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女神から授かった権能“模倣”で悪魔ダンジョンを生き抜く  作者: 近藤セカイ
第1部 第3章『パウンド編 ――大貴族会――』
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第27話『ナナ転びヤ起き』

27話です。

「……ッ。――ここは?? どこだ?? 俺は――」


 周りを見渡すが、ここがベットが置いてあるような部屋にしか見えない。

 鼻につく薬品の匂いから病室であることを察した。

 ふと思い、自分の腹を見てみると、刺し傷が完治したような跡が残っていた。

 この傷は、自分で作った剣が跳ね返されて突き刺さった際にできたものだ。


 そして思い出した。仲間と自身の身に何が起きたのかを……


「俺は……ティーチに負けて…ユウリを連れてかれて……リデフィーも……」


 あの短時間で失ったものがあまりにも多すぎた。あの時から何時間経った?? それにここはどこなんだ?? 俺だけが生き残ってしまったのか!?


「あのぉ〜、何かお探しですか? マコトさん……」

「…ゲンマ! 生きてたのか!! それにここは!? お前がここまで連れてきてくれたのか!?」

 

 ゲンマが生きててくれて本当に良かった。リデフィーの言った通り、生存力だけは高いな。


「僕はここに来る途中までは気絶してましたよ」

「じゃあ、誰が??」

「あー、今呼びますね」


 ゲンマは大きく息を吸い、肺に空気を満たす。そして、腹の底から響かせるように「マコトさんが起きましたよ〜!!」と叫び、大声が廊下を通過していった。

 すると、奥の方から微かに声が聞こえた。


「マコトさんが起きたのねん!? 今行くのねーん!!」


 遠くの方と聞き覚えのある語尾が聞こえてきた。この世界に他にあんな喋り方をする人間がいるはずがない。

 その人物の足音が近づきドアのフレームからひょこっと顔を出した。


「タガモさん!! あんたか!!」

「マコトさん!! 生きててよかったのねん!!」


 彼の名前はタガモ、俺は敬意を込めてタガモさんと呼んでいる。ゲンマの主要武器である魔法具の作成をしている魔法商人だ。


「タガモさん…がって? お知り合いでした??」

「知り合いなのねん! というか、命の恩人なのねん!!」

「へえーそうなんですね! どうやら、道端で倒れている僕たちを見つけてくれて、看護までしてくれたらしいんですよ」

「この治療はコウさんがやってくれたのか?」

「コウさん? 誰ですかそれ??」

「ほらぁ、あのギルド専属の医師で“治癒促進”の使い手の――」

「ああぁ!! あの人ですね!! 全然違いますよ。これはタガモさんの魔法具ですよ」

「そうなのねん。――僕が王都からの商いから戻る際に丁度、その街道を通ったら人が倒れていたのねん。よく見ると、僕の商売相手のゲンマくんと命の恩人のマコトさんが倒れてたのねん。それで、取り敢えず医者に見せないといけないと思ったのねん。でも、距離もあるし、僕にはそんな医療の知識ないから、魔法具に頼る事にしたのねん」

「そんな魔法具があるのか??」

「どうやら最新の魔法具らしいですよ」


 ちゃらんぽらんなゲンマは気楽そうに言う。


「それで、傷口の洗浄に“クリリーン”と高級治療用魔法具の“ヒル”を使ったのねん」

「高級…!? …いくらだ?? 今すぐに――」

「お金はいいのねん。一度は命を助けられているから、これで恩返しができたらいいのねん」

「そうか、ありがとう。いただいておくよ。」

「そうしてほしいのねん」

「それで、途中で意識を取り戻した僕がギルドに掛け合って、今ここにいるわけです。」


「そういえば…王都の商いって誰としたんですか?? 魔法具なんて、僕以外が買っているところを見たことないですよ」

「ありがたいことに、最近、いろんなところからお声がかかるのねん。今回は……ダメなのねん!! 守秘義務だからお客様の情報は言えないのねん!!」


「そうか、魔法具が流行ってくれているのなら俺は嬉しいよ。……じゃあ、ゲンマはこれからどうする??」  


「これからって?? どういうことですか??」

「決まっている、ユウリについてだ」

「――?? マコトさんはもしかしてですけど、ユウリさんを取り返そうとしてます??」

「いや、別れの言葉を聞いてないし、何よりもユウリの本心を聞けてない」

「……それを聞きに行くんですか??……」


 この件は俺の完全なエゴだ。


 ゲンマを無理に連れて行かなくてもいい。それにまた同じような事が起きるなら、尚更ゲンマをその場につれていくのはやめたほうがいい。


「無理について――」

「――いいですよ」


「え?」

「だから、僕もユウリさんに会いに行きますよ。それに、僕は“ロンド”で海鮮を楽しむという“約束”をしているので尚更です」

「じゃあ、行くか?? ユウリに会いに!!」

「行きましょう!! 善は急げです!!」


「待てよ、ユウリがどこにいるのか知ってるのか??」


 ……考えれば、ユウリがどこに連れて行かれたか分からないな……。

 というか、今の声は――


「起きたなら言いに来いよな。俺もお前が心配で仕事を抜け出してきたんだぜ」

「マルコさん、ユウリが何処にいるか知ってるんですか??」


「いや、知らん。俺はギルド長で“7貴族”だが、ユウリの居場所が分かるわけじゃない」


 ……それは当たり前だ。そうなると、俺たちで情報を集めたほうが得策だろう。


「ゲンマ、外で情報を集めたいから付いてきてくれ」

「了解です!!」


 ベットから抜け出し、マルコさんの横をすり抜けるように出ていく。


「待てよ、俺の話を聞いていくのはかなり大事だと思うぜ」

「話?? 例えばなんですか」

「そうだな。……ティーチ・パウンドの弱点と取り返し方ぐらいなら分かるぜ」


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