第48話『告白と決断』
第48話です。
Episode数は50を超えましたね。
ここらで一区切りでもいいかも。
「ええ。一人ですよ……。それよりも僕、ティーチさんにフルネームで名乗りましたっけ?」
「こちらが勝手に調べただけだ。ユウリとパーティを組む貴様らの素性を調べるのは兄として当然のことだろう?」
ティーチは顔色一つ変えずにその言葉を言い放った。それが「当たり前だ、通常だと」言わんばかりに。
「はは……そうなんですかね。僕はそういことはよく分からないので……」
「それ以上に貴様らのパーティは不可解な点が多い。特にアラキ・マコトはギルド登録以前の記録が存在しない。貴様はアーム領の村人から“桜ヶ峰大戦”の際の戦争孤児だと言質を取っている。――ランバーノの生まれだそうだな」
「はい。もっとも、僕はランバーノにいた頃の記憶なんてありません。子供の頃にその戦争でこちらに流れてきた程度しか知りませんよ。――このことも大人に聞かされただけですし……」
両者動く気がないのか、会話を始めた場所からピタリと動かない。先に始めることもできるが、お互い、この場に来るべき主役を待っているのだろう。
少しの沈黙の後、先に口を開いたのはティーチであった。
「アラキ・マコトはどこに行った?? よもや、貴様を単独で寄越す男ではないだろう」
「ええ。そこの扉の前で一度別れました。――戦う前に向かう場所があるって……酷いですよね〜。僕一人にティーチさんとお話しといてくれなんて……いわば、時間稼ぎ役ですよ〜」
「ほう……。時間稼ぎ役と私に向かって直接言うとは、肝がずいぶんと据わっているのだな」
「ええ。僕は演技も何もしなくていいのですから。後はマコトさんが全て何とかしてくれますし……僕はリーダー(かれ)を信じてますから」
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その頃、マコトは――
リネットと再び行動を共にしていた。『気配消し』最大の障害だったパウンド・ウルフは、既に風切りマスクことカエサルによって戦線から退けられていた。そのため“権能”『気配消し』で館内を自由自在に駆けまわれる二人にもはや敵はいなかった。
「よく分かりましたね。私が同じ場所で待っていることを」
「俺の侵入口を最初から把握していたのに、お前は誰も連れてこなかった。だったら敵対する気はないんだろうなってな。後は勘だ。」
「ご明察です。ユウリ様とパーティを組まれたのがあなたで本当に良かった。」
「褒めすぎだろ。――そうだな。ユウリに会ったらなんて言えばいいと思う?」
リネットは慎重に言葉を選ぶように考えていた。長考とも取れるそれはリネットの印象からは考えられないものであった。
「普通に……いつものように接すればよろしいかと……」
「……」
「マコト様?」
「そうだよな。何も特別なことなんてないもんな。よしっ!! 早くしようゲンマが一人でティーチと戦っているかもしれないしな」
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一方、ゲンマ。
「暇ですね。何か面白い話とかないですか?」
「貴様は無敵か?」
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「ここです。」
リネットが足を止めた先には、一つの扉があった。扉には二重に南京錠がつけられており、扉自体にも鍵がかかっているようだ。
「ユウリ様はここに軟禁されています。鍵はこちらにございます。御一人で行かれますか?」
「ああ。俺から伝えることがあるからな……。リネットはそこで待っててくれ」
「分かりました。それでは――」
マコトは扉の鍵を一つ一つ外していく、南京錠を取り外す度に心臓がドクンと飛び跳ねる。高鳴る鼓動は再会を心から喜んでいた。
――長かった……。思えば、最初に俺を救ってくれたのはユウリだった。あの時も、あの時も、いつでも隣にはユウリがいて……。ゲンマがいて……。二人がいてこその俺なんだ。
扉の南京錠をすべて取り外した。最後に扉の鍵を刺して、くるりと回した。それはとても軽かった。扉がゆっくりと開いていく。
――俺たちにはお前がいないとダメなんだ……。
扉を開けると中はとても広い部屋だった。シンプルな装飾だが細部までこだわっている家具はティーチの愛情を感じる。
窓辺にはかつての仲間が――ユウリがいた。
「マコト……? どうして……ここに……」
「言ってただろう。会いに来るって」
ユウリは2日前の“大貴族会”で兄と話した内容を思い出した。
「あれって……そういうことなの?」
「ああ。だから迎えに来た」
「……」
「ユウリ? どうしたんだ? 黙りこくって……」
――再会した時の物憂げそうな表情を見て、何かがあると思ったが……
「何か……言いたいことがあるのか? 俺で良ければ話を聞こうか……」
「ものすごくワガママな事を言ってもいい……?」
「良いけど……何だ?」
「あのね――」
ユウリは胸の内を告白した。
何をしたいか。何になりたいか。
そのためには何を犠牲になくてはならないか。
これまでの全てが無駄になるかもしれない。マコトとゲンマの頑張りを無駄にしてしまう。そんな気持ちで話した。
「……分かった……。――俺は賛成だ!」
「いいの? こんな子どもみたいな」
「それでいいじゃないか? ユウリがやりたいことなんだろ?」
「……うん。」
「俺に任せて今は待っててくれ……ユウリの覚悟は聞いた。なら今度は俺の番だ。」
「どこに行くの? もしかして……」
「ああ。最後に話をつけてくる。俺はパーティリーダーだからな!」
無理に作った笑顔でマコトは部屋を出た。その笑顔が作りものであることはユウリとリネットには一目で分かってしまった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「遅かったな……やりたいことは終わったのか? アラキ・マコト……。」
「遅いですよマコトさん! ティーチさんも待ちわびてました! それよりも僕の時間稼ぎはどうでした??」
「完璧だったよ。ありがとうなゲンマ。じゃあ――ユウリの邪魔するやつらをぶん殴ろうか!」
「はい!! いきましょう!!」




