表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絵師兼配信者だが、いつの間にか身バレ=死になってた。  作者: 偽師
再生リストその2 デビューした
50/62

配信47枠目 完治してみた。


 さて、アレから数日が経過しました。スマホがない病人生活は苦痛の中の苦痛でしたよ。戻って来て良かったと心から安堵中。因みに、課金勢だったのでスマホのデータは無事でした。まぁ、トーク履歴は死んでたが。


 それにしても、記憶が無い。弟達と別れた後、自室のベッドの上で起きたのだが、寝る前の記憶がございません。良かった事は隣に人が寝てなかった事。まぁ、お持ち帰り出来る。又はされる様な人間では無いのは重々承知の上だけどね。


 何よりも弟の表情、コレが忘れられない。呆れられた様な、それは色んな感情混ざった顔を見せられましたよとね。全くもって不甲斐ないですねぇクォレハ。


 それに、ここ数日はパソコンしか使えなくて困りに困ってました。スマホって偉大なんやなって。スマホの使い方には皆さんも気を付けようね。壊れたらマジで困るぞ。


 と、なんやかんやと言っていたが、スマホが元通りになって良かったと言う事だ。…元通りとは言ったが変わった事もあるな。機種が新しくなった。と言うのは置いといて、凛さんの連絡先が追加されたな。まぁ、コレも特に何か変わると言う事も無いが。


 なんて、そんな事を考えていたら凛さんから連絡が来た。タイムリーだな。何々、変な内容で無いと良いが…


[ヘアゴムって何処に売ってますか?]


 おーっと、コレまた結構重要な話が来たな。ヘアゴムって個体差あるからな。割とガチな方で。それに、使用者の好みも結構ある。それこそ、強め緩めとか、太め細めとか。コレは店頭で実際に触って選ぶしかない。マジで。


[コレまた悩ましい。売ってるだけなら100均に有るけど、個体差あるから何ヶ所か回って買うのがオススメ]


[先生は何処のが好きですか?]


[ネットショップなので分からないですねぇ……]


 面目ねぇ。頼れない大人ですみませんでした。でも、大人歴はクソ短いんで許して下さい。何でもしますから(何でもするとは言ってない)


[じゃあ、余りのゴムとか有ります?]


[有るよ。要る?]


[貰って良いんですか?]


 何でもすると言ったので(言っては無い)全然差し上げますとも。そろそろこの後ろ髪もも切ろうと思ってたとこだし。髪の毛さんね。絶妙に長いんだよ君。身体洗う時この上なく邪魔。


 しかも、これ以上長くなると下向いた時に横から垂れて来そう。洗面台で顔が洗えなくなる。尚、洗面台で顔を洗った事。俺、寝起きに顔洗うタイプじゃないんで。顔が汚れたとか、なんか洗いたいとかならない限り洗う事は先ず無いんだな。


 だからこそ、髪の毛長い人は凄いと思う。顔洗う度にあの苛立ちと勝負してる訳だ。強い(確信)後、何故、髪が垂れると怠いのかは簡単で、髪の毛が濡れてしまうからです。長い髪は濡れると中々乾かないんだよね。


 我が母親はオシャレに無頓着なので、いつも髪を乾かさずに1つに纏めているが、一度気まぐれでドライヤーさせて貰った時、アホ程時間掛かった上に辛かった。


 タオルでどれ程水気を取ったかにもよるが、誇張抜きで30分くらい掛かる。ドライヤー持つ手がマジでしんどい。理容師や美容師は腕がマッチョだと思って生きてる。


 さて、髪の話はこの辺にしよう。正直、面白味も何もないのでね。後、ちょこっと言う事が有るとするなら乾かすのが怠いので、シャワーもお風呂も面倒臭い。以上。


 その後、ヘアゴムを渡す方法云々を話し合っていた結果。この家で手渡しという事になった。Why?あのだな…弟経由して学校で渡すが1番早いと思うんですよね。何かしらの意図を感じました。


———

——


「ただいま」


「「お邪魔します」」


「何か多くね?」


 弟←分かる。ただの帰宅な訳だし。凛さん←分かる。髪ゴム取りに来た訳だし。ヒナさん←コレが分からない。何故?いや、まぁ、予想可能ではあったけども。肝心の回避が不可能なんだよ。


 知ってる?俺が燃えたら死ぬ理由。最初は人気俳優と顔同じだったのが、人気女性Vtuberに好かれてるからなんだぞ。あまりにも理不尽過ぎるだろ。マジで、どうやったら死を避けられたんだよ。


 それはさておき、今日はちゃんと傘差してて偉い。先日は誰も傘持ってなかったからな。それにしても、風邪引かなくて良かったね。若いって強いわ。俺も広義的には若い筈なんだが…


「まぁ、良いや。髪ゴムだっけ。とりあえず上がってよ。今、切るから」


 好みの話になるが、基本的に俺は髪ゴムは束になってる奴を買う。理由はゴムの長さを調節出来るのと、気持ちお得だから。ゴムの長さは纏め易さに直結するので重要です。


「え?なにソレ、私も欲しい」


「えっ?2つ分の長さは無いかも」


 家にあったゴムは今、俺が使ってる奴でギリギリだったんですよ。わざとじゃ無いから仕方ないね。後、なんでそんな欲しそうな顔してるんですか?何か思惑を感じて怖いのですが…いや、待てよ?……閃いた。


「まぁ、俺が今使ってる奴で良いなら」


「最っ高ですね!」


 そっか…最高か……正直、嫌な予感しかしないが、閃いた事を実行するには必要な事だ。ここは苦肉の策だが仕方あるまい…うむむ…よく言い聞かせておかなくてはな。


「配信で″手渡し″で貰ったなんて絶対に言わないでね。そもそも、俺から″貰った″って言わないでね。燃えたくないから。命の危機を結構感じてるから」


「嫌だなぁ…言う訳無いじゃないですか…」


 まぁ、今のところ前科はない訳だし信じようか。髪の毛を切るまで下ろしたままなのは不便だが仕方あるまい。全てはてぇてぇの為だ。てぇてぇの為ならどんな手間でも喜んで引き受けよう。


「はい。どーぞ」


「やった〜」


 良かったね。


「良い匂いする〜」


 やめて。ノータイムで嗅がないで。


「じゃ、凛さん手出して」


「…?コレで良いですか?」


 髪ゴムの長さで1番重要視すべきは、手首にフィットするか否かだと思う。手首と同じか少し大きめが結んでない時も、手首に通してたら無くさないから丁度良い。


 しかも、そのサイズだとどんなに腕を振っても落ちないからな。絶対に無くさないから良いぞ。コレ、マジでオヌヌメです。めちゃくちゃ腕振る様なスポーツしてても大丈夫。


 手首に沿わせて一周し、結ぶ事を考えて手首一周よりも少し長い所で切るのが俺流ベスト。ってのは嘘で、実際は母から教わりました。さすママ。


「解けない様に結んで……はいおしまい。どぞー」


「ありがとうございます」


 そう言って、髪の毛を纏め始める凛さん。思えば、今日は会った時から髪の毛を縛ってなかったな。何でだろうか。まぁ、別に何でも良いけども。


 ピンポーン。


 ん?アレ?通販した覚えはあるが、今日届く予定だったかな。少なくとも明日までは届かない筈なんだが……とりあえず、ドア覗いてくるか。本当に何だっけ?


「ちょっと行ってくる」


「はーい」


 さて。宗教勧誘とか、集金とかじゃ無いと嬉しいが。そもそも、まともにそう言うのが来た事はないが。最近は、そう言う話も聞かなくなった気がする…って、あれ?この髪色は…


「あっくん?どうしたの突然」


「嗚呼…!良かったぁ!生きてたぁ!」


「え。何怖い」


 何の事でしょう心当たりが……心当たりが…?んん?……壊れたスマホ……風邪を引く……買い替えが遅れる……期間は1週間近く……消えたトーク履歴……あーそーいうことね。完全に理解した。


「すまん。スマホ壊れてました」


「えっ?大丈夫?」


「うん。もう買い替えたし、前のスマホより快適だよ」


 と、万事解決。とはいかんよな。絶対別件あるよなコレ。普通、1週間程度未読スルーしてるくらいじゃ、家まで訪ねたりはしないでしょ。いや、普通を語れる程知り合い居なかったわ。


 いや、まぁ?仲良かったりとか、相手が相手ならあり得るけどね。流石に、1週間の未読で死んでるとは思われんやろ。いや、思われてたけども…


「とりあえず、上がってく?先客は居るけど」


 一応、外は雨なんで。雨の中、玄関で立ち話ってのも変でしょう。いや、実はソレが普通なのかも知れんけど、偏見で物を語らない戦士。俺。ついでに、多様性にも生きる戦士です。よろしく。


「先客?……とりあえずお邪魔します…」


「どぞー」


 と、此処で突然の問題!リビングにあっくんを連れて行った時、起きる出来事は何でしょう。因みに、シンキングタイムは与えません。ソレでは答えをどうぞ。


「キャー!先生が美少女を連れ込んでるーーっ!」


 答え。ヒナさんが騒がしくなるでした。予想可能過ぎて草。そして、あっくんは大人の男です。美少女では有りません。ここ注意ね。色んな人の性癖に関わってくるので。


「部長さん。彼は男の娘です。後、とりあえず落ち着こうか。近所迷惑だから」


「え?うーん?」


「え。男性?」


 2人とも混乱してそう(小並感)まぁ、気持ちは分かるぞ。あっくんは男の娘の中でも、最強クラスの男の娘だ。少なくとも、俺はあっくんが女性と間違われなかった所を見た事ない。


「久し振り…?かな」


「…お久し振りです」


 嗚呼、そっか。もう弟とは何年も会って無かったのか。最後に会ってるのは俺が中学生の頃だった筈だから…かれこれ9年振りくらいになるのか。弟は7歳?若っ。ショタじゃん。


「そう言えば、何の様だっけ?」


「うーん。メッセージは見てないんだよね…?えっと、色々あるんだけど…とりあえず髪の毛切らせて貰って良い?後、写真も」


 手提げから徐にハサミとスマホを取り出すあっくん。全然良いし、構わないどころか、近いうちに頼もうとすら思ってたが、異様に必死なのが気になるな…一体何なんだ?後、脈略も無くハサミを取り出されると怖いからやめちくり。


「……えっ?今から?」


「うん。今から」


 気が早過ぎんよ〜…


———

——


 今の状況を説明しましょう。あっくんに髪を切られている俺。そして、それを静かに見物している弟。ヒナさん。凛さん。物凄く変な状況でワロタ。何がどうしてこうなるんだよ。


「えーっと、因みに髪型は…?」


「あ、えっと、本っ当に申し訳ないけど、僕に一任させて欲しい!」


「嗚呼、はい。どうぞ」


 そんな頼まれ方して断れるとでも?さようなら。我が長きに渡り、素顔を隠して来た頭髪よ。お前の事は途轍もなく邪魔だったから清々します。惜しむと思うか?な訳www


「なーくん。切るの上手いねあの人」


「そうだね。道具もちゃんとした奴だし」


「…あの人はちゃんと美容師資格持ってるよ」


「「えっ」」


 さっきから、なんか聞こえて来るな。まぁ、俺は良いけど。て言うか『なー』って凛さんの事だったのか。奥歯に挟まってたネギの様な謎が解けて満足。


 そうじゃなくてだな。本題からズレるところだった。もう少しあっくんから話を聞かないと。押し掛けてまで髪切って写真を撮らなきゃいけない理由を俺は知りたいんだわ。いや、マジでどう言う状況だよ。


「後、写真って言うのは?」


「あー、そうだね。先ずはアレについて説明しなきゃね」


「別に…簡潔にで良いよ?」


「んー。でもなぁ…ごめん。写真撮ってからで良い?」


「…?分かった」


 何だか、結構面倒臭い事情が有りそうだな…とりあえず、黙って切り終わるのを待つか。話が聞けるのは何十分後になる事やら…流石に1時間は掛からないよな?俺、そんなに待ちきれないよ?


「…良し。じゃあ撮るよ?」


「うん」


 なんか、気持ち頭が軽い。が、一人称視点でかなり分かり難いが、前髪も鼻先程度までは有るか。いや、精々目元を覆ってるくらいか。コレまたバッサリいったな。


 雑に触った感じ、マッシュヘアーが1番近いか?ソレにしてはちょっと段差が無さ過ぎる気もするが。イマドキの若者って髪型になっちゃったな…それに、俺の脳内予想図では、この髪型は……


「じゃあ、ちょっと待ってて」


「へい」


 すると、あっくんはスマホと睨めっこを始める。明らかに長くなりそうだなぁ…なんか飲もう。喉が渇いて来た。後、人口密度が増えて暑くなって来た。エアコンの温度も下げよ。


「…随分とサッパリしたね」


「やっぱ、そう思う?どう?似合ってる?」


「街中でよく見る髪型」


「褒めれてないよ?」


 誰が量産型じゃい。でも、前髪上げたりとかちょっと手を加えるだけでソレになりそうな予感がする…俗に言うトレンドの髪型って奴だよね。俺も、流行に乗る時が来たか。


「…短髪でもビジュ良いなぁ…童顔把握」


「変な補正入れるのやめよう」


「僕も切ろうかな…」


「今のが良く似合ってるよ」


 なーさんに切られるのは勘弁。何の為に俺が髪ゴム押し付けたと思ってるんだ。今の最高的な中性ビジュを推してるからだぞ。切られちゃ困る。まだまだ、俺を喜ばせてくれぇーーっ!


「いや、前髪が…」


「それは…そうね」


 擁護の仕方ないわ。前髪長いのは間違ってないからな。尚、俺が言えた事ではない。俺の方が長かったからな10分前くらいまでは。今は俺の方が……んー、やっぱ、今で同じくらいかも知れねぇ…


「にしても、なんか見覚えあるなぁ…」


「だね〜。テレビか何かで見た感じするよね〜」


「そう?気の所為だよ気の所為」


 多分、ソレ間違ってないですね。短髪の俺はただの俳優ソラさんなのよ。正直、あっくんは俺の髪型をソラさんにかなり寄せている気がする。だからこそ、何かしらの意図を感じる。


「で?どうかなあっくん」


「返信待ち…」


 何のだよ。いや、まぁ、何と無く想像は付くけども…本当に良い予感がしないなぁ…寧ろ、人はコレを悪い予感と呼ぶのでは?いや、間違い無くそう呼ぶな。うん。


「じゃあ、その間になーさんの髪を切って欲しいな。嗚呼、前髪だけね」


「紫髪の男の子?」


「そうそう」


「良いよ良いよ。こっちおいでー」


「ありがとうございます」


 そうして、俺がさっきまで座っていた椅子に座るなーさん。なーくんと呼ばれているなら俺はなーさんと呼ぶぞ。流石に人前で凛さん呼びは出来ないからな…ガワとのビジュが似てるのが悪い。尚、描いた人。アレは仕方なかったんですぅ!


「ん。凄い。ソラちゃんより綺麗な髪」


「俺を比較対象にするのやめませんかー!?」


「だって、この中で1番……ね?」


 ね?じゃないのよ。ね?じゃ。周りの面子を見てから言え。方や、若さを満喫している超オシャレJKに、方や、シャンプーだけでもサラサラなのに、コンディショナーまで使ってる髪質優勝者だぞ。どうやっても、俺が勝てる相手じゃないのよ。


「相手が強過ぎて勝てません」


「だよね」


 じゃあ、言うなし。さっきのやり取り、俺の自己肯定感をただ下げただけじゃねぇか。無意味だろ。必要あったか?何?俺ってそんな調子乗ってた?調子乗ってたら相手が強過ぎるなんて言わないよ?


「さて。どんな感じに切ろっか」


「…そうですね。お任せしても良いですか?」


「うん。任せて」


———

——


「よしっ。これで良いと思うよ。全体的に良いバランスになった」


「ありがとうございます………アレ。先生は…?」


「…?ソラちゃんならあっち行ったよ。ベランダ」


「ベランダ…」


 …と。外の空気を吸っていたら凛さんが現れた。先程まで長かった前髪がさっぱりおさらば。目元もちゃんと見える様になって、素材の良さがようわかる。それに、雰囲気がかなり変わったな。


「お。さっぱりしたね。良く似合ってるよ」


「ありがとうございます」


「…ん。そう言えば、何でここに?」


 此処は雨ですよ。屋根があるから濡れる事は無いとは言え、街中という事も有り、コレと言って特に良い景色もないしなぁ…後、風が吹けば普通に濡れるし。


「…先生は?」


「俺?俺は……」


 理由か…理由は勿論ある。…あの時、俺が部屋で目を覚ました後、その後の体調は最悪にも近く、数時間と休んであの体調なら、寝る前の体調は最悪その物だろう。多分、俺は1人で部屋に戻れてない。


 だとすれば、誰かが何処かの時点で俺を運んだと考えられるが、心当たりが無いんだよな…どの時点でばたんきゅ〜したかにもよるが、俺の家を知る者だからな。その数はかなり限られる筈だ。


 と言うのが一体誰なのかを考える為に、静かなこの場所に来たって訳だ。1から説明するのも面倒だからこの場では誤魔化させて貰うがね。


「色々だよ。色々」


「また秘密ですか…」


「ソレはお互い様じゃない?」


 まぁ、俺の方が断然秘密が多そうだけどな。こう見えても結構な秘密主義だし。と言うか、秘密を話す様な機会があんまりやってこないだけ。普通、秘密を話そうなんて、そうはならんやろ。


「それはそうですけど……知りたいと思うのは悪い事ですか?」


「…いや、悪くはないよ。良いのかは分からないけど」


「…僕はダメ人間なんですよ」


「と、言いますと?」


「……あの人の策略に見事にハマり、あの人を忘れるどころか。存在しない人を追い求める始末。今頃、あの世できっと喜んでいるでしょうね」


 こりゃまた突然に始まったな。多分、凛さんの父親の事だよな?凛さん曰く、自分の事を忘れられたくなかった早世の人。その背景までは分からなかったが、執着するだけの理由はあったと言うのが俺の予想。


「……失礼承知で聞くけど。それは父親の事?」


「ええ。そうですよ。それに、失礼なのはあの人だけですよ」


「いやいや…そこまで言わなくても…」


 中々に同情したくなる様な事言われてるな、あの人って人。何だか可哀想になってきた。でも、今の言い方だと、そこそこ憎めない人ではあるのかも知れないな。


「死因はただの病気でした。一般的な病気。一般的じゃなかったのは罹患した年齢と進行速度」


「…それはどう言う意味で?」


「発見した時にはもう手遅れってだけです。10年も生きれたらしいですよ」


 この感じだと、凛さんが物心ついてから死んだみたいだな。それにしても、10年もって言い方に若さを感じるな…10年って寿命でみたら、別に対して長い訳じゃないんだが…寧ろその人の年齢を考えると、あまりにも……短い。


「じゃあ、死んだのは数年前?」


「いや、8歳の頃なので、随分と経ってます。10年の余命を5年で散らしたんです。あの人は」


 …そうか。本来なら10年も生きられたのに、5年で死んでしまったのか。余命の半分…それは、確かに余りにも短いな。10年″も″と言いたくなってしまうくらいには短い。


「至極単純な話です。僕等を家に放置して、慣れない酒で腹を満たしては、吸った事もない煙草を咥え続けた。パチスロは元からの趣味だったみたいですけどね。兎に角、ダメな人だったんですよ」


 余命の半分しか生きられなかったのは本人の意思だったのか。ソレは、凛さんに印象付ける為か…はたまた…物心つかない歳の凛さんに好かれない為か…一体、どっちだろうか。


「ダメ人間として僕に嫌われる為に意地を張り。その癖、最後の最後でヒーローみたいに僕を助けてから、全く知らないところで勝手に死にました。気付けば、ずっとあの人の事を考える様になってむした」


 息子に嫌われ、自分の死を引き摺られない様、最低な父親を演じているが、息子の事を誰よりも愛して思わず行動にまで出てしまう父親か…確かに、それは強く憧れるだろうな。少なくとも、嫌いにはなれない。


「…良い人だったんだ。……でも、何でその話を俺に?」


「……僕に会う時は、いつもお調子者のあの人は、いつだって陽気にヘラヘラと笑ってました。誰よりも、失礼でいつまでも消えない目障りな存在は、その裏で日記に弱音を走り書き、死に怯えてた様です」


「何でそうだと?」


「…その日記を見つけたんです。最近。僕の部屋にロック付きで隠されてました」


「…そのロックは?」


「解けましたよ。めちゃくちゃ簡単に。何を思ったか、命日がパスワードでした。初めから、あの人はあの日には死ぬつもりだったんです」


「そっか…」


 自分の命日を選んでいたと言うのは、とんでもない程の覚悟の表れ。この日をパスワードにし、自分はその日に絶対に死ぬと言う覚悟。多分、想像を絶する恐怖があっただろう。


 …もしかしたら、凛さんに嫌われるという行為自体にも、もう後戻りは出来ないと自分に言い聞かせる目的があったのかも知れない。死にたくないのに、死ぬと言うのはそれ程の想像も出来ない恐怖だっただろう。


「…日記にしか弱音を吐けなかったあの人。1人で全て抱え込んで、自分の強さを誇示したかったんだと思います。そうでもなきゃ、僕の部屋に日記なんて隠しませんよね」


 …そうか。そうだよな。初めから、見つけられる事を前提で日記を隠したんだよな。確固たる決意。きっと、誰よりもカッコいい父親だった事だろう。そんな人にもう会えないと言うのが悔やまれる。


「弱さを見せない強さ。なーさんの父親は誰よりも強くカッコいい人だよ」


「…ええ。だから、僕はそうはなれません。だから今。こうして弱音を吐いてるんです。カッコよくある必要は初めからなかったので。……僕はダサいなぁ…」


 それが俺に父親の事を話した理由か。弱音を吐かない強さを見せた父親。弱音を人に見せると言う強さを手に入れた凛さん。形は違えど、どちらも強さと言う意味では同じだ。


 ……まぁ、その点、俺って何なんだろうか。分かってた事だが、何にもないな。空っぽの空虚。誰か俺を満たしてくれ〜。なんてね。


「……少し、胸を借りても?」


「良いよ」


 そうして、いつからか涙を堪えていた凛さんを受け止める。風が吹いて来たのか、俺の服がゆっくりと濡れていき、強い雨に紛れて聞こえる声は、あまりに小さく耳に入る事はない。


「人に弱さを見せれる方が、よっぽどカッコいいよ…にしても、雨音が煩くなって来た…」


 何処か遠くから「お父さん」と言う声。きっと、その子は死んだ父親を想って泣ける優しい子なんだろう。自分を産んでくれた事を父親に感謝する優しい人なのだろう、と。強くそう思う度に、自分の醜さが露呈していくような感覚になる。


 多分、俺は父親が大嫌いだ。それこそ、親の仇みたいに大嫌い。


 だって、俺の父親はいつも俺を置き去りにした。


———

——


「落ち着いた?」


「…すみません。服」


「雨が降ってるんだし濡れる事もあるでしょ。それより、もう良いの?雨はまだまだ強いままだけど?」


 雨なんてとっくに止んでいるのに、俺は何を言っているんだか。泣いてる人が待っているのは、慰めじゃなくて、助けなのにな。慰められても虚しいだけなのはよく知ってる筈だ。


「…どれだけ泣いたって、救われる人はたったの1人でしょうから」


 嗚呼…きっとこの先、凛さんが理由も無く泣く事は無いのだろう。もしも、自分が救われるのなら、俺はきっと何度も泣き叫ぶ。でも、実際はそうじゃないんだよなぁ…泣いて救われる程、俺は救われた人間じゃない。


「雲も晴れて来ましたね」


「そりゃそうだよ。梅雨も終わるんだから。因みに、この物件。陽当たり不良なんだけどね」


 この物件を選んだ理由の1つ。日が当たらないから夏でも涼しい。まぁ、年中エアコン付けてるからあまり関係は無いけども。精々電気代が浮くくらい。そして、コレが2つ目。


「わぁ…」


「虹は良好なんだよ」


 日中は太陽を背にする関係上、虹がとても見易い。天気予報的に、見れる可能性は有ると思ってたが、思ったよりもくっきり見えたな。こんな虹は久し振りだ。やはり、梅雨も明けたか。


「さて。中に入ろうか。直ぐに暑くなってくる」


「そうですね…」


———

——


「あっ、戻って来た!」


「はいはい。ただいまただいま」


 いつまでもテンション高いなぁヒナさん。飼った事がある訳じゃないが、犬を飼ったらこんな感じの気分になるのだろうか。そんな事を考えているとヒナさんに耳と尻尾が……生えません。くっ。無念だ。


「ソラちゃんにお願いが有ります」


「嗚呼、僕もついでにある」


 お願い多いなぁ…


「先、僕で良い?長くなりそうだし」


「うん。この話は2人きりでしたいから」


 話はまとまったか?一瞬過ぎて待たされた気分にならないのだが…先ずは弟の方からか。一体、どんなお願い事をされるのだろうか。お兄ちゃん。ちょっと怖いです。


「僕の絵を描いて欲しい」


 ……おや?何だか、おかしい展開になって来たぞ。


———

——


594 風邪引けば名無し ID:SdesYwnj

箱イベ開催!?!?!?


595 風邪引けば名無し ID:vAsoSyXu

天地がひっくり返る事ってあるんだなぁ…


896 風邪引けば名無し ID:oDsotpjN

追加注文入りまーす

————————————————————————

ダークナイト何某@貴様の第九を奏でてやる

————————————————————————

ついに活動を再開した凛さん。

皆が復帰配信を期待する中、

唐突にしてゴミ箱の箱イベが開催される。

忙しなくなる俺。止まらない依頼。

そんな中、俺が弟より聞いた願いとは?


次回、弟、Vtuberデビュー。


この次も、サービス、サービスぅ!

————————————————————————


897 風邪引けば名無し ID:vAgoPjnw

どうしてそうなる———☆


898 風邪引けば名無し ID:FgMjyxtj

どう言う経緯でそうなるんだよ


899 風邪引けば名無し ID:tMgyjgNt

高校生V……ってコト!?


900 風邪引けば名無し ID:oKgyAsww

いや、ゴミ箱にも既に2人程居るのですが…


901 風邪引けば名無し ID:EjXnPupw

高校生がパチスロ行くかよ!


902 風邪引けば名無し ID:rAgoDnuj

なのちゃんは…まぁ、うん。可能性は、ね?


903 風邪引けば名無し ID:yMsyJmEl

一応、個人勢になるのかなぁ…


904 風邪引けば名無し ID:DgOtnpjV

先生の絵にショタボはダメだ!死人が出る!

コレを見過ごす理由があってたまるか!

見なきゃ!(迫真)


905 風邪引けば名無し ID:oAgYxsXw

(性癖が歪む音)


906 風邪引けば名無し ID:yAgoDyjT

ゴミ箱Vになったらそれはそれでオモロいが、

先生がそれを許すとは絶対に思えない


907 風邪引けば名無し ID:CgnPvMtx

変なところで常識を見せる男だからな


908 風邪引けば名無し ID:GutExtju

あの先生の弟だろ?

どっかしらは狂ってそう


909 風邪引けば名無し ID:vAsoAjut

先生曰く、非常識な常識人らしいぞ


910 風邪引けば名無し ID:fJsyPlTt

どっちだよ


911 風邪引けば名無し ID:RtyMympx

よもや、先生にそれを言わせるのか…


912 風邪引けば名無し ID:oAgymTvw

話を聞く限り、完璧超人らしいからな

どんなVになるのか楽しみだぜ…


913 風邪引けば名無し ID:CsyjPykx

尚、配信頻度は死んでいる模様

趣味程度に配信するんだって


914 風邪引けば名無し ID:vDgOmfAx

学生だからね。仕方ないね


915 風邪引けば名無し ID:LgoDtyau

推定学生の方は結構な配信頻度なんだが?


916 風邪引けば名無し ID:nAsydPjy

まぁ、よそはよそ。うちはうちよ


917 風邪引けば名無し ID:gNyMtyup

くっ…弟。手強い奴め…

ワイと闇夜血炎の楽園エデンに、

そんな土足で踏み入れおってからに…

テメェ!テメェさてはブラコンだなぁテメェ!?

お姉さん、近親s…兄弟仲良しは許しまへんで!


918 風邪引けば名無し ID:RgyMtoxm

出たな!厄介ネキニキ!

テメェばっかで煩いぞ!


919 風邪引けば名無し ID:gMlmusow

よく耐えたな!厄介ネキニキ!

そのワードは普通にアウトだからよう耐えた

垢BANも夢じゃないレベルだからな。本当に


920 風邪引けば名無し ID:faGvnsYu

いや、そもそも、お前は女じゃねぇだろうが!


921 風邪引けば名無し ID:nJjymsOu

男かも怪しいけどな…


922 風邪引けば名無し ID:fJsyPlTt

どっちだよ


923 風邪引けば名無し ID:LsyMjogx

おや?

————————————————————————

ゴーストミーティング公式@略称はゴミ箱!

————————————————————————

追加情報!

とあるスペシャルゲストが

進行役として出演予定!


…ヒントは変態で社長お気に入りのあの人!

————————————————————————


924 風邪引けば名無し ID:tXgymPVn

一体…何夜何某なのか…


925 風邪引けば名無し ID:NsoasXvu

公式から変態呼びされてて草


926 風邪引けば名無し ID:oAsyJgXl

アイツ、社長のお気に入りだったのか…


927 風邪引けば名無し ID:gNyMtyup

ワイのお気に入りでもあるで?

結婚を前提のお気に入り

ゆっくり進んでいこうな♡

死ぬ時も一緒や♡


928 風邪引けば名無し ID:rxJjYgxt

ヒェ…(怯え)


929 風邪引けば名無し ID:PgydJlxt

ギブ。流石にキショい


930 風邪引けば名無し ID:NjOgxpvw

こんなんオカンが走るわ


931 風邪引けば名無し ID:fAsyjPyw

お母さんトコトコで草


932 風邪引けば名無し ID:vGyNtykp

虫さんトコトコと似たものを感じた


933 風邪引けば名無し ID:vydOjyxp

ファ!?!?!?

————————————————————————

花簪@【求】労基への訴え方

————————————————————————

箱イベ私も出なきゃいけないのか〜

仕方ないな〜メチャクチャにしてやろ〜

————————————————————————


934 風邪引けば名無し ID:PvDsXlmp

盛り上がってまいりました


935 風邪引けば名無し ID:tNgOjouP

相変わらず、伸ばし棒ばっかだなぁ


936 風邪引けば名無し ID:vMgoDtOu

何もかも腑抜けてて好き


937 風邪引けば名無し ID:sDyJgyJu

こんなに楽しそうなイベント他にねぇよ


938 風邪引けば名無し ID:oDsoPxgt

でも、先生は楽しめなさそう


939 風邪引けば名無し ID:yAsxGnTy

先生はかわいそう。はっきりわかんだね


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ