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初手でやらかしてしまった俺が、一目惚れしたあの子と結婚するまで  作者: アカツキユイ
五年目

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14/18

14 「そんな顔しないでよ、母さん」

ブックマーク・評価・ご感想ありがとうございます!

 こうして俺は遠隔対戦デビューを果たした。


 国も性別も年齢も様々なプレイヤーと戦えるのがとにかく楽しかった。

 ついに睡眠を削って翌日に支障が出るようになり、一日の試合数の制限を言い渡されてしまった。


『あなたのゴールは何?遠隔対戦で世界ランカーになること?』


 そう母に尋ねられて初めて、目的を履き違えかけていたことに気がついた。


『入城許可証を手に入れて、ジョセフィーヌを守る』

『よろしい。でも、強くなってランキングに入ることは評価材料にもなるでしょう。

 睡眠時間はきちんと確保しなさい。勉強時間もね』


 遠隔対戦を重ねていくうちに、馴染みの対戦相手が増えてきた。

 遠隔対戦では会話もできる。

 お互いの話をしたり、観衆モードで観戦した後に感想を言い合うなんてことも増えた。


 ジョセフィーヌとのお茶会で遠隔対戦の話を毎回していたからか、ある時ジョセフィーヌが尋ねてきた。

『そんなに、楽しいのですか?』

『ああ!賭けたりすることもないし、ジョセフィーヌを取られるとかそういう心配もないから色んな話ができて息抜きにもなるんだ』

『……そうなんですね』


『ジョセフィーヌがものすごく頑張ってるからさ、俺も負けてらんないなって!』



 冬になり、国内の大会シーズンがやって来た。

 五つの大会に参加して、決勝トーナメントまで進めたのが三つ。

 優勝はできなかったが、一度だけ二位を取ることができた。


 その結果、貴族子女だけで行われる小さな国際大会に招待されることになり、成り行きで入城許可証を手に入れた。


『……まあ、結果オーライでしょう』

『そんな顔しないでよ、母さん』

 俺だってもっと実力で手に入れたかったよ。



 そして、更改前日の男だけの会合。

 もうこの頃にはお茶会ではなくなっていた。お茶を飲むのは俺だけになっていたからだ。


『どうせなら一大会くらい優勝したかった……』

『まあ、来年だな』

『来年だな、って、父さんが俺に勝ったんじゃん』

 そう、準優勝した大会、決勝での対戦相手は父だったのだ。


『手心を加えたら周りになんと言われるかわからないだろう?』

『それはそうだけど……決勝になると条件があんなに厳しくなるなんて思わなかったから、まず勝てなかったと思う』


 前領主一家が夜逃げした後の、荒廃し切った辺境の再興。

 さすがに子どもには難しすぎた。


『試合記録を見たけれど、かなり善戦していたと思うよ』

 ウイスキーを一口煽ったおじさんが、愉快そうに笑った。

『大会、来月なんだろう?』


『うん!ジョセフィーヌにお土産買って帰ってくるよ!』

『ワインが美味しいところだから、多めに買って来てもらうつもりだ。そうしたらピエール、一緒に乾杯しよう』

『良いねグレイリオ。レックスくんの祝勝会になるともっと良い!』


『……父さんもおじさんも、ちょっと飲み過ぎだよ……』


 ***


『婚約は継続でお願いします、レックス様』

『うん、良かった。引き続きよろしくね、ジョセフィーヌ。大会のお土産、何が良いか考えておいて』

『レックス様、その件なのですが』

『?何?』


『引率が王弟殿下になるそうです。私も同行させていただけることになりました』

『ええっ!!?』


 おじさん、昨日そんなこと一言も言ってなかったじゃん!!

 ……そんな心の叫びは、ジョセフィーヌと一緒に旅に出られるという喜びであっという間にかき消された。

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