表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神から授かった権能“模倣”で異世界を生き抜く  作者: 近藤セカイ
第1部 第3章『パウンド編 ――大貴族会――』
PR
52/54

第49話『最強の“権能”』

第49話です。

次で50話ですよ。


 閑静とした領邸の室内はまるで戦闘を行うことを想定しているかのように広大であった。この部屋の役割は設計当初から決まっていた。


【最強の矛で最奥に侵入した敵を殲滅する】


 弱者には先手を譲る。 それができるのは、絶対に敗けないという確信がある強者だけだった。

 あるいは、 ティーチ・パウンドに敗北の文字はない。


「かかってこい。アラキ・マコト……。先手はくれてやる……。」


 ――舐めてるな……それでいい……俺たちはチャレンジャーで敗北者。それぐらいの気持ちのほうがやりやすい!!


「いくぞ!! ティーチ――」


 扉を開ける音と共に、聞き覚えのある大声が部屋全体に響き渡る。顔にはマスカレードマスクをしており正体を隠しているつもりなのだろう。

 しかし、特徴的な黒の長髪と声は彼女の正体が“7貴族”の“エピタフ家領主”であることを物語っていた。


「――その戦い!! ちょっと待ちなさぁい!!」

「……お前……ミヤ――」

「違ぁう!! 私はミヤ……ではなく歌姫レディ!! ティーチ!! 貴様から私の友人を取り返しに来た!!」


 あまりのインパクトに時間が止まった。先ほど、気合を入れたティーチも『お前……マジか……』みたいな顔をしていた。


 ――本人は否定しているが明らかにミヤビさんだよな……。友人ということはユウリのことか……。強力な仲間だが今この状況で乱入してくるのは俺たち的にも非常にめんどくさい。 


「めんどくさいな。……しかし、同じ“7貴族”とて容赦はしない。貴様も侵入者としてここで死ねぇ!!」


 明らかにティーチの声色が変わった。先ほどまでは優しさがどこかにあったが、今のは違う。完全に怒りと呆れが混ざっていた。

 そして、あの時のように指を振り下ろす。


 今回は四本。 指先が四方向へ向けられた瞬間、嫌な予感が背筋を走る。

 

「来るわよ!! マコト君とゲンマ君!! 気をつけて!!」


 ――あんたはどこまで隠すつもりなんだ!? 思いっきり俺たちの名前を呼んだぞ?? まぁ、もう諦めて味方として使おう……。


 ティーチの攻撃をミヤビの歌声が相殺した。衝撃が領邸全体に伝わる。まるで。大気が震えているようだ。

 ミヤビの歌声をティーチが打ち消したのか、それともティーチの攻撃をミヤビが留めたのかはマコトたちには分からなかった。


「やばいですね!! 僕たちはどうします??」

「冷静に機会をうかがうぞ!! やることは当初の作戦と変わりない!! 勝ちに行くんだ!!」

「了解です!!」


 ゲンマは一足先に走り出した。手には未知の“魔法具”が携われていた。詠唱が始まる。


「海の亡霊よ。我らを惑わす幻妖よ。灼熱の陽炎よ。この場に混沌を巻き起こせ!! ――“ミラージュ”!!」


 同タイミングでマコトも走り出していた。ゲンマの右を抜けるように、部屋を広く使って柱を壁にするかのように距離を縮めている。

 それを見逃すほど、『最強』の領主は甘くない。ミヤビの相手をしていない空いている左腕を使い、見えない砲弾のような攻撃を柱に向かって撃ち続けた。


 ――ティーチの“権能”は『重力操作』。万物に概念にすら重力を付与する“権能”だ。だから、俺たちはあの時、抵抗する意識すら沈んでいた。

 

 マルコ曰く前提として『重力を喰らわない』

 

 ――重力を操作できるのは腕の本数だけ、今は右腕全てをミヤビさんに使っている。だから、相手するのは左だけ。

 

「何が起きている……?? どうなっている……」


 ティーチは自身の攻撃に確かな違和感を感じていた。


 ――当たらない。ミヤビの歌声を相殺しているからではない。アイツの“権能”は強力だが、俺には及ばない。今も片腕で余力を残して受け続けている。

 

「私に何をした……?」


 ――アラキ・マコトに当たらない。何故だ?? 甘い心は捨てたはずだ。ここに来たなら生半可な傷は与えないと決めた。なのに……何故だ!?寸法が狂ったかのように攻撃が当たらないのは!!


「何考えてんだ? 俺はこっちだぜ!!」


 意識の外、予想外の方向である背後からマコトの声が聞こえた。ミヤビの歌声の効果だけを重力で落下させているため音は貫通している。そのため微細な音は聞き取ることが困難な状況にあった。

 しかし、何よりも理解不能で不可解なことが一つだけある。

 ティーチの目には背後にアラキ・マコトは映っていないのだ。


 ――後ろだと!? アラキ・マコトは姿を隠す“権能”なのか?? いや、違う。あの時使っていたのは“地面を操作する権能”だ。例えるならば『地歴武器マインクラフト』のような“権能”だ。

 だが、声を出したのならば!! そこを狙えば済む話だ!! 左腕の全ての重力を使った範囲攻撃だ!! 落ちろ!!


 ペキッ……


 明らかに何かが折れて潰れた音がティーチの耳にも聞こえた。左半径5m内の範囲全てを潰す重力攻撃である。もはや、確認は不要――


 バキッ……


 ――何だ? この音は?? それにこの痛みは!? もしや俺が殴られた音なのか!? 


「ぐうぅっ!!」


 『最強』に土をつけるのは過去から未来までこれが最初で最後であろう。

 ティーチは今この瞬間に自身が理解できない事象に二つ直面していた。


 一つは二度に渡る攻撃が当たらなかったこと。

 

 もう一つは、自分がアラキ・マコトに殴られたという事実だ。


「どうした?? 『最強』!! 俺はさっきからお前の目の前でチャンスを狙ってたんだ」

「貴様……何をしたのだ……」

「……教えない……一つだけ言えることは……俺はお前を超える!!」


 “権能”『模倣』の発動条件は二つ。

 

 相手の名前を知ること。


 相手に触れることである。


 ――発動条件は整った……“権能解放”『模倣』対象はティーチ・パウンド『重力操作』!!

“スピーカン”は便利

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ