「…さいですか。貴重なお時間とお話。ありがとうございました。それでは、失礼させて頂きますね」
「ええ。また箱イベの時には宜しくお願いします」
…結局、社長さんは何考えてたんだろうか。全くもって「読めない人だなぁ」と言うのが今の感想。でも、聞いたところによると「読める行動する人がゴミ箱を纏められる訳ないだろ。舐めてんのか」とかネットで言われてるし、当然と言えば当然か…
「……帰ったぞ。全く…不愉快だな。さっさと顔を合わせりゃ良い物を。いつまで隠れるつもりで?」
頭を掻きながらサングラスを卓上に投げ捨てる社長。そのサングラスが落ちた先。その隣のスマホを手に取り、顔の正面に向けた時、その声は聞こえて来た。
『サングラスは外すんですか?』
電源を付ければ、その画面に映ったのは黒い髪の男。スーツできっちりと着飾っており、余裕の様な威厳の様な空気を身に纏っている。いつから繋がっていたかは分からないが、ビデオ通話の様だ。
「嗚呼、そもそも視力はそこまで良くないんだ。サングラスなんて、本来は鬱陶しくて敵わない。書類の文字も満足に読めないしな」
『だったら彼の前でも外してれば良いじゃないですか。彼は決して気持ち悪がったりしませんよ』
「…はぁ…だからこそだろう?簡単に認められては、私の積み重ねが無駄になる」
『なんとも…貴女は救われませんね』
「おやぁ?酷く嫌な言い方をするね?私が救いを求めた事なんてあったかな?若シラガくん」
『申し訳ないですけど、コレ。生まれ付きですよ?』
黒い髪を触り、困った様に笑う男。持ち上げられた髪。特にその生え際からは真っ白な髪が生えているが、しかし。それはシラガにしては艶もあり、あまりにも綺麗に揃って生えていた。
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——
—
「…何だか、今日は1日中視線を感じた…」
何でもない日の昼休み。深く澄んだ青空とその端にいる白い雲が夏らしさを演出している。そして、僕は部長が教師を言いくるめて手に入れた屋上の、日中だと特に小さな日陰の元で、そうぼやいた。直ぐにその返事は帰ってくる。
「じ、自覚無し…!コレが無自覚系主人公!?」
「はぁ…」
副部長の呆れた吐息は、僕に向けられたのか、ソレとも不可解な発言をした部長に向けられたのかは分からないが、兎に角、副部長がらしくも無く呆れている事は分かる。
「知らないの?今のなーくんは、クラスの話題の中心なんだから!」
「えっ…何…?何で?」
「見ました奥さん!アレが無自覚系主人公の真骨頂ですよ!キャー!スーゴーイーデースーコートー!オホホホホホホ!」
ペチペチと肩を叩かれている奥さんこと、副部長はとんでもなく不機嫌そうな顔をしている。ソレに反して、部長は涙が出る程笑っている……いや、コレは、笑っている…?なのか?
「…部長さん。やけにご機嫌だね」
「なんでも、依頼がまた増えたらしいよ。言っておくけど、なーのお陰でね」
「何で!?」
最近はどうも不可解な事が増えた気がする。…いや、今学期から不可解な事は多かったが、最近は特に度を超えて不可解だ。最早、僕に理解出来る事よりも、理解出来ない事の方が多くなった様に感じる。もしかして、元々そうだったのかな。
「なーくんは知ってるかなぁ?」
「っ…何を?いや、ソレよりも何で写真を撮ったの?」
「いい?コレが数日前のなーくん。そして、コレが今のなーくん。どう?理由は分かった?」
と、参考画像付きで見せられたとしても、分からない物は分からない。何せ、どちらも見慣れた自分で有る事に変わらないからだ。変わったのは…襟足を纏めたのと……前髪がスッキリした?くらいだろうか。まぁ、確かに、ある程度印象は変わったかも知れない?
「印象が変わった…?」
「うーん。惜しい。満点差し上げよう!」
「うん。何で?」
惜しいと満点は普通は繋がらない…いや、今更部長にツッコミを入れるのも間違っているか。今に始まった事でも無いし、部長は出会った時からこうだった。
「答え発表しちゃう?しちゃおっか?」
「はいはい。時間の無駄。ただ単に、なーが垢抜けたから皆驚いて噂してるだけだよ」
「ちょ!……はぁ…イケメン君はつまんないね…?」
「そうかな?部長は愉快が過ぎるね」
…垢抜けた。垢抜けたと言うのは……垢抜けたの意味って何だっけ?いや、言葉もその意味も分かってはいるけど、説明が難しい。どう言えば良いんだろうか。……別にそこは関係無いか。
「垢抜けただけでそこまで変わるかな?それに、ジロジロと見られる理由にはならないと思うんだけど?」
「あーダメだねコレは。手遅れです。良いですか?なーくん。貴方は根暗。陰キャ。コミュ障の特性であるナヨナヨが無くなり、元の容姿も合わさってイケメンになったんだよ?」
…?なんでだろう。凄く馬鹿にされた気がする。今は一応でも褒められているんだよね…?僕は。喜んでも良いんだよね?いや、喜ぶべきだったんだよね?
「そう!言うなれば!ラノベ特有の『アレ?クラスの端で寝たフリしてるあのクソ根暗陰キャコミュ障野郎って、実はかなりのイケメンじゃね?』って、よくあるハーレムへの土台を整えるあの展開!正にソレ!」
褒めてない…よね?コレは褒めれてない……と思う。そもそも、脱線し過ぎていつからか僕の話じゃ無くなってる気がする。最早、コレはラノベの話。
「しかも、初めからイケメンなら兎も角。アウトオブ眼中だった人がイケメンになるからこそ、更に印象が強くなるんだよ!分かるかい?」
「そ、そう」
ハッキリ言うと、僕はノベルティは読まないからそれが一体何なのかは分からない。好きな人には申し訳ないが、ノベルティ読んでる時間があったらゲーセンでスロットを打ってると思う。最近、凱旋を置いてるゲーセンを見つけたんだ。
そんな話からズレた事を考えていると、副部長がページを捲る手を止め、部長に視線を移した。
「…そもそも、部長はラノベを読んでるのかい?」
「イケメン君はそんな事が気になるんだ?読んでないよ?ただの偏見」
「だろうね。そんな感じがした」
「ねぇ。ソレってどんな感じ?ねぇねぇ」
相変わらず、部長は人にちょっかいを掛けるのが好きな様だ。今もまた読書に戻った副部長の邪魔に張り切っている。肩をぶつけたり、脇腹を突いたり、地味に嫌なタイプの嫌がらせだ。嫌がらせだから当たり前なのだが。
「少し邪魔」
「少しだけなんだ。本当、イケメン君は邪魔のしがいがあるね」
「そう。この上なく邪魔」
「そりゃ厄介人冥利に限るね」
「はぁ…」
…そう言えば、副部長は部長に対してはいつも素の姿を見せている様な気がする。僕と出会う前に何があったんだろうか?
副部長と言えば、八方美人。品行方正。秀外恵中。出来ない事が無いのが欠点。そんなイメージを持たれているし、僕も持っていたし、僕に話し掛けて来た時もそのイメージ通りの人だった。
だが、素の副部長を見ると、全くと言う程では無いが、かなりイメージと違っており、普通の高校生と何ら変わらない。…とは言っても、多少は大人びているが、ただそれだけだ。高校生と言う印象は変わらない。
…何故、副部長は人前では完全無欠を演じているんだろうか?親しい人にしか見せない。見せられないのだろうか?そう言う意味では、副部長の中で僕はまだ親しい人では無いのだろうか。……コレから親しくなれればいいなぁ。
「なーも見てないで助けてよ。このままだと、邪魔されただけで昼休みが終わる」
「…そうだね」
……杞憂。だったかな。
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『裏来てるよ〜カバーよろ』
『カバーって何のカバー?』
『えー!そんな事も知らないんですかぁ?ミカくんのバーカ♡愚か愚か〜♡』
『青ってば、急にバカにするぢゃん…!……ふっ。青ってば、煽ってばっか』
「いや、クソみたいなダジャレ言ってる場合か?」
知ってるか?結構ピンチなんだぞ今。初動で2パーティに囲まれてお陀仏になりそうなこの状況。何で余裕でダジャレかましてんだろうか。この馬鹿。言っとくけど、この世界大会の予選。ちゃんとポイント稼いでおかないと本戦は出れないんだからな?
『あ?武器落ちてれば勝てるし?舐めんなし?』
『おっ、グレだ』
『は?グレてねぇよ』
『うん、誰も言ってないね。自意識過剰かな?そうやって、一々反応しなくても良いんだよ。ミカくん?』
めっちゃ煽るぢゃん…仮にもチームメイトですよね?いや、ソレ以前に、幼少期からの長い長い付き合いでしょうに…
それにしても、PaPurさんはPaPurさんでマイペースだな。会話に参加する気なし。まぁ、敵チームに囲まれてるし当然か。本来ならダラダラと話してる場合じゃない。
因む必要も無いけど、因むと俺は観戦。大会はトリオなんだから当然でしょう。後、俺は試合に出る気は無いんで。そこんとこ夜露死苦ゥ。
『はい。1人やり〜。蜂の巣完成、飛び交う歓声。狂ったプレイで、魅了するタイム。yeh〜!』
草。即興ラップやめろ。その絶妙な上手さは何なんだよ。何でお前にそんな語彙力が有るんだよ。魅了なんて言葉、脳筋プロテインが知ってるとは思ってなかった。解釈違いです。やめて下さい。
『ミカくんってラップ出来るんだ。謎に上手くて笑…あっ……』
なんてこった。チームで一番上手いPaPurさんがダウンしてしまった。それも、自分が投げた当たって弾けろお願いグレネードで。嗚呼、馬鹿の所為でまたしても犠牲者が…
まぁ、結果としてはお願いグレネードじゃなくて、仲良死グレネードになってしまったけどな。グレだけで自分含め3キルしてて笑う。コレも多分、馬鹿の所為。
『はぁ…そうやって笑ってるからだよ。全く、何がそんなに可笑しいのか。僕は理解に苦しむね』
『だってだってっ!如何にもラップとか出来なさそうな人が!突然上手いラップしだしたらニヤけちゃうでしょ!それが人間の性だし!』
どんな性だよ。少なくとも、人間族の俺にはそんな性ないぞ。いや、まぁ、確かに脳筋プロテインのラップに、草は生やしちゃったけど。アレはノーカンだから(暴論)
「まぁ、とりあえず初動は乗り切れて良かった。正直、初動死は笑えないよね笑」
『何ビビってんだよ先生。俺、初動死した事ねぇだろ?』
「あるよ。あるだろ馬鹿」
そもそも、初動死の天才だろ。キャラコンミスの落下死に始まり、謎のこだわりからくる武器縛り故のダッサイ死に方。銃相手に殴りに行く様は実に滑稽だったな。
『先生もキレ症ぢゃん…更年期共がよぉ…』
キレそう。後、さっきからずっとしてるその「ぢゃん」って言い方やめてくれ。1度目はネタに出来るけど、2度目は流石にキツい。アラサーの男が「ぢゃん」とかシラフで言ってるのはキツい。イケメンパワーでも消せないキツさ。
「年上に更年期って言われた。キレそう」
『更年期って年齢関係ないぞ』
何言ってんだコイツ。更年期程年齢が関係してる言葉もないだろ。遂に馬鹿になったのかな。嗚呼、いや、元々馬鹿は馬鹿だったか。また切り抜かれて迷言集入りしそう。まぁ、誰も切り抜かなかったら俺が切り抜くけど。
『あっ、多分ボーダー乗った』
『何の?』
『2次予選進出の?』
えぇ…こんな雑な感じで良いんですか…?
———
——
—
——生まれた時から、母の1人手で育てられた。育てられたと言っても、母から教わる事も多くは無かったが。日中の殆どはベビーシッターに預けられていた記憶がある。
それでも、夜は夜泣きの激しい自分の事を、何度もあやしつけてくれたし、どんなに大変でも文句も愚痴も声には出さなかった。……いや、コレは単に自分が覚えて無いだけなのかも知れないが。
夜中、明らかに平均よりも小さな身体で抱き上げでくれていた母。赤子にしてはとても高い位置からは、母が自分を抱き抱えながら描いているその絵が、誰よりも特等席で見え、それは、赤子ですら泣き止んでしまう様な、一流も一流の芸術だった。
月日も流れ、オレが1人で歩ける様になった頃。オレは目に映る全ての好奇心を見過ごし、ただ大人しく絵を描いている母の姿を見るのが日課だった。母の絵は表面以上に内面に訴えかける。題名の題材の裏に、何か別の題材があるのだ。
基本的に、母の絵は風景画だ。だが、母の絵が風景画に見えないのは、そこにとんでもなく深い芸術性があるからだ。母の絵は写実的で、とても魅力的だが、現実にその風景は絶対存在しない。今でも夢に見る。そんな絵だ。
更に年齢を重ねると、オレは他人より群を抜いて手先が器用である事、視力や動体視力。反射神経に瞬間記憶力が遥かに優れている事に気付いた。気付けば、いつも筆を握っていた。
手にマメが出来ても握り続けたら、そのマメは潰れ、そこからまたマメが出来る。それの繰り返しで、いつも耐え難い痛みを放っていたが、絵を描いている間はオレはソレを忘れられた。
小学校の図画工作で絵を描く時間があった。出されたお題に沿って絵の具で絵を描く。優れた絵の何枚かはコンクールにも出す。ただそれだけの、普通の子供からしたらどうでも良い。ただ気楽なだけの授業。オレは熱中した。
その時のお題は[自分の好きなもの]所謂、お題無しだ。オレは誰よりも集中して、限り無く時間を掛けて、その絵に全てを捧げた。宿題もせずに、何度も教師には怒られたが、宿題をする方が叱られる事よりも時間が掛かるので、最後までやらなかった。
絵が完成に近付くと、オレから距離を取っていた周りの子達が、オレが描いている絵に見入るようになった。その時、オレはこの上なく集中していて、その時は見られている事に気付かなかった。
完成した絵は今思い返して見れば、小学校低学年と言うにはあまりに上手過ぎたと思う。それ程、会心の出来だった。その絵は、いつ頃だったか、山の上から見下ろした時の、街の風景だった。
その絵は全国コンクールでは優秀賞に終わった。全校集会で壇上で表彰された。コンクールの展示会にも何度か行った。オレとしては、言うまでも無く最優秀賞を狙っていたが、オレよりも優秀な奴が居るなら仕方ないと、その時は何も思わなかった。
毎年毎年、その図画工作の絵を書く時期だけは、普段と豹変した様に絵を描く事に専念した。それでも、最優秀賞を取ることは無かった。全ての努力が報われるとか限らない。そう思ったが、努力しない事には報われないのも分かっていた。
諦めずに描いて描いて描き続けた。中学校くらいから学校に行くのすら辞め、ただ絵を描き続けた。義父に連れられた旅行先で絶景を目に焼き付け、何度も何度もソレを形にした。
来る日も来る日も努力で埋め尽くしたが、一度も、最優秀賞を取る事は出来なかった。美術部では多分、1番絵が上手かったと思う。そして、中学の半分を迎えたくらいの頃。美術教師に作品を提出する時、こう言われた。
「おぉ…最早、写真だな」
褒めている。褒めているのは分かっている。瞠目した表情からも、漏れ出た感嘆の声からも、この美術教師が褒めているのは分かっている。分かっていた。
その言葉はオレの全てを否定した様だった——
———
——
—
「…んん〜っ……っあ?」
何とも言えない寝心地の中で俺の目が覚めた。最近、異様に寝心地の悪い日が有るのだが、一体何なんだ?同じベットで、いつもと特に変わらない体制だし、服もそんな動き難い物でもない。訳が分からないよ。
そして、そんな日は決まって目ヤニが凄い。目を擦るとパラパラと落ちてくるから逆に楽しいまでもある。だが、目の中に入ったら痛いので仰向けで目を擦らない様にしようね(n敗)
「悪夢でも見たかな」
昔から、夢を覚えているのは苦手だ。どんな夢を見ていたかなんて、寝起きのその場でも思い出せない。まぁ、夢の内容を思い出す必要も無いけどね。
多分、夢は忘れるから夢なんだ。
以下、作者の身の丈話。(興味無い方は読み飛ばしてください)
最近、投稿ペースが無に等しい。これには深い訳があります。私、実はここの所、23時前には就寝と言う、健康的な生活リズムになりまして、コレが一体投稿ペースとどう関係しているのかと言いますと、いつも執筆しているのが夜中の、ソレも深夜テンションも最高潮な時間に執筆していたので、今の生活リズムだと深夜テンションになれず、執筆が進んでなかったんですよね。全く参ったものです。もしかして、最近シリアス気味なのは深夜テンションじゃないからでしょうか?いえ、きっとそうに違いありません。間違っても、ネタ切れな訳じゃないですよ?とは言え、睡眠時間を削ると次の日の仕事に影響が出ます。とは言うものの、然程、影響が大きい訳では有りません、万が一が有るので臆病な私には、とてもでは有りませんがやりたくないと言うだけです。
と、言う事で投稿ペースに関しては、テスト返却時に「俺、全然勉強してきてないわぁ〜」とか言ってる中学生くらい期待しないで下さい。何故、投稿ペースの話になったのか分からない人は、上の長文を読んでみて下さい。
コレからも末長くよろしくお願いします。




