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女神から授かった権能“模倣”で悪魔ダンジョンを生き抜く  作者: 近藤セカイ
第1部 第3章『パウンド編 ――大貴族会――』
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第28話『弱点なんてあるんですか』

28話です。

「えっ!! あるんですか?? あのティーチ・パウンドに弱点が!?」


 マルコはニヤニヤしながら、指を三を数えるように立てる。


「ティーチには3つの弱点がある。どれもが直接的な戦闘には関係しないが、利用しない手はないだろう」

「つまり攻めるべきは人格的な弱点や搦め手のようなことですか??」

「そういうことだマコト。そしてティーチの弱点其の一は“強すぎる”だ!!」

「はっ?? ……弱点じゃないですよそれ」

「そうですよ。強いのはストロングポイントですよ」


 “強い”のは“ストロングポイント”って、“白い線”は“白線”みたいだな……。


「…最近の子は当たりがつよいなぁ……よく聞けよ。お前らは分かんねえと思うが、“強すぎる”ということはな“敵を作る”んだよ」


 “敵を作る”とはどういうことだ? 強ければ、喧嘩は売られないはず……いや、待てよ


「…よくわかってなさそうだな。特にゲンマの方は」

「えへへ…どういう意味ですか?? さっぱりわかりません」

「あいつは“強い”から色んな場所で戦いを任されている。戦うということは、その際に戦いを作った要因や人間がいるはずだ。そのような奴らがティーチも逆恨みをしているんだよ。それであいつに文句を言う人間が、特に貴族の中でも今も多い」  


「……7貴族として、問題解決役にされるから結果として恨みを買うというわけだ。分かったか? ゲンマ」

「……はい!! つまりは、全員から敵視されているわけですね!!」

「んまぁ…それでいいか。あいつは勝ちすぎなんだよな、一人で勝つ。他に役目が回らないのも要因の一つだな。あいつの私兵も出番が少なくて基本的には自領から出ないしな。人望もあるし仕事もできるが、出来過ぎなんだよな。」


 一人で勝てるほど強いから、周囲に味方がいない。しかし、人望がないわけではなさそうだな。こっちの社会でも“出る杭は打たれる”か。


「他の弱点は何なんですか?? もったいぶらずに教えてくださいよ〜」

「ああ、ティーチの弱点其の二は“ユウリ”だ。これはお前らも観ていたと思うが、まぁ、溺愛してるんだよな……」

「そうですね…。普通に戦うか“ユウリの好きなところ勝負”の2択に追い込まれましたもん」

「そんなことしてたのかあいつ!? “7貴族”の領主の中では溺愛ぶりは有名だからな…。領主会議の際には“妹”の話しかしないからあいつの横は避けられてたからな。大体はミヤビのやつが貧乏くじを引いてやがる」


 まぁ、やってるかやってないかと言われたら100%やってる側の人間だろうな。初対面での印象が頭のおかしいやつだったからな……。


「…ユウリが弱点とはどういうことだ?? 人質にでもすれば弱るのか??」

「分かんね、誰もやったことはないが100%死ぬだろうな。……弱点というのはユウリが悲しむことは絶対にしないことだろうな。行動に制限がかかっているというか、お前らが死にかけまで追い込まれても生きてたのは、ユウリが悲しむからだろうな」


 その時、マコトの脳裏に浮かんだのは、この数時間でのユウリの態度である。彼女は明らかに嫌がっていたことは誰にでもわかることだ。


「…じゃあ、なんでユウリを連れて行ったんだ?? それこそあいつは冒険者を続けたいと言うだろう」

「……それについてはあいつが“7貴族”だからだろうな。マコトは“7貴族”について理解してるか??」


 “7貴族”、ティーチにマルコさんやミヤビさんにダンカンさんが属している社会構造。領主をしていることと何かの役職に就いていることしか知らない。


「いえ、あまり詳しくは」

「…ちょうどいいか…“7貴族”というのは、遥か昔に“女神リデフィー”とともに戦った7人の英雄の子孫たちだ。その名残は今も残っていて全ての…一つの家を除いて市民が住まう領地を持っている。」


 ……“リデフィー”はその昔から存在していたのか。そして、その子孫が領主か。確かに領地の名前が領主達のラストネームになっていたな。


「“7貴族”は俺の“デフィー家”、ミヤビのところの“エピタフ家”、ダンカンさんのところの“アーム家”、クライのところの“フレア家”、フンケルのところの“ステラ家”、フィアのところの“シャドウ家”、そしてティーチのところの“パウンド家”だ。…前ぶりはこの程度でそろそろ本題にはいるか」

「本題というと?? それも弱点ですか??」

「弱点だよ。いいか、“7貴族”の領主は俺に言わせてもらえば呪われている。主権能(マスター)を持って生まれた奴は領主にされんだよ」


 主権能(マスター)?? 権能は遺伝するのか?? それに領主は呪われている!? 


「俺は主権能(マスター)を持ってるが故に、やりたくないわけではないが、俺は王様の機嫌取りとギルド長を任されている。それに仕事以外では王都を出れねぇ。他のやつもそうだろう。好きでやってるやつもいるだろうが、大抵はやりたいことを折ってやらされている。」

「ミヤビさんも元歌姫でしたもんね。っていうかそんな話聞いたことないですけど話していいんですか??」

「あ?? ……悪ぃトップシークレットだったわ。右から左に流しといてくれよ。」

「そんな大事な情報をさり気なくに流さないでくださいよ!! ……主権能(マスター)って何人も生まれるものなんですか??」

「お前さては馬鹿に見えて賢いな。主権能は1世代に1か0だ。だから兄弟が主権能なら他はセーフだな。“7貴族”は貴族、いやこの世界全体の規範であり見られ続ける人間だ。ユウリも冒険者をやらす理由にはいかないとかになったんじゃねえのか?? 知らんけどな」

「適当だな〜」


 ユウリを取り巻く環境については理解できた。“7貴族”とは俺の思っているよりも複雑で壮大な規則だったんだな…。いや、俺が知りたいのはこれじゃないな。


「さっき、取り返し方も分かるって言ってましたよね」

「言ってたか??」

「言ってましたっけ??」


 ゲンマとマルコが顔を見合わせ、はてはてと頭をひねらしている。


「言ってましたよ!! 「そうだな……ティーチ・パウンドの弱点と取り返し方ぐらいなら分かるぜ」って」

「……言ったな。多分だが、一言一句そのままだな。規則だろ?? ギルド規則の何項か忘れたけどな…引き抜きを防止する条項があんだよ」「ギルド規則なんてあったんだな」

「たまにしか使わないがな……うん!! 忘れたな!!」


すると、マルコはギルドの受付の方へツカツカと歩き始めた。

 

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