サタンちゃまとタイ紀行その4
プーケット島に到着すると海が目の前に広がっていた。しかも白い砂浜ヤシの木と気分があがる南国の海だからメリーがはしゃいだ。
「水着買わなきゃ」
「あのにゃメリー……アタチらは遊びに来たんじゃにゃいにゃろ?」
「うるさいわねちびっ子真面目か……こんな綺麗な海辺で泳がなくてどうする?」
いや、人それぞれだと思うけどな。例えば千葉に行って夢の国に行かないのはおかしいと主張するのと同じだよ。
「確かに遊びたいよな」
サングラス掛けたヒューイがメリーの意見に追随した。お前も遊ぶ気満々だな。
「でしょっ! ヒューイも言ってんだから遊ぶわよっそれに、ピーとか言う首の化け物が出るのは夜なんでしょ? まだ昼間だから遊んで夜を待つべきよ」
「ちょっと待てにゃ、飯屋の親父の知り合いがピーに関して困ってるから、来たら訪問して欲しいって言われたろにゃ」
「ホントっ、ちびっ子の癖して真面目か!」
「にゃっ!」
皆黙っているから仕方なく俺が言ってんだ。好きで仕切っているわけではない。
「分かった。あたしらは海で泳いでいるからアンタらはピー退治ね」
「にゃっ!」
身勝手なメリーに賛同したヒューイ一行とちびっ子勇者一行と谷川シェフ。一方俺とエイトと町彦とアルマーはピー退治班だ。ちなみについて来た呪い女は呪物を購入してから空港に戻った。
しかし、俺たちはずいぶん人数少なく地味なメンバーだな。
「仕方にゃい。生首位アタチらで充分にゃ」
「社長っ」
「にゃんにゃ黒鴉……」
両手を擦ってハエのモノマネか?
「ワタシらも〜海に行ってよろしいっすよね?」
「……駄目にゃ」
「なんですか社長っ!」
黒鴉が俺に詰め寄り抗議した。
「あのにゃっ、主人を置いて遊びに行く部下が世の中どこにいるにゃっ!」
「……ここにいるっす」
「ひらき直るにゃっ! それはそうと、おみゃえらは夜に備えて一旦ファイルに戻れにゃ」
「ちょっと社長っそれはないっすよ」
「そうですっせっかくサタン様と南国ビーチで過ごせると思ったのに!」
「肌が焼けるからビーチは論外だけど、エステには行きたかったわね。だからサタン様それはないですわ」
黒鴉にクレナとロウランが珍しく意見が一致し俺に抗議した。
「にゃむっちょっと待てにゃっ、この依頼が終わったら次の日遊べばいいにゃん」
「へっ……いいんすか社長っ?」
「構わんにゃ」
「しかし、邪神は……」
そういや忘れていたわ邪神。
「問題にゃい。ついでに飯屋の親父に聞いたにゃ、邪神は姿を現さず平和そのものだそうにゃ」
「そうでしたか、それなら大丈夫すね」
楽観的な黒鴉とクレナとロウランは納得してファイルに戻った。しかしまぁ邪神が攻めて来ると言う話はガセだったな。
「にゃあ、ピー程度にゃアタチらで充分にゃ」
丁度悪霊退治のプロの天使騎士エイトさんがいるし大丈夫だろ。ただ眠そうな目が頼りなさを醸し出している。
「ふんっ、お前たちだけでは荷が重いだろ。だから我も行ってやる」
ドルチェルが急に言い出した。
「にゃんにゃちびっ子勇者のお世話はいいのかにゃ?」
「ふんっ、良く出来る妹のグレイフルにガルドがついているから問題ない」
「にゃるほど」
「それにピー・ガスと言うこちらの世界の化け物に興味があるんでな。出来れば捕まえて魔薬の材料にしたい」
魔女が壺に入れたトカゲやら毒草を煮る光景を思い浮かべた。まぁ好きにすればいい。
こうして俺たちは二手に分かれて移動した。
□ □ □
プーケット島の繁華街に入って飯屋の親父が描いた地図を頼りに知り合いの元に向かった。
「ここかにゃ……」
道に迷いながら結局アルマーのナビに頼ってたどり着いた。あんな適当な手書き地図じゃ分からん。
さて、飯屋の親父の知り合いが経営するコレまた飯屋だ。しかし飯には困らなそうだ。
とりあえず中に入ると店内は客で一杯で繁盛していた。
「サワディカーっ」
店主が笑顔で出迎えてくれた。エプロン掛けたかっぷくのいい女性だ。
「アンタらが冒険者かい? あたしゃマレって言うんだ。しかしソムサイさんから聞いてた割には少ない人数だねー……しかも子供」
『依頼したパーティーに子供がいて不安か?』皆俺を見て不安に思うが大丈夫だ。俺ほど頼りになる冒険者はいないと思っている。(自画自賛)
「いにゃっ、これにはわけがにゃ……」
特にメリーとか勝手な仲間が悪いんで。
「それにピー・ガス相手にこんな子供で大丈夫なんかねぇ……」
「大丈夫にゃっ、こう見えてもアタチは強いにゃ」
「あらあら、小さいのに大きく出たねぇ……とりあえず席が空いたからなにか食べるかい?」
「にゃっ」
本日二度目のガパオライスを無料で頂くことにした。まぁ依頼料ってことにしとくよ。
「ふんっそれでピー・ガスは夜に出るのか?」
ドルチェルが聞くとマレの表情が曇る。
「そうなのよ。静まりかえった満月の夜に複数のピー・ガスが飛び回って人や家畜を襲うのよ」
「なるほど……まぁ問題ないだろ。この我に天使とロボと、アイテムやら部下をなんでも出す悪魔のちびっ子がいるからな」
「へ〜そいつは頼もしい。じゃあウチの料理腹一杯食べて夜に備えていきなよ」
笑顔を取り戻したマレさんが厨房に戻ると三つ編みの少女が料理を運んで来た。名前はアチャラと言い。17歳になるマレさんの1人娘らしい。しかし母に比べて細身の美少女だ。
とりあえず飯を食べて深夜になるまで店で待機することになったのだが、やることないので結局ビーチで遊んでいるメリーたちの元に戻った。




